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新型コロナ感染者数急増でも夏休み短縮、負担を強いられる教員は報われるのか

前屋毅フリージャーナリスト
(写真:西村尚己/アフロ)

 ここにきて、新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)の感染者数が急増している。安倍晋三首相が突然に全国一斉休校を要請したのは2月27日のことだったが、この日に確認された感染者数は厚労省によれば167人だった。休校していたほとんどの学校が6月には再開しているが、それ以降も感染者数は増えつづけ、7月26日には1日の感染者数は835人となっている。

 にもかかわらず、安倍首相がふたたび一斉休校を要請する気配はない。文科省にしても、休校へ向けた準備している様子はない。

 そして、夏休み短縮が粛々とすすめられている。新型コロナの感染者が急増しているなかで、子どもたちを3密(密閉、密集、密接)となりやすい教室に例年の夏よりも長い期間、閉じ込めなければならないのだ。

 文科省の集計によれば、今年の夏休みは公立校の9割以上で短縮することが決まっているという。最短は小学校、中学校でそれぞれ9日間、高校は4日間である。小中学校で最も多いのは16日間ということだが、夏休みの長い関東以南の学校にしてみれば、例年の半分以下となる。

 子どもたちは、まさに「暑い夏」を強いられることになる。もちろん、子どもたちだけでなく、教員にとっては「暑い暑い夏」になりそうだ。

 夏休みを返上しての授業では、新型コロナ感染防止対策にも気を使わなくてはならない。再開後の学校でも、かなりの対策がとられてきている。しかし感染者数が急増しているという事態を受けて、学校はさらに神経質にならざるをえないだろう。

 対策が必要なのは、新型コロナに対してだけではない。暑い夏における熱中症や脱水などから子どもたちの健康を守るためにも、細かい気配りと対策が必要になる。

 それをやらなければならないのは教員である。休み返上の授業だけでなく、新型コロナ対策も暑さ対策もやらなければならないのだ。新型コロナ感染者数が急増し、学校での感染者も確認されてきているなかで、精神的にも肉体的にも重すぎる負担を教員は強いられるわけだ。

 この「暑い暑い夏」を乗り切ったとき、その役割をはたした教員の働きに、どんなかたちで政府・文科省は報いてくれるのだろうか。

フリージャーナリスト

1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。立花隆氏、田原総一朗氏の取材スタッフ、『週刊ポスト』記者を経てフリーに。2021年5月24日発売『教師をやめる』(学事出版)。ほかに『疑問だらけの幼保無償化』(扶桑社新書)、『学校の面白いを歩いてみた。』(エッセンシャル出版社)、『教育現場の7大問題』(kkベストセラーズ)、『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『全証言 東芝クレーマー事件』『日本の小さな大企業』などがある。  ■連絡取次先:03-3263-0419(インサイドライン)

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