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海賊版ゲーム、海外からの持ち込み規制強化へ 税関で没収も

鴫原盛之ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表
ナイジェリアで販売されていた海賊版ゲームソフト(※筆者撮影。ソフトは個人所蔵)

昨年5月14日に可決・成立した「特許法等の一部を改正する法律案」により改正された商標法が、間もなく10月1日から施行される。これによって、海外から国内へ持ち込まれる海賊版に対する規制が、さらに強化されることとなった。

本改正法の概要には3つの項目があり、そのうちの1つは「デジタル化等の進展に伴う企業行動の変化に対応した権利保護の見直し」と題し、「海外からの模倣品流入への規制強化」のため「増大する個人使用目的の模倣品輸入に対応し、海外事業者が模倣品を郵送等により国内に持ち込む行為を商標権等の侵害として位置付ける」と明記されている。

・参考リンク:「特許法等の一部を改正する法律の概要」(特許庁のホームページ ※PDF形式)

今後は模倣品の個人輸入も規制の対象になる(※出典:特許庁「特許法等の一部を改正する法律の概要」)
今後は模倣品の個人輸入も規制の対象になる(※出典:特許庁「特許法等の一部を改正する法律の概要」)

本改正法の資料や条文を筆者が読んだ限りでは、海外製の海賊版ゲームソフト、あるいはゲーム機も該当すると解釈するのが自然なように思える。では、実際のところはどうなのだろうか?

ACCS(一般社団法人 コンピュータソフトウェア著作権協会)の広報に取材したところ、以下のような回答をいただいた。

「海賊版商品の個人輸入(正確には個人使用目的の模倣品輸入)に関しましては、現状では違法でなくできてしまいますが、今回の改正商標法の施行によって、個人輸入は違法となってできなくなります。ゲームでいいますと、商標登録されているゲームソフトのパッケージ商品やハードがこれに当たりそうです。

 現行法では、個人輸入した人の行為が『輸入』に当たらないと解釈されますが、改正法では、海外の事業者が『輸入』をした当事者となるようになりました。そのため、輸入した人が個人であっても、輸入させた海外の人が事業者であれば無断で『輸入』させたとして、当該物品は商法権侵害、意匠権侵害の物品となり、改正関税法で『輸入してはならない貨物』となります」

ここで注意したいのは、ビジネスや転売目的に限らず、個人での私的利用が目的であっても、新たに規制の対象になることだ。

「海外で海賊版ゲームを購入したり、持ち込んだりする行為は違法ではありませんが、海外の業者の行為は違法となりますので、海賊版ゲームは税関で没収されます」(ACCS広報)

以前に拙稿「なぜ 『中古ゲームソフトのニセモノ』が蔓延? その実態は」を掲載した際に、読者から筆者のSNSアカウントに「俺は面白いから(海外で海賊版ソフトを)買っちゃうけどね」などと冷やかし半分のコメントをいくつかいただいた。だが、今後は同様の行為をすると税関で恥をかくことになるので、くれぐれもご注意を……。

ロシアで販売されていたファミリーコンピュータのニセモノ(※筆者撮影。本体は個人所蔵)
ロシアで販売されていたファミリーコンピュータのニセモノ(※筆者撮影。本体は個人所蔵)

ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表

1993年に「月刊ゲーメスト」の攻略ライターとしてデビュー。その後、ゲームセンター店長やメーカー営業などの職を経て、2004年からゲームメディアを中心に活動するフリーライターとなり、文化庁のメディア芸術連携促進事業 連携共同事業などにも参加し、ゲーム産業史のオーラル・ヒストリーの収集・記録も手掛ける。主な著書は「ファミダス ファミコン裏技編」「ゲーム職人第1集」(共にマイクロマガジン社)、「ナムコはいかにして世界を変えたのか──ゲーム音楽の誕生」(Pヴァイン)、共著では「デジタルゲームの教科書」(SBクリエイティブ)「ビジネスを変える『ゲームニクス』」(日経BP)などがある。

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