Yahoo!ニュース

ゲームの世界をそのまま再現 ファンの夢をかなえた「コーヒートーク」ポップアップショップがオープン

鴫原盛之ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表
「COFFEE TALK Episode 1.5~SHIBUYA PARCO」

ノベルゲーム「コーヒートーク」のコラボカフェ&ポップアップショップ「COFFEE TALK Episode 1.5~SHIBUYA PARCO」が、渋谷PARCOのミュージックカフェ&バー「クアトロラボ」で、6月1~30日までの期間限定で営業中だ。

「コーヒートーク」は、プレイヤーがカフェ(喫茶店)のマスターとなり、人間のほかエルフ、ドワーフなどの異種族も来店する店内でドリンク類を提供することで、さまざまな心温まる会話が展開される作品。Nintendo Switch、プレイステーション5、同4、Steam(PC)で配信、またはパッケージソフトが発売中だ。

本作の開発会社は、インドネシアに拠点を置くToge Productionsで、日本では2020年にコーラス・ワールドワイドから発売され、現在までにシリーズ累計で200万ダウンロードを超える人気を集めている。

Nintendo Switch版「コーヒートーク」のゲーム画面(※筆者撮影。以下同)
Nintendo Switch版「コーヒートーク」のゲーム画面(※筆者撮影。以下同)

元々カフェを舞台にしたゲームということもあり、本作の世界観を再現した店内のデザインは、お世辞抜きでピタリとハマっている。本イベントの期間中は通常メニューに加え、本作に登場するレシピをイメージした、全10種類のコラボドリンクを提供している。

店内には、AR機能を利用して、本作のキャラクターをスマホを通じて座席に登場させることができたり、大型スピーカーを通じて本作のBGMを流したりする演出も用意されている。本作のファンにとっては、まさに夢のような空間だろう。

スピーカーから流れる本作のBGMを聞きながら、お茶や買い物が楽しめる
スピーカーから流れる本作のBGMを聞きながら、お茶や買い物が楽しめる

コラボメニューの「ガラハッド」。ゲーム内では紅茶、ミルク、しょうがを使用したレシピの一種として登場する
コラボメニューの「ガラハッド」。ゲーム内では紅茶、ミルク、しょうがを使用したレシピの一種として登場する

本イベントの開催に合わせて開発された、本作のアクリルジオラマ、トレーディングカード、Tシャツ、コーヒーバッグなどの各種グッズも店内で発売されている。来場、またはグッズ購入特典としてプレゼントされる、ゲーム内に登場するニュースペーパーをデザインした特製ランチョンマットも、本作のファンには嬉しいアイテムだ。

パルコ新規ビジネス開発部 ゲーム事業担当の石井健斗氏によると、昨年に開催された東京ゲームショウのコーラス・ワールドワイドブースで、本作に触れたことが本イベント実施のきっかけになったという。

「実は、弊社内にも『コーヒートーク』のファンがおりましたので、まずはイベントを通じてゲームの良さを多くの人に知っていただきたいなと思っております。日本ではグッズ展開がまだ進んでいなかったので、ビジネスチャンスがあるだろうなとも考えました」(石井氏)

ちなみに、コラボグッズの在庫はパルコで管理しており、売上の一部をコーラス・ワールドワイドに支払うビジネスモデルになっているそうだ。

本作にちなんで、インドネシア産の豆で作ったコーヒーバッグなどのグッズも販売している
本作にちなんで、インドネシア産の豆で作ったコーヒーバッグなどのグッズも販売している

ニュースペーパー型ランチョンマット。写真のものも含め、全部で4種類ある
ニュースペーパー型ランチョンマット。写真のものも含め、全部で4種類ある

発売されて久しい本作だが、コーラス・ワールドワイドの二宮文月COOによると、本イベントのリリースの反響は非常に大きく、筆者が取材した6月1日の時点で入場チケット(飲食+物販)の大半は、すでに売れてしまったとのこと。

またリリースした直後から、人気のゲーム実況者が本作の配信を連日実施し、それを見て興味を持った人がゲームを購入し、本イベントの入場チケットも売れる「好循環が生まれました」(二宮氏)というのだから驚きだ。

店内のスクリーンには本作の動画が流れ、壁面には描き下ろしポスターが展示されている
店内のスクリーンには本作の動画が流れ、壁面には描き下ろしポスターが展示されている

現時点では収支がまだ確定していないが、たとえ「ポケットモンスター」や「ドラゴンクエスト」「モンスターハンター」などの超有名IPではなくても、本作のようなインディーゲームでもポップアップショップを展開することで、さらにビジネスが広がる可能性を示した意義は、とても大きいように思われる。

「『コーヒートーク』の世界観を存分に楽しめるカフェとなっておりますので、皆様のご来店をお待ちしております」と石井、二宮両氏が太鼓判を押す本イベント。入場料は500円(税込)で、物販のみの利用も可能。入場チケットの購入方法や営業時間などの詳細は、下記のリンクを参照していただきたい。

Coffee Talk ©2019-2020 Developed by Toge Productions. Published by Chorus Worldwide Games, all rights reserved.

(参考リンク)

・COFFEE TALK Episode 1.5~SHIBUYA PARCO

「クアトロラボ」の正面入口。「コーヒートーク」のロゴが入ったのれんが飾られている
「クアトロラボ」の正面入口。「コーヒートーク」のロゴが入ったのれんが飾られている

ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表

1993年に「月刊ゲーメスト」の攻略ライターとしてデビュー。その後、ゲームセンター店長やメーカー営業などの職を経て、2004年からゲームメディアを中心に活動するフリーライターとなり、文化庁のメディア芸術連携促進事業 連携共同事業などにも参加し、ゲーム産業史のオーラル・ヒストリーの収集・記録も手掛ける。主な著書は「ファミダス ファミコン裏技編」「ゲーム職人第1集」(共にマイクロマガジン社)、「ナムコはいかにして世界を変えたのか──ゲーム音楽の誕生」(Pヴァイン)、共著では「デジタルゲームの教科書」(SBクリエイティブ)「ビジネスを変える『ゲームニクス』」(日経BP)などがある。

鴫原盛之の最近の記事