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零戦の日本上空飛行「戦後初」は誤報 産経サイト、見出しなど訂正

楊井人文弁護士
2013年、所沢航空発祥記念館の「日本の航空技術100周年展」で展示された零戦

【GoHooレポート1月21日】産経新聞は1月20日、ニュースサイト(産経WEST)に「戦後初 零戦、再び日本の空を舞う『先人が築いた技術をみよ』1月27日、鹿児島県鹿屋市」と見出しをつけた記事を掲載した。記事は零式艦上戦闘機(零戦)が海上自衛隊鹿屋航空基地の上空を飛ぶ予定であることを報じたもので、本文の冒頭でも「日本の空を零戦が舞うのは、戦後初めて」と強調。しかし、21日午前、記事に「確認の結果、戦後の飛行例があることがわかりました。お詫びして訂正します」との訂正文が追記された。見出しは「零戦、再び日本の空を舞う!〜」に修正され、記事本文の誤った記述も削除された。ツイッターの公式アカウントでも訂正した。

産経ニュースWEST 2016年1月20日掲載(訂正前)
産経ニュースWEST 2016年1月20日掲載(訂正前)

「戦後初 零戦、再び日本の空を舞う」と見出しをつけた記事は、掲載直後からフェイスブックなどで非常に大きな反響を呼び、産経WESTのランキングトップだった(20日集計、21日付大阪版夕刊による)。一方で、ツイッター上に記事の誤りを指摘する投稿も相次いでいた。日本報道検証機構が過去数年調査している中で、産経がニュースサイトで訂正を掲載するのは極めて異例。なお、元の記事は紙面版には掲載されていなかった。

産経ニュースWESTによる訂正のツイッター投稿(2016年1月21日午前11時ごろ)
産経ニュースWESTによる訂正のツイッター投稿(2016年1月21日午前11時ごろ)

動画投稿サイトYouTubeで、1995年に龍ヶ崎飛行場(茨城県龍ケ崎市)の上空を飛行する零戦を撮影したとみられる動画が確認できる。

記事が取り上げたのは、零戦の日本人所有者らが立ち上げた「零戦里帰りプロジェクト」による飛行計画。ウェブサイトには「戦後初となる『日本人所有の機体による』、『日本人パイロット』での零型戦闘機の国内での飛行」とのタイトルが掲げられている。昨年のクラウドファンディングで2300万円余りの支援金を集めていた。

(*)アイキャッチに「零戦」として使用していた写真は零戦でない可能性があるとの指摘を受け、別の写真に差し替えました。(2016/1/22 8:10)

(**) 写真提供元より「零戦」ではなく「98式直接協同偵察機」の写真だったことがわかったため、写真説明を訂正したとの回答がありました。(2016/1/29 11:45)

弁護士

慶應義塾大学卒業後、産経新聞記者を経て、2008年、弁護士登録。2012年より誤報検証サイトGoHoo運営(2019年解散)。2017年からファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)発起人、事務局長兼理事を約6年務めた。2018年『ファクトチェックとは何か』出版(共著、尾崎行雄記念財団ブックオブイヤー受賞)。2022年、衆議院憲法審査会に参考人として出席。2023年、Yahoo!ニュース個人10周年オーサースピリット賞受賞。現在、ニュースレター「楊井人文のニュースの読み方」配信中。ベリーベスト法律事務所弁護士、日本公共利益研究所主任研究員。

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