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デビュー前の5年契約、3度の薬物違反、3年の空白。7年ぶりのMLB復帰へ向け、マイナーリーグ契約

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョン・シングルトン AUGUST 3, 2014(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ミルウォーキー・ブルワーズが、ジョン・シングルトンとマイナーリーグ契約を交わした。

 30歳のシングルトンは、かつて、ヒューストン・アストロズのトップ・プロスペクトだった。2014年6月にメジャーデビューする直前に、5年1000万ドルの延長契約を手にした。出来高と球団オプションも含めると、8年3500万ドルに達する契約だった。

 もしかすると、ここ数年のアストロズの内野カルテットは、三塁から反時計回りに、アレックス・ブレグマンカルロス・コレイア(現FA)、ホゼ・アルトゥーベ、シングルトンとなっていたかもしれない。だが、実際に一塁を守ったのはユリ・グリエルだ。シングルトンがメジャーリーグでプレーしたのは、2014~15年の計114試合だけ。打撃成績は、打率.171と出塁率.290、14本塁打、OPS.621だった。

 契約を延長する前から、シングルトンは問題を抱えていた。2012年の6月と12月に薬物検査で陽性反応。2018年1月に3度目の違反となり、5月にアストロズから解雇された。2018~19年はどの球団にも在籍せず、2020年はメキシカン・リーグの球団と契約したが、新型コロナウイルスによってシーズンはキャンセルになり、シングルトンのブランクは3年に延びた。

 今シーズン、ようやくフィールドに戻ったシングルトンは、メキシカン・リーグで46試合に出場し、打率.321と出塁率.503、15本塁打、OPS1.196を記録した。

 なお、ブルワーズは、タイラー・ホワイトともマイナーリーグ契約を交わしている。シングルトンは左打者、ホワイトは右打者だが、アストロズからデビューした一塁手という点は共通する。年齢は、ホワイトが1歳上だ。

 3年前、ホワイトは66試合で打率.276と出塁率.354、12本塁打、OPS.888とブレイクしかけたが、翌シーズンを最後に、メジャーリーグではプレーしていない。今シーズンは、トロント・ブルージェイズ傘下のAAAで105試合に出場し、打率.292と出塁率.424、13本塁打、OPS.900を記録した。

 ブルワーズの一塁手は、確定していない。今シーズンの先発出場が多かった3人は、ダニエル・ボーゲルバックが52試合、ロウディ・テレスケストン・ヒウラが42試合ずつ。ボーゲルバックはノンテンダー(契約解除)となったので、現時点ではテレスとヒウラが筆頭候補だ。彼らは左打者と右打者なので、併用もあり得る。

 シングルトンとホワイトのどちらも、メジャーリーグ復帰のチャンスは皆無ではない。ナ・リーグでもDHが採用されれば、その可能性は高まる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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