交流戦・四国アイランドリーグplus高知ファイティングドッグスと対戦【九州アジアリーグ】
先週の九州アジアリーグは、交流戦が4試合予定されていたが、雨天のため1試合のみが行われた。
週前半の四国アイランドリーグplusから高知ファイティングドッグスを迎えての2連戦は、11日の火の国サラマンダーズ戦のみが行われ、翌日大分で予定されていたB-リングス戦は中止となった。週末に福岡ソフトバンクホークス三軍を熊本に迎えての2連戦も中止となった。
弱冠二十歳の右腕、源隆馬、1安打完投
唯一の試合となった火曜の高知戦は、サラマンダーズが6対0で圧勝した。サラマンダーズの先発、源隆馬は高知打線を1安打に抑え堂々の完封勝利を飾った。ランナーを出したのは、1アウト後に初ヒットを許し、続く打者がファーストのエラーで出塁した3回のみ。このランナー1、2塁のピンチも、1番尾野翔一(早鞆高)をセンターフライ、2番長谷部大器(愛知大)をセカンドゴロに打ち取り、無事切り抜けた。その他のイニングは全て3者凡退というほぼ完璧なピッチングで2勝目を挙げた。三振は2つで球数95球とまさに打たせて取る見本のような投球だった。
源は宮崎出身の20歳。地元の宮崎学園高校時代にはエースとして強豪相手に堂々たるピッチングを披露し、140キロ台半ばのストレートは、戸郷翔征(巨人)とともに宮崎の注目株としてプロ(NPB)のスカウトも注目するところとなっていた。高卒後は、國學院大學に進学、1年秋からベンチ入りし、マウンドにも3度立っているが、NPBへの最短コースだと、独立リーグ入りを決心し、今年1月に大学を中退してサラマンダーズに入団した。 あえて学歴を捨てる決断をしたのは、それだけNPBへの思いが強いということだろう。
一方の攻撃陣の方は、高知の繰り出す5人の投手から9安打6得点と効率よく点を取った。3対0で迎えた6回裏には、先頭の代打高橋昌寛(岡山商大)がレフトへ1号ホームランを放ち、試合後は投のヒーロー、源とともにお立ち台に上がった。
交流戦の快進撃の裏にあるもの
ここまでサラマンダーズは、16勝7敗2分と快進撃を続けている。他リーグ相手の交流戦でも、ソフトバンクホークス三軍戦では5勝3敗1分と勝ち越し、四国アイランドリーグplusの3球団との対戦では3戦無敗と圧倒している。ドラフト候補の好選手を集めていることもあって、新球団ながら独立リーグ最強のレベルを誇っているように見える。
しかし、対戦相手側に取材してみると、交流戦に対する構えが九州アジアリーグ側とはかなり違っていることがうかがえた。
「まあ、こっちは練習試合というつもりで普段出ていない選手を使っているからね」
とは、先週の試合で完封負けを喫した高知ファイティングドッグスの定岡智秋コーチ。長年、独立リーグで指導してきた経験から、選手の育成には試合経験がなによりも大事であることを熟知している。
実際、11日の試合でも、スタメン9人のうち、レギュラー選手は3人のみ。控え中心のラインナップで、投手陣の方も、この日マウンドに上がったのは、今シーズン登板の機会に恵まれなかった者ばかりだった。このような状況は、この試合だけでなく四国勢との交流戦全般に言えることだろう。
ということは、九州アジアリーグ側のチームに求められることは、勝敗そのものより「勝ち方」ということになろう。前述のとおり、11日は、投打とも内容的に充実した試合運びだったが、今後も、目先の勝敗だけでなく、さらに上を目指す者たちが集まる集団として、ファンをうならせるプレーをフィールドで魅せてくれることを期待したい。
*今年度よりNPBと独立リーグの申し合わせにより学校中退者に関するドラフト指名のルールが以下のように変わりました。
「ドラフト会議開催の年の3月31日までに退学したものは、1シーズン後に(指名の)対象とする。ドラフト会議開催の年の4月1日以降に退学したものは、2シーズン後対象とする。」
「7月31日までに独立リーグ球団と契約し、選手登録された場合は、そのシーズンを1シーズンをみなす。」
よって、源投手は今秋のドラフト指名の対象となる、との指摘をリーグ側よりいただきました。
慎んで訂正行います。