大相撲春場所は、実はローカル鉄道対決だった
大相撲春場所では新入幕の尊富士が優勝しました。
新入幕で優勝というのは110年ぶりとのこと。偉大なる快挙と言えましょう。
続く大の里も新入幕の初場所から二場所連続の11勝。敢闘賞と技能賞のダブル受賞という快挙を成し遂げました。
と、ここまでならスポーツニュースになってしまいますが、この初場所で見られた尊富士と大の里の取り組みは、実はローカル鉄道の対決でもあったのです。
尊富士と言えば青森県の津軽、津軽と言えば津軽鉄道
尊富士は青森県北津軽郡金木町(現:五所川原市)の出身。そう、ストーブ列車で有名な津軽鉄道沿線の出身です。
今回の優勝で地元は大賑わいの様子ですが、優勝以前から地元の企業が津軽鉄道をモチーフにした化粧まわしを作って贈呈しているのです。
芦野の桜と津鉄/尊富士の化粧まわし披露(3月6日 WEB東奥)
津軽鉄道沿線の芦野公園は桜の名所として有名なところですが、その芦野公園を走る津軽鉄道(地元では津鉄と呼ばれています)の列車が化粧まわしにデザインされています。
鉄道車両がデザインされた化粧まわしなんて今まで見たことはありませんが、津軽鉄道と尊富士、地元にとってはどちらも大事な地域のシンボルなのです。
大の里と言えば新潟県糸魚川市
これに対して大の里と言えば新潟県糸魚川市です。
一般的にマスコミでは大の里を紹介するときに、石川県出身、日体大卒業と言われていますが、実は大の里は中学、高校の6年間、新潟県糸魚川市で過ごして相撲のけいこに励んだのです。
大の里は中学の3年間糸魚川市立能生中学校、中学卒業後は新潟県立海洋高校(糸魚川市能生地区)に進学しました。どちらも相撲が強い学校として全国から有望な生徒が集まる学校ですが、ここで相撲の実力を磨いた後、日体大へと進みました。
そして、糸魚川市の能生は、筆者が代表を務めるえちごトキめき鉄道の日本海ひすいラインの駅であり、新潟県立海洋高校でも多くの生徒さんたちが、えちごトキめき鉄道の列車を利用して通学しています。
このように、石川県はもちろんですが、新潟県の糸魚川市でも多くの地域の皆様方が相撲中継にくぎ付けになったというのが今回の春場所でした。
ということで、春場所でしのぎを削った尊富士と大の里ですが、実は津軽鉄道とえちごトキめき鉄道という2つのローカル鉄道の対決でもあったわけで、では、尊富士の津軽鉄道デザインの化粧まわしに対して、えちごトキめき鉄道はどう対抗するのかということですが、今回は尊富士に軍配が上がりましたが、噂によれば、今、鉄道を絡めて糸魚川市がアッと驚くような作戦を練っているところと聞いています。
となると、ここからは次の場所のお楽しみということになりましょうか。
津軽鉄道はストーブ列車という最強のコンテンツを持っています。
対して、えちごトキめき鉄道は雪月花という、これまた最強のコンテンツを持っていて、インバウンドを含めて多くの観光客を呼んでいます。
どちらの鉄道にも共通することは、列車を使って全国から、あるいは海外からも観光客を呼び込むことで、地域の知名度を上げ、地域経済にも大きく貢献しているということです。
地元出身の2人の若手力士が大相撲界で大活躍する時代に、ローカル鉄道も負けてはいられませんね。
先日、都内の会合で津軽鉄道の澤田長二郎社長さんとお会いしましたが、相撲と鉄道がタッグを組んで地域全体を盛り上げていきたいという思いは、澤田社長さんも筆者も同じなのです。
海洋高校・能生中学には「相撲ブログ」があります。
こうして地域ともども皆で頑張っているのがローカル鉄道対決なのであります。
▼「相撲ブログ」、どうぞご一読ください。
※本文中に掲載した写真は、特にお断りのないものは筆者撮影のものです。