ヤクルト新外国人デニング、殊勲の同点打! 来日中の父は「息子を誇りに思う」
ウラディミール・バレンティン選手、ラスティングス・ミレッジ選手と2人の外国人野手が故障で離脱している東京ヤクルトスワローズに“救世主”が現れました。オーストラリア生まれのミッチ・デニング選手(26歳)です。
BCリーグから来た新たな”助っ人”
左アキレス腱手術後のリハビリを終えて4月24日の巨人戦(神宮)で一軍に復帰したバレンティン選手が、その試合で左大腿直筋に肉離れを起こし、5月16日に米国で手術。開幕から3試合を終えたところで右肩甲下筋肉離れのために戦列を離れ、5月19日に復帰したばかりのミレッジ選手も、4日後の広島戦(マツダ)で味方の選手と激突して右前頭部打撲で再び登録抹消。今季のヤクルトは相次ぐ外国人野手の故障離脱に苛まれていました。
そこで新たな“助っ人”として白羽の矢を立てたのが、米マイナーリーグ、米独立リーグを経て2013年に来日し、独立リーグ、BCリーグの新潟アルビレックスでプレーしていたデニング選手でした。5月22日にヤクルトとの契約に合意し、26日の昼過ぎに東京都内の球団事務所で入団会見に臨むと、その夜の北海道日本ハムファイターズとの交流戦で代打としてデビュー。NPB初打席は死球と、痛い“洗礼”を受けました。
それから一夜明け、27日の日本ハム戦では六番・左翼で先発出場。初回の第1打席はカウント3-1から四球を選んで出塁すると、3回の第2打席は1-1から高めのカーブに手を出して三塁へのファウルフライ。5回の第3打席は鋭い打球が一塁手の正面を突き、ファーストライナーに倒れます。
無死二、三塁と一打逆転の好機で入った7回の第4打席は、ワンボールからの外角ストレートを逆方向に弾き返すと、打球はレフトポールに向かってグングン伸びて行くも判定はファウル。ポール際のきわどい打球にビデオ判定が採用されますが、結果は変わらず逆転3ランとはなりませんでした。結局、この打席もサードゴロで、ここまでの4打席はノーヒットに終わります。
「今日は自分にとって特別な一日」
しかし、4対5と1点ビハインドのまま迎えた9回裏の第4打席。2死から内野安打で出塁した雄平選手を一塁に置いて5度目の打席に立つと、その初球にパスボールで走者が二塁に進塁。続く2球目、日本ハムの守護神・増井浩俊投手が投じた内角低めの150キロのストレートをライト前に運び、同点のランナーをホームに迎え入れました。その後は両軍とも得点できず、延長12回の末に5対5の引き分けに終わりましたが、あと1人でゲームセットという土壇場で飛び出したデニングの同点打は、チームを負けから救う殊勲の一打となりました。
故郷オーストラリアから前日の26日に急きょ駆けつけていた両親、そして新潟でも彼のプレーを見ていたという恋人のキャサリンさんが見守る前でNPB初安打を放ったデニング選手は、試合後に「家族の前でチームを救う打点を挙げることができたので、今日は自分にとって特別な一日になった。両親も喜んでくれて本当に満足」とコメント。父親のピーターさんも「息子を誇りに思う。明日はもっと打つよ」と満足げな表情で話してくれました。
背番号は米マイナーや豪州プロリーグで着けていた17番をひっくり返したという「71」。住まいは埼玉・戸田にある球団寮。そして年俸は今季終了までで360万円。これに成績に応じたインセンティブが加算されるとのことですが、もしこのまま「ツバメの救世主」となれば、まさに“お買い得”。「金曜(29日)の午後には日本を発つから、明日(28日)はぜひ勝ってもらいたい」と話していたピーターさんのためにも、まずは今日28日のゲームで勝利につながるような活躍を期待したいところです。