【フランス】新型コロナ続報。第二波はまだ終わらない。
(もうたくさん)と、筆者自身も思わないではないですが、パリから新型コロナ関係のニュースをお届けします。
昨日12月10日木曜の夕方に首相、連帯・保健大臣、内務大臣の記者会見があり、新型コロナ感染対策について、フランス政府の新しい方針が発表になりました。
外出制限は解除になる?
感染第二波への対策として、10月30日からフランスは2度めのコンフィヌモン(自己隔離・外出制限)が実施されてきました。当初1日あたり6万人にものぼった新規感染者数が2万人程度に減少した11月下旬、大統領演説によって制限緩和が発表されました。例外として認められる外出は自宅から1キロ圏内、1時間以内というものでしたが、緩和によって20キロ、3時間に拡大され、11月28日から実施されたことは過去の記事でお伝えしました。
その時の発表では、次なる段階として、1日の新規感染者が5,000人を下回り、蘇生医療患者が2,500〜3,000人ほどになれば、12月15日から日中の外出制限は解除され、夜間外出禁止に転換されるという目標が示されていました。その日が近づき、目標が実現されるのかどうか。昨日の首相会見は、それに対する答えが発表されるものでした。
最近のフランスでの1日の感染者数は1万人台。10月のピーク時からするとかなり少なくなってはいますが、ここ1週間は下げ止まっています。数日前には1万人を下回った日がありましたが、昨日の首相会見の時点では14,000人と、逆に再増加しかねない気配。
会見では、規制緩和による人出と気候(気温が低いこと、湿気があること)が理由だろうという推測がされていて、このままでは12月15日に新規感染者数が5,000人を下回ることはないと述べられました。
一般人の肌感覚からしても、昨今の街の人出を見ていると、感染が収まらないだろうという印象をもちます。外出制限中とはいえ、証明書を携帯していれば買い物も時間を気にせずかなり自由。11月中にできなかったクリスマスの準備、もしくは溜まった鬱憤を晴らすためのものなのか、買い出しの人たちで連日街が賑わっているように思えます。
首相はアメリカ、カナダでのサンクスギヴィングの後の感染増加に触れ、ここで手綱を緩めると、フランスでも同じこと、つまり年明けの感染爆発につながりかねないということも述べたうえで、具体的な方針を発表しました。
●映画館、劇場、美術館、スポーツ施設は、さらにすくなくとも3週間閉鎖
●日中の外出制限は解除し、夜間外出禁止(20時〜6時)に転換
この二つが今回の発表の柱でした。
おとなしい年末年始に
まず最初の項目について。当初、これらの施設は12月15日からの再開が予定されていたのですが、年内の再開はなく、年明けの感染爆発がなければ1月7日からの再開になります。クリスマスシーズン、そして年末年始は、映画館、美術館にとっては書き入れ時ですから、今回の閉鎖決定はかなり辛いものがあります。そんな事情も十分に承知したうえでの決定ですから、しかるべき経済的援助策をとることも首相は明言しました。
2つ目の項目について。感染者数が増加傾向になるかもしれないという実情からすると、日中の外出制限が継続されるのでは、という予測もなくはなかったのですが、これは予定どおり解除になりました。もし解除されない場合は、国内での移動が制限される、つまり離れた地方にいる家族に会ったり、年末年始を他県で過ごしたりということができないことになるのですが、それはさすがに免れました。すでに国鉄や飛行機の国内線の予約がかなりの数に上っているという報道も聞かれていましたから、それらをキャンセルしなくてはならないという事態は避けられました。
いっぽうで、夜間外出禁止の時間帯が早まりました。当初21時からと予定されていたものが、20時からと1時間早くなりました。また、12月24日と31日の夜は例外とするとされていたのですが、24日の夜は出歩けるものの、31日は禁止。フランス人の過ごし方は、24日は家族や親族と、そして31日は友達とわいわいという傾向がありますが、家族の集まりには水をささないものの、大晦日に外に繰り出すような振る舞いは禁止という方針が明確にされました。
ところで、たとえば地方で年末年始を過ごすにしても、依然としてレストランやカフェは全国規模で休業中で、1月20日までは再開の目処はありませんから、どこへ出かけるにしても、外食は当分お預けという異例の年末年始。シャンゼリゼ通りでのカウントダウンという風景も望めない2020年の締めくくりになりそうです。