2014年度 組体操の事故減らず 全国の小中高で8500件の負傷事故
■組体操で8516件の負傷事故
2014年度、学校の組体操で8516件の負傷事故が起きていたことがわかった。
12月10日に日本スポーツ振興センターが発表した、学校管理下における各種事故の報告資料から明らかとなった。
2014年度といえば、5月の運動会シーズンに、組体操の事故がネット上で大きな話題(【緊急提言】組体操は、やめたほうがよい(2014年5月))になり、マスコミも加わって、組体操の危険性や是非が盛んに議論された一年であった。
そして同年9月の運動会シーズンにも再び、ネットやマスコミで組体操のあり方が問われた。2014年度は、組体操の事故防止元年である。
■事故は減ったか?
事故防止元年の2014年度、全国の小学校・中学校・高校において、体育的活動時(部活動を除く)の組体操による負傷事故は、すでに述べたとおり計8,516件(小学校6,289件、中学校1,865件、高校362件)に達した。
これは、2013年度の計8,489件(小学校6,345件、中学校1,847件、高校297件)と比べて、ほとんど変化がない。なお、データに「組体操」の記載がある2011年度からを見ても、この4年間で大きな変動はない(図を参照)。
■体育的活動全体の負傷事故
他方で、組体操を含む体育的活動全体(部活動を除く)の件数を見てみると、2014年度は計235,134件(小学校86,296件、中学校86,783件、高校62,055件)であった。2013年度の計239,801件(小学校90,266件、中学校88,941件、高校60,594件)から約2%の減少である。
つまり、2013年度から2014年度にかけて、体育的活動全体ではほんのわずか負傷事故の件数が減少したものの、組体操においてはほとんど変化がなかった(厳密には1.003倍の増加)と言える。
■学校は世論の変化よりも遅れをとっている
細かい数値の増減にはこだわらないとしても、ここで改めて確認したいのは、組体操事故防止の取り組み元年においては、事故は減らなかったということである。
先述のとおり、組体操事故の問題に火が付いたのは、2014年の5月である。5月に運動会が開催された場合には対策が間に合わなかったとしても、9月開催の場合には、十分に対策をとることができたはずである。しかしながら、データからはそうした動きを読み取ることはできない。学校は、世論の変化よりも遅れをとっている可能性がある。
組体操事故防止の取り組み元年を土台にして、2015年度も引き続き組体操事故の問題が議論された。いくつかの自治体や学校は、安全対策に乗り出していると聞く。一年後に2015年度の事故状況が発表された際には、「件数が減り始めた」と報告できることを願っている。