来日ラッシュで飽和状態か K-POPグループ日本人メンバーの思い「競争は厳しい。負けたくない」
年末の「第73回NHK紅白歌合戦」への新人グループの出演でも話題のK-POPシーン。すでに飽和状態とも言われるなか、コロナが落ち着き、来日ラッシュが続いている。そんななか、日本デビュー前にもかかわらず、初のショーケースライブを大盛況のうちに終えた9人組ボーイズグループ・DKB(ダークビー)は、次なる日本デビュー組の最前線で注目を集めている新鋭だ。
彼らは韓国では2020年にデビュー。プロデュースを手がけるのは、ヒップホップとエレクトロニカを融合させるヒップトロニカをジャンルとしてK-POP界に確立させた作曲家でありプロデューサーの勇敢な兄弟(Brave Brothers)。多国籍グループがシーンに増えるなか、DKBは日本人メンバー・YUKU(ユク)を擁し、作詞作曲、振り付け、アクロバティック創作まで自分たちで手がけるHIPHOPクリエイティブアイドルとして、ポストBTSの座を狙う。
K-POPに憧れて韓国デビューを目指して渡韓し、厳しいレッスンを経て韓国そして日本のステージに立ったYUKUのほか、世界に向けて本格始動したメンバーたちから、グローバル活動を前提にするK-POPシーンにおけるDKBのポテンシャルに迫った。
K-POP界に日本人が増えるのはうれしい一方でライバルでもある
ーー日本で初の単独ショーケースライブを11月20日に開催し、大勢の日本ファンに迎えられました。
【YUKU】2020年2月に韓国デビューしてすぐに日本に来る予定だったんですけど、コロナで延期になっていて。ようやく今年10月に「KCON 2022 JAPAN」で日本ライブをすることができ、11月には初の単独ライブになるショーケースを開催しました。やっと日本に来られたと感慨深かったです。
ーー日本活動への手応えを得られましたか?
【YUKU】思っていた以上にたくさんのファンの方に来ていただいて、心温まる場になったのと同時にとても感動しました。まだ確信には至りませんが、このグループで必ず日本でもブレイクするきっかけが来ると信じています。
ーーYUKUさんはなぜ日本ではなく韓国デビューを目指したのですか?
【YUKU】母がK-POP好きで、一緒にライブやイベントに行っていました。僕はもともとダンスをやっていたんですけど、K-POPの歌とダンスのパフォーマンスのクオリティに驚き、刺激を受けるとともに興味を持って。この世界に入りたいと思って韓国デビューを目指しました。
ーー韓国でがんばってこられて凱旋帰国になりました。ショーケースはどんな気持ちでしたか?
【YUKU】南米ツアーも行いましたが、やはり母国でのステージは特別なものです。これまでがんばってきてよかったと心から思いました。ライブには家族や友人も来てくれて、とても喜んでいて。韓国に渡って成長した姿が見せられてうれしかったです。
ーー昨今では韓国デビューを目指す若い世代の日本人が多く、日本人メンバーが所属するK-POPグループも増えています。
【YUKU】K-POP界に日本人が増えているのは、当事者のひとりとしてうれしいことです。その反面、お互いにライバルでもありますから、負けないようにがんばっていかないといけないという気持ちもあります。競争は厳しくなりますから。でも、いまはまだK-POP界の日本人たちとの交流はほとんどないんですけど、これから仲良くなっていけたらと思います。
ーー多国籍グループが増えていますが、YUKUさんという日本人メンバーがいることでDKBの強みになっている面はありますか?
【D1(ディーワン)】いまです(笑)。もちろん日本での活動だけでなく、YUKUさんは韓国人より韓国語が上手になって、いろいろな面で助かっています。DKBになくてはならない存在です。K-POPは韓国だけでなくグローバルに世界で活動しているので、メンバーが多国籍であればそれだけ海外での活動でプラスになります。
自分たちで手がけるクリエイティブがカラーになり差別化につながる
ーー韓国デビューからいきなりテレビ番組をはじめ多くのメディアで活躍し、「第27回大韓民国芸能芸術賞」(グループ歌手賞受賞)や「第6回AAAフォーカス賞」(2021 ASIA ARTIST AWARDS)など多くの音楽賞を受賞しています。ほかのグループとは異なるDKBの強みや魅力を教えてください
【D1】パフォーマンスに尽きます。どのグループももちろんカッコよくていいパフォーマンスをしていますけど、DKBは自分たちですべての振り付けを作っていて、フリースタイルなどダンスパフォーマンスのレベルが違います。僕たちのオリジナリティとクリエイティビティから生まれるパフォーマンスのカラーが魅力になっていると思います。
ーークリエイティブの源はどこからで、それをどう磨いているんですか?
【LUNE(ルン)】常にいろいろなことからインスピレーションを受けるようにしています。海外のアーティストの曲を聴いたり、ほかの振り付け師のダンスや特徴的な動作から学んだり、さまざまなところから得た情報を僕たちなりに分析して消化して。そのアウトプットはメンバー同士で話し合ったりして作り上げていきます。
ーー韓国デビューしてすぐにコロナで活動できなくなりました。その間はどのような気持ちでどのようなことをしていましたか
【GK(ジーケー)】リアルのライブやイベントができないことはもどかしかったんですけど、練習生のときのマインドに戻ってクリエイティブもパフォーマンスも磨いてきました。その間に積み上げてきたものやいろいろな思いをアルバムとしてリリースすることができたのはよかったです。
ーーコロナがあったことで、DKBにとってプラスになったことはありますか?
【JUNSEO(ジュンソ)】練習する時間が増えたことで、メンバーとの距離感がより近くなってチームワークがよくなったと思います。お互いのクオリティを高め合うことができました。
日本ショーケースライブにファンが来ない不安もあった
ーーコロナを経た日本ショーケースライブに不安はありませんでしたか?
【E-CHAN(イチャン)】もちろん不安はありました。初めてのショーケースであり、コロナも完全に収束したわけではないので、会場に来てもらえるのだろうかと考えることはありました。でも、大勢のファンの方が来てくれていて、とてもうれしかったです。
ーー日本でも多くのK-POPグループが活動しています。そのなかでDKBが勝ち残っていくために必要なことをどう考えますか
【HEECHAN(ヒチャン)】僕たちの特徴であるオリジナルのパフォーマンスをもっと磨いて差別化させて、DKBはどのグループと比べてもすごいって思っていただけるようにならないといけない。ファンの方々とは友だちのような距離感になっていきたいです。
ーー世界で活躍するK-POPグループは多くいます。K-POPが国境を超えて人気を得る要因をどう考えますか
【TEO(テオ)】音楽のスタイルに制限がないことではないでしょうか。僕たちはHIPHOPアイドルですけど、アルバムの曲はR&Bやトロピカルビートなど多様なジャンルに渡り、そのクオリティが高いことがK-POPという音楽になっていると思います。もちろんDKBも活動の場を世界に広げていきたいです。
ーーDKBの「ライバルグループ」と「目標にしているグループ」を教えてください
【HARRY-JUNE(ヘリジュン)】個人的にはデビュー時期が近いGHOST9とBAE173です。友人が所属しているのもあります(笑)。彼らもHIPHOP系の音楽をやっていて、音楽性が近くてパフィーマンスのクオリティも高い。目標はMONSTA X。作詞作曲をしてダンスパフォーマンスも自分たちで作っているから。
チャムシル総合運動場を満席にして次に東京ドーム
ーー今回の来日で、日本でやりたかったことはできましたか?
【HEECHAN】日本語を勉強していたこともあって、ホテルのスポーツジムを使うのに自分で日本語で予約をしました。YUKUさんに頼らないでできたのが誇らしかったです。ちゃんと予約ができているかはわかりませんけど(笑)。
【E-CHAN】僕の人生で一番幸せだったのは、大阪のユニバーサルスタジオに行ったとき。その世界観にハマって、韓国に戻ってからもずっと余韻から抜け出すことができなかったんです。こんどはメンバーとデイズニーランドとディズニーシーに行ってみたいです。
【TEO】日本のメロンパンを食べてみたかったんです。中学生のころにすごく有名でした。今回初めてコンビニで買って食べてみたら最高でした!
ーーDKBの将来像を教えてください
【D1】アジアを超えて全世界に僕たちの名前を知らしめたい。世界的に影響力のあるグループになりたいです。
【HEECHAN】まずは韓国のチャムシル総合運動場を満席にして、次に東京ドーム。それからアメリカに進出して世界をまわっていきたいです。