一生に一度は浸かりたい!「にごり湯を楽しめる温泉地」5選(西日本編)
温泉はそれぞれが個性をもつ。わかりやすいのが湯の色だろう。全国各地を回っていると、白や緑、茶、青、赤などさまざまな色の温泉があることに気付く。
「温泉はにごっていないと入った気がしない」という人は少なくない。にごり湯は温泉情緒を演出する効果がある。たしかに個性的な色の源泉につかると「ああ、はるばる温泉にやってきたなあ」と満たされた気持ちになるだろう。
そこで、今回はにごり湯が楽しめる温泉地を西日本エリアに絞って5カ所紹介したい。源泉かけ流しで、鮮度の高い湯ばかりである。
湯の峰温泉(和歌山県)
開湯1800年、日本最古の湯としても知られる山あいの温泉地。熊野詣の拠点としての利用者も多く、世界遺産の中で唯一入浴できる温泉地でもある。気軽に入浴できる公衆浴場もあるが、濁り湯に入りたいなら足元湧出泉の「つぼ湯」がおすすめ。1人でいっぱいになる岩の湯壺の底から湯が湧き出し、透明から白や灰色など7色に変化するという。
有馬温泉(兵庫県)
関西を代表する有馬温泉は、赤系の濁り湯の代表格である。昔から湧く「金泉」は、鉄分と塩分を含んだ源泉で、塩分濃度は海水をしのぐほど。赤褐色の湯は、透明度はきわめて低く、成分の濃厚さを肌で感じられる。温泉街の中心にある共同浴場「金の湯」では気軽に金泉を堪能できる。もちろん、足湯も見事な濁り湯である。
温泉津温泉(島根県)
世界遺産・石見銀山ゆかりの温泉地で、往時は銀の積み出し港として賑わった。昔ながらの建物が並ぶ温泉街は、鄙びていて風情は満点。「元湯泉薬湯」と「薬師湯」の2軒の共同浴場はアツアツの湯で知られるが、緑色に濁った源泉がかけ流しにされ、きわめて新鮮である。湯船や床に温泉成分(湯の花)が堆積した浴室は、その歴史とともに温泉の濃厚さも感じられる。
筌の口温泉(大分県)
人気観光スポットである「九重夢大吊橋」の近くにある筌の口温泉。高原に位置する静かな温泉地だ。共同浴場としてはかなり大きなサイズの湯船には、鉄分を含んだ褐色の濁り湯がザバザバとかけ流し。また、明治35年創業の老舗宿「旅館新清館」の森の中にある露天風呂にも褐色の源泉がかけ流しにされており、木々の緑色とのコントラストが見事である。
雲仙温泉(長崎県)
標高700m、雲仙国立公園内にある温泉地。明治以降はアジア在住外国人の避暑地として栄えた高原リゾートである一方、雲仙地獄などの荒々しい自然を間近に感じることができる。その地獄地帯を源とする温泉は豊富で、宿泊施設のほか共同浴場でも乳白色の湯をかけ流しで堪能できる。なお、時期や天候などの条件によって透明や灰色などに色が変化することもあり、まさに自然任せの湯である。特に日帰り施設「小地獄温泉館」は、目が覚めるような鮮やかな乳白色だ。