お食事が楽しみな山小屋泊まり 丹沢縦走登山ロングコース「丹沢三峰・丹沢主稜」トレッキング(DAY1)
△マイナー登山道をあるく△(0006)
神奈川県・丹沢山塊を北東方面からアプローチ。登山者もすくなく静かでゆったりとした森と山歩きが堪能できる一泊二日の縦走コースです。全2回の1回目(前編)です。
<趣意>
あまりメジャーではないマイナーな登山道。ちょっと気になってはいたもののなかなか行く機会のなかった山道を歩いてみました。
<丹沢三峰の魅力>
(1)裏丹沢といった趣の静かな森と山歩き
大倉尾根や表尾根などのアクセス便利でメジャーなルートとは異なり登山者の数が少なめです。そのため静かに丹沢の森と山を満喫することができます。また表丹沢と比較すると樹林も濃く感じます。
(2)東京近郊で楽しめるロングコース
丹沢三峰から丹沢主稜は東京近郊とは思えぬほど山塊の中の長い稜線となります。また稜線上は奥多摩や秩父などと比較すると樹林が少なく開けて明るいため、さながら北アルプスの稜線歩きにも似た雰囲気があります。
<概要>
丹沢三峰 (たんざわみつみね)
所在地: 神奈川県相模原市緑区、愛甲郡清川村
丹沢山塊の北東にある宮ヶ瀬湖から南西に伸びる屋根を丹沢山へ向かう縦走ルート。
登山ルート上の東峰(本間ノ頭)、中峰(円山木ノ頭)、西峰(太礼ノ頭)を”丹沢三峰”と総称する。
標高は東峰:約1345m、中峰:約1360m、西峰:約1352m。丹沢山:約1567m。丹沢山は日本百名山。
<登山コース>
宮ヶ瀬湖を起点に南西へ丹沢三峰を越えて丹沢山を登り、その先は丹沢主稜を西へ蛭ヶ岳、檜洞丸と縦走して西丹沢ビジターセンターへ下山するルートです。今回は1日目として丹沢三峰を経由して丹沢山までのルートを紹介いたします。
●DAY1
1日目は宮ヶ瀬湖から丹沢三峰を経由して丹沢山へ向かいます。
宮ヶ瀬湖そばの「三叉路」バス停からスタートです。信号の先を左手へ県道70号線に入り、すこし歩くと右手に登山口があります。初端は尾根の取り付きなので急登です。しばらく上がっていきますと左手に山神社の祠があります。傾斜はしだいに緩んでいきます。壊れかけたシカ防止柵を通り抜けます。このあたりまでは杉林で少しくらい森のなか。やがて稜線に出ます。左手の視界が開けて相州アルプス(仏果山など)の山並みがよく見通せます。
高畑山までの手前に来ると尾根道と巻き道に分岐します。せっかくなので今回は高畑山の山頂を目指します。すこし斜面を登ると広場のようになだらかな山頂に出ました。山頂を越えて下ると巻き道の合流点です。その先で金冷シに差し掛かりますが、進路がちょっと分かりにくい。一見すると右手の岩場の方へ進むのかと思いきや、左手にいったん下るようにルートが付けられています。藪に覆われて隠れているようになっているので見落としかねません。道には鎖が付けられており、足元のステップがすこし小さい。
金冷シを過ぎるとピーク(松小屋ノ頭)の左手(南側)をトラバースするように進みます。いよいよここから先が丹沢三峰となり、何度かの登り返しをくりかえしながら丹沢山へ向かいます。まず最初の東峰(本間ノ頭)がルート上に立ちはだかります。急登をつめてピークに出てほっと一息。さらにその先を進んでいくと視界の遠めに小屋らしきものが立つピークが右手斜め前方に見えてきます。丹沢主稜に建つ休憩所がある不動ノ峰でしょうか。
樹林帯の稜線を歩きやがて中峰(円山木ノ頭)を越えるとさらに遠くの頂きが見えてきます。蛭ヶ岳でしょうか(自信なし…)。そして最後の西峰(太礼ノ頭)まで来ました。丹沢山まで1.9km。「なんだ、あと少しだな」と思いますが、ここからが意外に長い(と感じます)。丹沢山(?)らしき山が姿を見せます。そこまでかなりの大下りをしてまた登り返さなければならず、実際の目で見たときのその距離感から軽く絶望を感じてしまいます(ため息をつく)。
ここまで来たら引き返すわけにも行かないので先へ足を進めます。ようやく登り返して木道が出てくれば丹沢山山頂まではもう一息(いや二息くらいか)。左手に見える市街地は秦野や伊勢原でしょうか。ようやく山頂の山小屋「みやま山荘」の建物が見えてきました。今日はここでお泊まりです。わたしは下戸なのでコーラをいただいて自分を慰労します。
「みやま山荘」はこじんまりとした山小屋ですが、たいへん清潔でキレイな建物です。何よりも嬉しいのがお食事。美味しい料理でも名の知れた山小屋です。夕食は焼肉! 小さな山小屋なので食堂は少し手狭で、ここでぎっちりと全員が腰掛けて焼肉をするので部屋のなかは初冬とはいえ熱気ムンムンです。夜になれば小屋の裏手から麓の市街地の夜景を眺めることができます。明日に備えて就寝です。
DAY2につづきます(次週掲載予定)。
[行程表]
※標準的タイムによる目安(休憩含まず)
●1日目
「三叉路」バス停→ 御殿森ノ頭(60分)→ 高畑山(30分)→ 金冷シ(45分)→ 本間ノ頭(100分)→ 円山木ノ頭(40分)→ 太礼ノ頭(30分)→ 丹沢山・みやま山荘(50分)
コースタイム/ 6時間程度(全行程:13時間程度 ※1泊2日)
標高差/ 1250m程度(三叉路バス停:297m、本間ノ頭:1345m、丹沢山:1567m)
[登山コースの補足]
道標は要所に設置されており迷うことはあまりないと思われます。
●水場やトイレなど
水場は登山道上にはありません。
トイレは丹沢山山頂にあります。
[難易度・危険箇所など]
とくに大きな難所や危険箇所などはほとんどありません。
何度も登り返しを繰り返しますのでけっこう体力を要求されます。
ゴールデンウィーク頃から秋口までヤマビルが出ます。
●エスケープルート
三叉路バス停から登り始めた場合、本間ノ頭まで行く前までなら三叉路バス停に戻った方が早いかと思います。ただし三叉路バス停の運行本数は多くはありません。みやま山荘(丹沢山)からエスケープする場合には塔ノ岳まで出て(約90分)大倉尾根を下る方が一番早く、またバスの本数も多いですしタクシーも呼びやすいです。
[アクセス]
小田急小田原線「本厚木」駅から路線バス(神奈川中央交通バス)で「三叉路」バス停まで約45分。
[コースマップ]
「丹沢・大山安全登山マップ」 (山と渓谷オンライン)
<こんな方にオススメ>
(1)縦走登山が好き
(2)静かな山と森歩きが好き
(3)食事の美味しい山小屋に泊まりたい
<補足情報>
[売店等]
登山道上に売店等はありません。
本厚木駅そばにはコンビニエンスストアがあります。
みやま山荘ではドリンク類が販売されています。
[お食事処]
本厚木駅周辺には数多くの飲食店があります。シロコロホルモンがご当地B級グルメとして有名です。
[日帰り温泉など]
湯花楽 厚木店
[山小屋等の宿泊施設]
みやま山荘
[付近の山]
塔ノ岳
鍋割山
畦ヶ丸
大野山
丹沢主脈
丹沢主稜(蛭ヶ岳・檜洞丸)
相州アルプス(経ヶ岳・仏果山・高取山)
[そのほかの補足]
●宮ヶ瀬水の郷
三叉路バス停から県道64号線を宮ヶ瀬湖の方へ進むと設けられた商店街や飲食店などの観光施設(公衆トイレあり)
<私的な雑感>
「丹沢三峰」は静かな山のなかでゆっくりと森歩きが楽しめる登山コースという印象です。
険しさや難易度という面では大倉尾根の登り一辺倒よりは体力的にしんどくないかと感じます。個人的には静かな森のなかを自分のペースでゆったりと自然を楽しみながら登れるので楽しいイメージです(大倉尾根は「修行」「トレーニング」という感覚なので…)。
ただし距離は長いです。また登り返しを何度も繰り返すことになるので、逆にその方が嫌という方もいるかもしれません。これはそれぞれの好みの差でしょうか。また登山者の数は大倉尾根と比較すると「ほとんどいない」とも言えるほどですので「寂しい」と感じることもあるかもしれません。
そんなわけで、「丹沢三峰」は、丹沢の奥深さと多様な魅力を知ることができるとても魅力的な丹沢登山コースのひとつといえると思います。
<備考>
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