紅葉登山を楽しむ♪ 宮ヶ瀬湖の眺望とヤセ尾根の露岩帯などの変化に富んだ「相州アルプス」ハイキング
◆東京近郊ハイキング・レポ◆(0006)
神奈川・丹沢山塊にある宮ヶ瀬湖の東側を南北に走る山稜でご当地アルプスのひとつ。都心からもアクセス便利で標高700m程度の稜線を繋いで気軽に縦走登山を楽しめます!
<趣意>
東京とその近郊のハイキングで個人的なお気に入りのコースをピックアップして紹介いたします。
<こんな方にオススメ>
(1)都心からアクセスのよいところで縦走がしたい
(2)変化に富んだ山道を歩きたい
(3)ダムが好き
<概要>
相州アルプス (そうしゅうあるぷす)
所在地: 神奈川県厚木市、愛甲郡愛川町・清川村
主なピークは南から経ヶ岳(633m)、仏果山(747m)、高取山(705m)。
関東ふれあいの道・神奈川県「12.丹沢山塊東辺のみち」「17.北条武田合戦のみち」と一部重複する。
<ハイキングコース>
「半僧坊前」バス停を起点に稜線へ上がり南から経ヶ岳、仏果山、高取山と北上して宮ヶ瀬湖に下山するルート。低山ながら想像以上に起伏があり、また表丹沢の眺望、紅葉などの森の景観やヤセ尾根の露岩帯など様々な登山の要素がいっぱい。
■「半僧坊前」バス停から経ヶ岳まで
「半僧坊前」バス停からスタートです。渋い門構えの勝楽寺(別名:田代半僧坊)の前に出て”関東ふれあいの道”の道標に従い道を進みます。国道412号線の側道のような細い道の先に経ヶ岳を指示する道標が立っています。
沢沿いの針葉樹林のなかへ入りますが、ちょっと暗くてものさびしい雰囲気……。砂防ダム(?)を越えるとその先からは斜面をグイグイと登らされます。バス停から経ヶ岳までの標高差はおよそ600m。息を切って急坂を登りつめ、見上げた先に青空が広がってくると経ヶ岳山頂です。
このときは紅葉の後半の時期。丹沢の表尾根手前の大山山稜あたりが一面オレンジ色に染まって燃えあがるような様子はなかなか壮観です。急坂を上がり火照った体に秋の爽やかな空気が心地よい。天高い風景は晴れ晴れとした気分にさせてくれます。
経ヶ岳からこの先はしばらく広葉樹の森が広がります。低山なので稜線は樹林帯であり雰囲気としては森歩きに近い感覚。時期的に森は赤や黄色に鮮やかに染まり、さながら紅葉ウォーキングの趣です。
■経ヶ岳から仏果山を経て高取山まで
経ヶ岳から半原越までいったん下ると仏果山へ向けて稜線の登り返しです。丹沢名物(?)の長い階段道が登場。稜線上の小さなピークをいくつも越えていきます。道標に記載の仏果山までの距離にいささか疑心を抱く……。
「この先こそ仏果山か!」と希望を抱きながら斜面を上がっていきますが淡い期待は裏切り続けられます。道標の表示を見ていよいよ仏果山も近くなりますが、その先はちょっとした険路です。ヤセ尾根や岩場が断続しますが、難易度は高くないので道に変化が出てすこし面白い。
ミニ難路を通り過ぎるとやっと仏果山に到着。仏果山の山頂には展望台が建ち、最上部まで上がればぐるりと360度の風景が見渡せます。山頂にはベンチがいくつもあるので休憩にはもってこいです。
仏果山から最後のピーク高取山を目指します。いったん宮ヶ瀬越えまで下り、高取山へ登り返します。高取山にも展望台が建っておりこちらも眺望はとてもよいです。高取山からは宮ヶ瀬湖へ向けてひたすらの下り坂になります。
■高取山から宮ヶ瀬湖と宮ヶ瀬ダムを目指しての下山
広葉樹の森のなか、落ち葉を踏みしめてさくさくと下っていきます。ときおり見下ろせる宮ヶ瀬湖がなかなかよい眺め。コーヒーでも淹れて一服したい気分です。行く先には紅葉のトンネルのような道もありなんとなく異世界のような雰囲気を感じます。
下り道も半分ほどのところに展望スポットがあります。宮ヶ瀬湖方面の木立が刈り払われ、テラスのように張り出した広場となっており眼下の宮ヶ瀬湖を広く見晴らせます。
展望広場から下は宮ヶ瀬湖への階段道をずっと下っていきます。登りに利用したらちょっと辟易しそうです。「やはり階段道は丹沢名物だなー」と勝手な感想。下りきれば宮ヶ瀬ダムの堰堤に出ます。
右手に宮ヶ瀬ダムに併設の「水とエネルギー館」そして左にインクライン山頂駅。今回、インクラインに乗ってみるのもひとつの楽しみでした(※有料)。ダム上部の堰堤からダム下部まで一気に直降下するミニケーブルカーのようなものといえばイメージしやすいでしょうか。インクラインを下車して「半原」バス停までは徒歩30分程度。今回はここがゴールです。
相州アルプスは標高1000mにも満たない山稜の縦走路です。稜線から時折り見晴らせる丹沢山塊と山並みの眺めが素晴らしく、また小ピークをいくつも越える歩き応えそしてヤセ尾根や露岩帯などのちょっとした変化もありいろいろな要素が詰まったハイキングコースとして楽しめるなーという感想です。
[行程表]
※標準的タイムによる目安(休憩含まず)
「半僧坊前」バス停→ 経ヶ岳(90分)→ 半原越(25分)→ 革籠石山(45分)→ 仏果山(40分)→ 宮ケ瀬越(20分)→ 高取山(10分)→ 宮ケ瀬湖・宮ヶ瀬ダム(70分)→ <インクライン>→ 山麓駅→ 「半原」バス停(30分)
コースタイム/ 5時間30分程度(インクラインの待ち時間と乗車時間は除く)
標高差/ 650m程度 (半僧坊前バス停:90m、経ヶ岳:633m、仏果山:747m、半原バス停:120m)
<ハイキングコースの補足>
”関東ふれあいの道”に重複する部分も多いので道標がしっかりと設置されており迷うことはあまりないと思います。森のなかは作業道と交錯しているところもあるため踏み跡などをしっかりと確認した方がよさそうです。
宮ヶ瀬ダムにはインクラインのほかにエレベーター(※無料)があります。
宮ヶ瀬湖周辺の紅葉最盛期は平年ですと11月中旬~下旬にかけてとなります。
”関東ふれあいの道”は環境省の長距離自然歩道構想に基づき関東地方各自治体が整備しているハイキングコース(首都圏自然歩道ともいう)です。
[水場やトイレなど]
水場は登山道上にはありません。
トイレは宮ヶ瀬ダム、水とエネルギー館、半原バス停にあります。
[難易度・危険個所など]
とくに大きな難所や危険個所などはあまりありません。
稜線上の一部にヤセ尾根の露岩帯がありますので足元に注意が必要です。
宮ヶ瀬湖への下りに急斜面の階段道があり一部は路肩が崩れていたり滑りやすいので足さばきに注意が必要です。
●エスケープルート
仏果山と高取山からはそれぞれ国道412号線に通じる登山道があり、国道沿いに本厚木駅行きの路線バスが運行しています(最寄バス停「野外センター前」)。
[アクセス]
●往路
小田急小田原線「本厚木」駅から路線バス(神奈川中央交通バス)で「半僧坊前」バス停まで30分程度。
●帰路
「半原」バス停から路線バス(神奈川中央交通バス)で小田急線小田原駅「本厚木」駅までおよそ40分強。
[付近の山]
大山
三峰山
石砂山
塔ノ岳
鍋割山
石老山
渋沢丘陵
関東ふれあいの道
<相州アルプスの魅力>
(1)ヤセ尾根や鎖場など意外に楽しめるポイントがある
低山ですが一部(今回のルートですと仏果山の手前)に露岩帯があり岩稜登山のようなヤセ尾根や鎖場のちょっとした険路があるので変化があって楽しめます。
(2)西側の丹沢主稜(塔ノ岳など)の稜線の見晴しがよい
とくに経ヶ岳の山頂付近から広く見渡せる丹沢主稜の山の連なりはなかなか見応えがあります。地図を手にして実際に見えるピークがどの山かを同定してみるのも面白いです。
<今回お食事をいただいたお店>
●なまらうまいっしょ
本厚木駅そばにある北海道・十勝豚丼の専門店です。メインメニューは基本的に「国産バラ豚丼」と「国産本ロース豚丼」の2種類。ひとくち食べてみると炭火焼の香ばしさが広がります。タレは醤油ベースの甘ダレですが後味はあっさりした印象のためさくさくと箸が進みます。すこし厚みのある豚バラや豚ロース肉の豚丼は食べ応え十分です!
<関連記事>
低山ながら深山幽谷の雰囲気を醸す「石老山」 ◆東京近郊ハイキング・レポ◆(0002) (Yahoo!ニュース)
<参考リンク先>
関東ふれあいの道(首都圏自然歩道) (神奈川県)
丹沢大山エリアの登山道通行情報 (神奈川県)
宮ヶ瀬ダム (愛川町観光協会)
(2024/10/02 上町嵩広)