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オートバイのあれこれ『タフネスはピカイチ!GS750』

Rotti.モトエンスー(moto enthusiast)

全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。

今朝は『タフネスはピカイチ!GS750』をテーマにお話ししようと思います。

1969年にホンダから『CB750FOUR』がデビューして以降、急速に沸き立ったナナハンブーム。

▲ホンダ・ドリームCB750FOUR
▲ホンダ・ドリームCB750FOUR

ホンダに負けじと、その他のメーカーも急ピッチで大型バイクの開発に乗り出しました。

カワサキは『900SUPER4(Z1)』『750RS(Z2)』、ヤマハは『XS-1』からの『TX750』をそれぞれ作り上げ、スズキは『GT750』でこのビッグバイク・ウォーズに応戦。

▲カワサキ・900SUPER4(Z1)
▲カワサキ・900SUPER4(Z1)

こうして国内大手4社に大型バイクが出揃ったわけですが、実のところスズキは、この時点で他3社にやや遅れを取っていたと言わざるを得ません

どういうことかと言うと、ホンダ・ヤマハ・カワサキが4ストロークエンジンでビッグバイクを開発したのに対し、唯一スズキだけが、2ストエンジン(GT750)でビッグバイク戦線に臨んでいたのです。

▲スズキ・GT750
▲スズキ・GT750

CBが4ストで、また、元々2ストを得意としていたカワサキやヤマハまでもが4ストで勝負を挑むようになり、まさに時代は2スト主流から4スト主流への転換期だったにもかかわらず、スズキは依然として2ストに固執していたということですね。

もっとも、当事者のスズキは得意の2ストロークでこの局面を生き抜くつもりでいました。

しかし一方、世間へ目をやると、大気汚染問題が取り沙汰され2ストエンジンの肩身が狭くなっており、また、4スト4気筒を搭載したCBやZが世界中で大人気を得ている状況。

この現実を見たスズキは「もう2ストだけではやっていけない」と悟り、ついに4ストロークの分野へ進出することを決めたのでした。

そうして生み出されたのが、このGS750です。

▲スズキ初の4ストマシン・GS750(画像はEモデル)
▲スズキ初の4ストマシン・GS750(画像はEモデル)

GS750の最大のトピックは、とにかく頑丈であること。

4スト開発については最後発であり、他メーカーに対して“後出しジャンケン”である以上、GSを駄作にすることだけは絶対に避けなければならず、そこでスズキが取った戦略が、とにかく品質を上げるということなのでした。

GSの開発では通常の2倍に及ぶ品質テストを実施し、車両の耐久力・信頼性をとことん錬磨。

デザイン面においても、慎重を期して突飛なことはせず、オートバイとしてのベーシックな形でGSを完成させました。

▲スズキ謹製!超頑丈な4スト4発エンジン
▲スズキ謹製!超頑丈な4スト4発エンジン

こうしてGS750は1976年(昭和51年)にデビューを果たしますが、結論から言うと、GSはやはり商売のうえではCBやZを凌駕することはできませんでした。

ただ一方で、スズキがこだわり抜いた耐久力の高さが功を奏することになります。

名チューナーとして名を馳せていた吉村秀雄氏(ヨシムラジャパン創業者)がGSのクオリティの高さに感心し、GSを『ヨシムラスズキ』のレーシングマシンに使用、そのGSがなんと、アメリカで人気だったレース『AMAスーパーバイク選手権』にて早々に優勝を果たしたのです。

レースでの活躍はGSのまたとない宣伝となり、こうしてGSはその名と実力を世間へ知らしめ、一躍人気車の地位を得たのでした。

モトエンスー(moto enthusiast)

バイクを楽しむライター。バイク歴15年で乗り継いだ愛車は10台以上。ツーリング/モータースポーツ、オンロード/オフロード、最新バイク/絶版バイク問わず、バイクにまつわることは全部好き。

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