オートバイのあれこれ『アメリカで活躍するレーサーマシンが由来!FTR250』
全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。
今日は『アメリカで活躍するレーサーマシンが由来!FTR250』をテーマにお送りします。
突然ですが、フラットトラックレース(ダートトラックレース)を知っているでしょうか。
フラットトラックレースは、平坦なオフロード(土で固めた路面)のオーバルコースを周回して競うバイクレースの一種。
日本ではあまり馴染みがありませんが、アメリカでは歴史ある伝統的モータースポーツとして現在でもひじょうに人気の高い競技です。
参考動画↓↓
今回は、まるでこのフラットトラックレースから飛び出してきたような日本の市販オートバイをピックアップしましょう。
ホンダの『FTR250』です!
一見、カジュアルなストリートモデルのようにも思えますが、実はこのFTR250はフラットトラックレースを戦うレーシングマシンが元になっています。
そのレーシングマシンとは、ホンダのフラットトラック用ワークスレーサー『RS750D』。
RS750Dは1984年と85年の2年連続で、フラットトラックレースの全米選手権を制覇するという快挙を成し遂げました。
ホンダはこの実績あるRS750Dをモチーフとし、市販車のFTR250を開発したというわけです(記念的な意味合いもあったのかもしれません)。
いわばFTRは、RS750Dのレプリカマシンのような存在ですね。
フラットトラックレーサーが元ですから、FTRは当然ダート上での運動性能が追求された作りとなっています。
車体は低重心かつ軽量コンパクトで、タイヤはオフロード用としては太いものを履き、ハンドルバーも(旋回時にカウンターを当てやすいよう)幅広で切れ角が大きく持たせられていました。
また、ボディカラーは青×赤×白のトリコロールカラーとされ、ゼッケンプレート風の大柄なサイドカウルも備えるなど、FTRは外観的な部分においてもRS750Dがトレースされていました。
そして極めつけは、ヘッドライトといった公道用保安部品を簡単に取り外せるようになっていたこと。
ホンダは冗談でなく、このFTRをレースで使うことを想定していたのです。
『NSR250R』といったオンロードレプリカモデルが容易に「レーサー化」できたのと同じように、FTRも少しの手間でレースを戦えるようになっていたということです。
このように、想像以上にレーシングマシンに近いFTRでしたが、この特色は残念ながら当時の日本のバイク市場では受け入れられませんでした。
デビューした1986年当時がオンロードのレプリカブームだったこと、そして何より、日本におけるフラットトラックレースの認知度がそもそも低かったことが、FTRが奮わなかった最たる理由でしょう。
結局FTR250は1986年のデビューから4年ほどで生産が終えられ、姿を消していきました。
ただ…、姿を消してから約10年後、FTRは異なる形で再登場することになります。
画像引用元:本田技研工業/RMD Motors