20周年を迎えるウェスティンホテル東京のレストランを振り返る(1) - 日本料理「舞」
ホテル新御三家の一角
2013年12月に「東京マリオットホテル」がオープンしました。2014年には、虎ノ門ヒルズに「アンダーズ」が、大手町タワーに「アマンリゾーツ」がオープンする予定で注目されています。
こういった外資系高級ホテルが注目されているのも、先駆けであるホテル新御三家の「パークハイアット東京」「フォーシーズンズホテル椿山荘」「ウェスティンホテル東京」が礎を築いてきたからでしょう。
(フォーシーズンズホテル椿山荘は、契約期間を過ぎて更新しなかったので椿山荘に戻る)
ホテル新御三家の中で、ウェスティンホテル東京は2014年に20周年という節目を迎えます。20年もの長い間ずっと支持されてきたのは、こだわりの料理人がいるレストランの力が大きいでしょう。
ウェスティンホテル東京の魅力的なレストランを改めて振り返ってみます。
第1回目は日本料理「舞」です。
常に疑問を持ちながら続けている
「舞」の料理長は斎藤雅彦氏です。「ワガママな料理だとも思うが、伝えたいことが多い」と自らの哲学を貫き、「常に、これでいいのかな?」と自問自答して新しい日本料理の形を作っている料理人です。
斎藤氏は通常の日本料理の概念に囚われず、自分がよいと思う方法を実践してきました。
最初に一番出汁を
最初に一番出汁を提供して飲んでもらうスタイルを貫いています。「家庭では味わえない」「引き立ての出汁のおいしさと知ってもらいたい」ということから、最初に一番出汁を提供しているのです。
一番出汁を提供しているので、最後にお吸い物を出していないのも面白いところです(要望があれば、提供しています)。
10年間提供し続けていて、同じ味に仕上がったことはありません。味を決めることはせず、その季節その日の状態に合わせて、最もよいと思う味に仕上げているからです。こういった味のブレがあるのは、職人ならではのこだわりと言えるでしょう。
刺身は厚い方が旨い
刺身には刺身の厚さというものがあります。通常は10ミリ、カツオなどは18ミリくらいが適切であると言われているのです。
斎藤氏には、刺身は厚く切って豪快に食べた方がおいしいという持論があり、どの刺身も20ミリ以上の厚さにしてます。「旬の魚を存分に堪能してもらいたい」「たっぷりと食べてもらいたい」というおもてなしの表れからです。
夏に鮎を提供しないという哲学も貫いています。日本料理で夏に鮎を提供しないということは普通ありません。「他のお店で嫌というほど鮎を食べているだろうから」「どの日本料理も夏に鮎を出すというのは、つまらない」というように、飽きずに楽しんでもらいたいという考えからです。
徹底的に楽しんでもらいたい
日本料理では、コースの最後となる「お食事」で、ウニご飯が提供されることがあります。白米にウニを載せたり、ウニを加えて炊き込みご飯にしたりと、シンプルにすることがほとんどです。コスト的な問題もありますが、余計なものを排除してスマートに提供したいという「日本料理の心」も影響しているでしょう。
しかし、斎藤氏は徹底的にウニを使います。ウニを加えて炊き込みご飯にした上で、さらに生ウニを載せ、仕上げにウニ醤油をかけて提供しているのです。「食べていただくのであれば、徹底的にウニを楽しんでいただきたい」という気持ちからで、シンプルさを好む日本料理人らしくないところですが、こういった徹底的な姿勢が客の心に響いているのでしょう。
枠組みにとらわれないことも大切
日本人であっても、肩肘張って緊張するからと日本料理を敬遠する傾向にあります。しかし、斎藤氏のように既存の枠組みにとらわれず、新しいアプローチをとっていけば、緊張よりも興味が勝り、食べに行きたいと思ってもらえるのではないでしょうか。
次回は鉄板焼「恵比寿」をご紹介します。
■情報
詳しくは公式サイトでご確認ください。