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秋の味覚の『ぎんなん』でけいれんを起こす?特に子どもの中毒に注意

堀向健太医学博士。大学講師。アレルギー学会・小児科学会指導医。
(写真:イメージマート)

イチョウの実であるぎんなんは、秋の味覚のひとつです。

私は、茶碗蒸しにぎんなんが入っていないと、なんだか寂しくなってしまいます。

一方で、『子どもに歳の数以上にぎんなんを食べさせてはいけない』と聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。

実は、昔からぎんなんは中毒を起こす可能性のある食べ物であることがわかっていて、1708年に、日本の貝原益軒(かいばらえきけん)という学者が『子どもにはぎんなんを食べさせてはいけない』と、書物のなかで書いておられるそうです[1]。

そして、2000年以降、ぎんなん中毒の患者が増加しています。

ぎんなん中毒は成人にも発症しますが、特に子どもに多く、3歳以下のお子さんが全体の60%程度を、10歳未満の方が全体の80%程度を占めているとされており、注意を要します[3]。

ぎんなん中毒はなぜ起きる?

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ぎんなん中毒の原因物質に関しては、 4’-Oメチルピリドキシンという物質がビタミンB6というビタミンの代謝を邪魔することで起こることがわかっています。

ぎんなん中毒の主な症状はけいれんと嘔吐、意識障害です。

ビタミンB6は、神経伝達物質の合成を助ける成分であり、これらの症状を起こしやすくなるのです。

その中でも、けいれんは最も多くほぼ全員が発症します。10分から数時間の間隔で繰り返し起こり、中毒症状を起こす時間帯は、食べてから12時間以内、一番多いのは6時間以内とされています[4]。

加熱をしてもぎんなん中毒は予防できない

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ぎんなんを加熱をしたり焼いたりしたりしても、中毒の予防は出来ません。料理をしてもその中毒は防げないということですね。

そして、ぎんなんを食べた量だけではその予測はするのは難しく、子どもでは20から30個程度、成人では40個以上食べて中毒になったっていう報告が一番多いとされています[4]。

歳の数…というだけでは予防できないかもしれないということですね。

ぎんなん中毒で起こったけいれんの治療は?

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ぎんなん中毒によるけいれんに対して、一般的な抗けいれん薬(ジアゼパム)は有効です。しかし、繰り返すけいれんの予防は難しい場合があり、ぎんなん中毒とわかったときにはビタミンB6を補給します

ビタミンB6には、ピリドキシン、 ピリドキサール、 ピリドキサミンが含まれます。

その中でもピリドキサールという成分が最もぎんなん中毒に効果があることがわかっていて、静脈注射をすることになります。

しかし、ピリドキサールは、必ずしも病院に常備されているわけではありません。

ですので、ピリドキサールが含まれた総合ビタミン剤や、ビタミンB6が含まれた内服薬などでも効果があるため、場合によってはそういった薬を代替として使います。

ところで、最近知ったのですが、揚げぎんなんなどがスナック菓子のように販売されているそうです。スナック感覚でぎんなんをたくさん食べてしまう可能性がありますので、頭に留めておくと良いかもしれませんね。

そして少なくとも乳幼児のぎんなんは、歳の数にかかわらず避けておいたほうが良さそうです。

【参考文献】

[1]川島 陽介他. 小児内科 2011;43:624-5.

[2]小林 大祐他. 小児内科 2018;50:703-5.

[3]和田 啓爾. 小児科臨床 2012;65:1403-7.

[4]松田 武文. チャイルド ヘルス 2018;21:759-61.

医学博士。大学講師。アレルギー学会・小児科学会指導医。

小児科学会専門医・指導医。大学講師。アレルギー学会専門医・指導医・代議員。1998年 鳥取大学医学部医学科卒業。鳥取大学医学部附属病院・関連病院での勤務を経て、2007年 国立成育医療研究センターアレルギー科、2012年から現職。2014年、米国アレルギー臨床免疫学会雑誌に、世界初のアトピー性皮膚炎発症予防研究を発表。医学専門雑誌に年間10~20本寄稿しつつTwitter(フォロワー12万人)、Instagram(2.4万人)、音声メディアVoicy(5600人)などで情報発信。2020年6月Yahoo!ニュース 個人MVA受賞。※アイコンは青鹿ユウさん(@buruban)。

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