主な新興国/米国経済ニュース(7月10日)
ロシア海運船最大手ソブコムフロット、新規上場先でNY証取を選択か
ロシア海運最大手ソブコムフロットは新規株式公開(IPO)をニューヨーク証券取引所で行う方針を固めたもようだ。モスクワ・タイムズ(電子版)が8日に地元経済紙ヴェードモスチの報道を引用して伝えた。
関係筋によると、この方針はIPOの幹事社であるドイツ銀行やイゴール・シュワロフ第1副首相、ロシア連邦国家資産管理局(FASPM)もすでに承認しているという。ニューヨーク証取を選んだのは、多くの海運会社が上場されており、投資家の需要が高いためとしている。IPOではソブコムフロットは発行済み株式の25%を売り出す計画で、経済発展省の最近の試算では約100億ルーブル(約300億円)に相当すると見られている。
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ロシア財務省、8月末から1日最大40億‐50億円の外貨購入を開始
ロシア財務省のアレクセイ・モイセーエフ次官は8日の会見で、8月末から1日当たり最大で4000万‐5000万ドル(約40億4000万‐50億5000万円)の外貨購入を開始することを明らかにした。ロシアのプライム通信(電子版)などが伝えた。
同次官は会見で、外貨購入は財政赤字など危機時に対応する予備基金の残高水準を引き上げるためとしている。しかし、先月中旬、アントン・シルアノフ財務相は同省の外貨購入によってルーブル相場は対ドルで1‐2ルーブル下落するとの見通しを明らかにしており、通貨安による景気刺激効果も期待されている。
予備預金については、これより先、米信用格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスが先週末、予備預金と年金財政の赤字に対応する国民福祉基金の残高が2008年以降急速に減少しており、2008年の対GDP(国内総生産)比16.1%から今年半ば時点では同8.5%にまで低下していると指摘している。その上で、政府の金融システムの危機時の対応に対する懸念からロシア連邦貯蓄銀行(ズベルバンク)やロシア2位の金融大手VTB銀行などロシア国内の主要6行の長期優先債務格付けを引き下げている。
また、財務省は8月から余剰資金の銀行への預け入れ額の上限を満期3カ月未満を対象に、従来の5500億ルーブル(約1兆6500億円)から7500億ルーブル(約2兆2500億円)へ、2000億ルーブル(約6000億円)引き上げる。同時に、毎月15‐30日の納税期間に週1回の入札を実施することによって、財務省では銀行システムへの流動性の供給を潤沢にし、それによって実体経済にお金がまわるようにしたい考えだ。
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米資源大手フリーポートのインドネシア法人、今週末から操業再開へ
米資源開発大手フリーポート・マクモランのインドネシア法人であるフリーポート・インドネシアは、5月に起きた2件の重大な鉱山事故以来、操業を停止しているが、政府の特別事故調査委員会による事故評価が完了したことから、今週末にもインドネシア当局から操業再開の許可が下りる見通しとなった。ジャカルタ・グローブ(電子版)が8日に伝えた。
エネルギー・鉱物資源省のタムリン・シヒテ鉱物・石炭総局長は、事故調査チームは深部採掘の作業の再開を認める報告書をすでに提出しているとした上で、今週中には操業が再開されるとの見通しを示している。5月の事故後の操業停止で、同社は、8000万ポンド(1ポンド=453.6グラム)の銅生産と8万オンス(1オンス=約28.3グラム)の金生産の損失が発生しているとしている。
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ベトナムのフォンフー製薬、今年の税引き前利益23億ドンの達成目指す
ベトナム・ハノイ証券取引所(HNX)に上場している医薬品会社フォンフー製薬は、今年の業績目標を明らかにした。それによると、税引き前利益は23億ドン(約1150万円)、売上高は1000億ドン(約5億円)としている。地元金融情報サイト、ストックスプラス(電子版)が6日に伝えた。
また、配当金については1株当たり500ドン(約2.5円)を目指すとしている。同社の昨年度の実績は、売上高916億ドン(約4億6000万円)に対し、税引き前利益は25億ドン(約1250万円)、配当金支払いは1株当たり1000ドン(約5円)だった。
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米映画配信大手フル、ダイレクTVやAT&T、コムキャストの3者と身売り協議へ
米オンライン映画配信大手フルは身売り先として、有料衛星放送大手ダイレクTVや通信大手AT&Tとチェルニン・グループの企業連合、プライベートエクイティ(PE)ファンドのグッゲンハイム・ディジタル・メディアと米資産運用大手コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)の企業連合の3者と買収協議に入るもようだ。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)が8日に伝えた。
フルの共同オーナーである映画大手21世紀センチュリー・フォックスと娯楽・メディア大手ウォルト・ディズニー、ケーブルテレビ運営大手コムキャストの3社はこれらの買収提案を検討した上で、今後1‐2週間で最終決定するとしている。買収提示額は明らかにされていないが、ダイレクTVは早い段階で10億ドル(約1010億円)超を提示していた。
フルは2007年に設立され、現在、広告収入と顧客からの月7.99ドルの利用料収入で運営され、昨年は7億ドル(約710億円)を売り上げたが、伸び悩んでいる。今後の運営方法をめぐって、広告収入への一本化を主張するディズニーと利用料を主張するフォックスが対立したため、結局、身売りすることを決めている。
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米書籍販売大手バーンズ・アンド・ノ-ブル、リンチCEOが辞任-株価急落
米書籍販売大手バーンズ・アンド・ノ-ブルは8日、同社のウィリアム・リンチCEO(最高経営責任者)が同日付で辞任したことを明らかにした。同社はリンチCEOの後任は空席とし、その代わりに書籍部門と電子書籍端末(タブレット型PC)「ヌック(Nook)」を中心とした電子書籍部門の2部門に各CEOを配置して2頭体制とする機構改革を決めた。市場では同社が2部門に分社化する可能性が強まったとして株価が急落した。
リンチ氏の辞任は6月25日に発表された同社の今年度第4四半期(2-4月)連結決算で、リンチ氏が導入を決めたヌックの売り上げが前年比34%減と急減したことから1億1860万ドル(約120億円)の最終赤字を記録した責任を取った格好。機構改革ではマイケル・フセビーCFO(最高財務責任者)を新たに電子書籍部門のCEO(最高経営責任者)に選出する一方で、ミッチェル・クリッパー氏を書籍部門のCEOとして留任した。両CEOは今後、レオナルド・リジオ会長の下で事業を運営することになる。過去にリジオ会長は今回のような分社化の議論を提案していたことがある。
バーンズ・アンド・ノ-ブルの株価は8日の通常時間帯の終値は前日比0.11%安の17.66ドルだったが、通常取引後のリンチ氏の辞任発表を受けた時間外取引では終値からさらに4.87%安の16.8ドルまで値を下げている。
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ブラジル司法省、三菱自動車の「ASX AWD」449台のリコールを示唆
ブラジル司法省は8日、三菱自動車<7211.T>は2010-2011年に生産した小型SUV(スポーツ用多目的車)「ASX(日本名:RVR) AWD」のサンルーフに不具合があるとして、449台をリコール(無償回収・修理)する必要があることを明らかにした。ブラジル経済紙バロール・エコノミコ(電子版)が伝えた。
同省によると、サンルーフのガラスが外れて乗客やそれ以外の第3者にけがを負わせる可能性があるとしている。
三菱自動車は6月18日に、日本国内で販売されたRVRのサンルーフの不具合に関するリコール情報を発表している。それによると、「パノラマルーフ(サンルーフ)付き車両で、パノラマルーフガラスへの接着強化用下塗り剤(プライマー)が未塗布のまま組み付けられ、ガラスと接着剤との接着力が低いものがある。そのため、そのままの状態で使用を続けるとガラスが接着剤から剥離し、最悪の場合、パノラマルーフガラスが脱落するおそれがある」としている。リコール対象車種は2010年2月8日‐2011年3月28日の1893台となっている。 (了)