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『いちばんすきな花』でネットを沸かし『ビリオン×スクール』でいじめられる生徒に。上坂樹里の素顔は?

斉藤貴志芸能ライター/編集者
エイベックス提供

山田涼介が億万長者の身分を隠した教師に扮する『ビリオン×スクール』。底辺クラスでいじめを受ける女子生徒役で上坂樹里が出演している。『いちばんすきな花』や『となりのナースエイド』に1話だけ出演するや、ネットで「あの子は誰?」と騒然となった破格の美少女。連ドラレギュラー出演は初めてで、今回はメガネでおとなしい役柄だが、昨夜放送の2話でフィーチャーされて、いっそう注目を集めている。明日で19歳になる彼女の素顔と女優としての背景を探った。

生徒会長をやって人前に出るように

――『ビリオン×スクール』ではいじめを受ける役ですが、上坂さん自身は小・中学校と生徒会長をやっていたとか。昔から人前に出るタイプだったんですか?

上坂 自分で立候補しましたけど、姉もやっていたので、その影響が大きかったです。生徒会で活動してから、大勢の前でしゃべったりすることが好きになりました。

――選挙運動もしたんですか?

上坂 やりました。演説をしたり、クラスを回ったり。遅刻をなくす改善策とか「私が生徒会長になったら、これを叶えます」みたいな公約を三つ、大きな紙に書いて発表しました。

――芸能界にも小学生の頃から興味があったんですよね。

上坂 小さい頃はAKB48が流行っていて、アイドルに憧れていました。最初はモデルや女優になりたかったわけではないんですけど、こういう世界に入りたい気持ちはずっとあったと思います。

演技で新しい自分と出会えるのが楽しくて

――モデルや女優に興味を持ったのは、どんな流れで?

上坂 小学生の頃、母が買ってきた雑誌を見たときの衝撃が大きくて。モデルさんになりたい気持ちが強くなって、6年生のときにオーディションを受けて、事務所に入りました。お芝居はレッスンを受け始めてから、興味を持ちました。

――演技が最初から楽しかったんですか?

上坂 はい。自分の性格と全然違う役を演じると、見たことのない新しい自分と出会えたような気持ちになれて。

――生徒会で人前に出ていた上坂さんが、今回のようなおとなしい役をやったりしたときに?

上坂 私は生徒会で役割を担っていたので、行事とかでは前に出ていましたけど、普段は全然そんなことはなくて。教室の隅で1人で本を読んでいるような人でした。

――むしろハッチャケたりするのが、新しい自分だったわけですか?

上坂 はい、そうですね。

中学生からミステリーを読み始めて

――本のことはインスタでよく触れていたり、ギシギシに詰まった本棚の写真が上がっていたりしますが、かなりの読書家のようですよね。

上坂 本は好きです。中学生くらいから、父が買っていたミステリーを借りて、読むようになりました。

――どの辺から入ったんですか?

上坂 初めてちゃんと読んだのは、東野圭吾さんの『パラドックス13』です。SF寄りの物語で、すごくぶ厚くて。普段なら絶対読み切れなかったのが、最後まで止まりませんでした。それくらい面白かったんだと思います。

学園ドラマはずっとやりたいと思ってました

――ドラマや映画もよく観ていました?

上坂 テレビが好きなので、ドラマはよく観ています。『アンナチュラル』とかすごく好きでした。高校生になってからは1人で映画館に行き始めて、今も続いています。

――憧れの女優に清原果耶さんを挙げていますか、どの辺の作品で観ていたんですか?

上坂 もともと「ニコラ」のモデルをやられていて、その時代から単純に好きで追い掛けていました。女優さんもやられてるのを知って、『おかえりモネ』とか作品を観て、好きなだけでなく尊敬するようになりました。

――今回のような学園もので好きな作品はありましたか?

上坂 一番印象に残っているのは『3年A組』です。映画だと、少女マンガが原作の恋愛ものをよく観ていました。自分でもずっと学園ドラマはやりたいと思っていたので、『ビリオン×スクール』で叶って、すごく嬉しいです。

注目してもらえて元気の源になってます

――女優デビューしてから『ビリオン×スクール』まででは、特に大きかった出演作はありますか?

上坂 NHKの『生理のおじさんとその娘』が初めての地上波のドラマで、何もわからないまま現場に行く日々の中で、お芝居に対する気持ちがより高まりました。いろいろな方と関わって、たくさんのことを学べたと思います。

――レッスンは受けていても、現場ではまた違うでしょうね。

上坂 まったく違いました。想像していた何倍も大変です。もちろん楽しさもあって。まだ出演した作品は少ないですけど、毎回の現場で新しい世界を見させていただいて勉強しているので、まだまだこれからです。

――それにしても、『いちばんすきな花』の田中麗奈さんが演じた美鳥の高校時代など、1話出るだけでも「あの美少女は誰?」とネットをざわつかせていました。自分でも反響は感じていました?

上坂 こんな私に注目していただいて、すごく嬉しいです。お芝居を見て自分を知ってくださって、友だちや知り合いからも連絡が来て喜んでもらえて。元気の源というか、頑張る励みになっています。

――『ビリオン×スクール』ではレギュラー出演。これからさらに注目を集めそうですね。

上坂 プレッシャーもありますけど、素敵な作品なので、少しでも多くの皆さんにお届けできたらいいなと思います。

真面目で堅い役が来るだろうなと

――今回の梅野ひめ香役はオーディションで決まったそうですね。

上坂 そのときは役の指定はなくて、2人1組で告白するシーンをやりました。たぶん監督がみんなの個性を見て、合いそうな役に選んでくださったのかなと思います。

――手応えはあったんですか?

上坂 まったくなかったです。難しいシチュエーションの演技だったので。でも、自分の中ではやり切って、後悔はなくて。結果が来るまで、ドキドキしていました。

――学園ドラマをやるなら、自分はどんなキャラクターの生徒役が来ると予想していました?

上坂 きっと真面目で堅いタイプだろうなと思っていました。自分がそういうふうに見られることが多いので。

――ひめ香は想定の範囲内でした?

上坂 私はひめ香とピッタリ同じではないですけど、どこか似ている部分もあったので、驚きは少なかったかもしれません。

(C)フジテレビ
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1人で抱え込んでしまう苦しさはわかります

――どんなところがひめ香と似ているんですか?

上坂 おとなしいところもそうですし、ひめ香は周りを気にして1人で抱え込む、不器用なタイプなんです。全部自分で解決しようとする気持ちは共感しましたし、その苦しさもわかりました。

――上坂さんも自分で抱え込んでしまうと?

上坂 唯一、母には何でも相談できますけど、自分ではどうにもならないのに、1人で何とかしようとしてしまうところがあります。このお仕事を始めてから、今でもいろいろな壁や課題があって。悩んだときは相談すれば、必ずアドバイスをくれる存在がたくさんいながら、どうにか自力でやろうと考えがちでした。

――ひめ香の自分の考えを主張することが苦手という部分は?

上坂 私は自分の考えを主張するのは、どちらかと言えば得意なほうだと思います。ただ、考えすぎてしまうときがあって。人と関わる中で「自分がこう発言したら、どう思われるか?」と気にすることがあるので、やっぱり主張は苦手なのかもしれません(笑)。

初めてごはんが食べられなくなりました

――いじめられるシーンは、演技とはいえキツいところもありました?

上坂 そうですね。想像以上にしんどくなってしまうときはありました。

――トイレで水を掛けられるシーンもありました。

上坂 でも、現場の皆さんの温かさをすごく感じています。お芝居をするときはキャストの皆さんも本気で、合間ではちゃんと心のケアをしてくださいます。それはすごく嬉しいです。

――胃が痛くなるようなことはないと。

上坂 そこまではないです。でも、緊張なのか、ごはんが食べられなくなった日はありました。食べておかなければと、お弁当のおかずをひと口、ふた口食べて、入らないかもと。いつもはお弁当を完食しているので、初めての経験で自分でも驚きました。

メガネに慣れるように常に掛けています

――クランクインの前に、準備でしたことはありますか?

上坂 一度ワークショップを開いていただいて、生徒役の皆さんと集まりました。そこで初めてごあいさつという形で、監督やスタッフさんから、熱をすごくいただいて。それまでドラマが決まった嬉しさでフワフワした気持ちだったのが、その日を境に、自分も作品を作り上げていく意識が芽生えて、気が引き締まりました。

――他の作品を参考に観たりは?

上坂 していません。台本を読んで、自分が演じてみて、生まれた感情を大事にしたいと思っていました。

――メガネは普段は掛けているんですか?

上坂 たまに伊達メガネをファッションとして掛けるくらいです。衣装合わせのときにメガネを掛ける役だと知ったんですけど、どうしても目の辺りが気になってしまって。撮影が始まってからは、休憩中やごはんの時間もずっとメガネを掛けて、慣れるようにしました。

――上坂さんのキラキラしたオーラを消すようにもしていたり?

上坂 メガネも含めて慣れない見た目ですけど、その外見から役に入り込めるところもあるので、大事にしています。

(C)フジテレビ
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役に入り込めずにやり直しになると悔しくて

――今のところ、あまり悩まず撮影できていますか?

上坂 いえ、毎日悩むくらいです。ひめ香を演じていて、シーンごとに監督が「今どんな気持ちになった?」「どういう想いで、ああいうふうにした?」と確認してくださって。自分で言葉にすることは普段ないので、ありがたいんですけど、何も思いつかないときもあります。大事なシーンでうまく入り込めなくて、何回もやり直しをさせてしまうと、自分に対してすごく悔しかったり。そんなとき、スタッフさんやキャストの皆さんが支えてくださるので、幸せな環境なのは毎日感じています。

――演出でよく言われることはありますか?

上坂 あるシーンから、「大事なのは気持ち」と教わりました。そこが抜けがちなときに問い掛けてくださって、ハッと気が引き締まることがあります。

教室の場面でワクワクしました

――念願の学園ドラマならではの楽しさもありますか?

上坂 ゼロ組の教室があって、生徒がみんな座っていて、先生が前に立っている光景が初めてで、ワクワクしました。「私は今、学園ドラマに出ているんだ」って。

――空き時間とかはクラスの中で、どう過ごしているんですか?

上坂 年上の方が多くて、私は役的に仲良くなりすぎないほうがいいところもあるので、たぶん気をつかっていただいてます。話し掛けてもらって、お芝居について確認してくださったり。本当にお兄さん、お姉さんのような存在で、不安があってもすぐ身近で相談できるのはありがたいです。

――配信ドラマの『可愛くなったらさようなら』で共演した奥野壮さんもいますね。

上坂 前は私が殺そうとする役でしたけど(笑)、久しぶりにお会いできて嬉しかったです。

自分のことは全部自分でやるように

――上坂さん自身はこの春に高校を卒業して、生活や気持ち的に変わったことはありますか?

上坂 かなり変わりました。良くも悪くも自由になって、自分の思う通りに生活して、全部が自分に反映するのが、一番変わったところだと思います。

――新しく始めたこともありますか?

上坂 ごはんを作ったり、家事を少ししたり、自分のことは全部自分でやるようにしています。ずっと両親に頼りっぱなしだったので、ちゃんと自立できるようになりたくて。

――どんなごはんを作っているんですか?

上坂 得意料理というほどではないですけど、キーマカレーを作ったら、すごくおいしかったです(笑)。

――夜遊びをするようになったりは?

上坂 まったくないですけど、映画のレイトショーは何回か観に行きました。そこで「卒業したんだ」という実感がありました。

末っ子で家では「うるさい!」と言われます

――『ビリオン×スクール』で山田涼介さんが演じる加賀美が「思春期め」と言いますが、精神年齢が高そうな上坂さんは、もう思春期は終わってました?

上坂 たぶん卒業してましたけど、家では三姉妹の末っ子で「うるさい!」と言われるので、精神年齢はかなり低いと思います(笑)。

――学生時代は青春の悩みはありました?

上坂 あまり青春してなかったです(笑)。憧れというか、「こういうことをしたい」というのはあったんですけど。でも、別に後悔はしていません。1人が好きで、大勢でワイワイするのはそんなに得意でないので。SNSとかで、みんなが青春しているのを「いいなー」と思いながら見るのが好きでした(笑)。

10代の最後も作品で青春を経験できたら

――放送されている最中に19歳の誕生日を迎えます。

上坂 10代ラストですけど、目の前のことに一生懸命取り組みたいです。

――磨いていきたいことはないですか?

上坂 今は読書も映画も、自分の好きな作品を読んだり観たりしていて。楽しみたいのはもちろんですけど、映画なら役者さんのお芝居にも注目して、自分に少しでもプラスにしていきたいです。

――実際に学びになった作品や役者さんもいますか?

上坂 杉咲花さんは『アンメット』も観ていましたし、映画も『市子』とかたくさん出られていて。自然すぎて、お芝居をしているように見えないくらい溶け込んでいるのに、圧倒されました。私もそんな演技ができるように、たくさん勉強して成長したいです。

――先ほど「青春してなかった」というお話がありましたが、10代の最後に青春しておこうとは?

上坂 作品でそういう経験ができたら嬉しいなと思います。

エイベックス提供
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Profile

上坂樹里(こうさか・じゅり)

2005年7月14日生まれ、神奈川県出身。エイベックス主催の「キラチャレ2017」で審査員特別賞。「ミスセブンティーン2021」に合格して「Seventeen」専属モデルに。2023年にドラマ『生理のおじさんとその娘』でヒロイン。『いちばんすきな花』、『となりのナースエイド』などに出演。『ビリオン×スクール』(フジテレビ系)に出演中。

『ビリオン×スクール』

フジテレビ系・金曜21:00~

公式HP

(C)フジテレビ
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芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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