37歳。再婚するためのアクションを起こしたい。でも、心の準備が整っていません~スナック大宮問答集53
「スナック大宮」と称する読者交流食事会を東京、愛知、大阪などの各地を移動しながら毎月開催している。味わいのある飲食店を選び、毎回20人前後を迎えて和やかに飲み食いするだけの会だ。2011年の初秋から始めて開催140回を超えた。のべ2800人ほどと飲み交わしてきたことになる。
筆者の読者というささやかな共通点がありつつ、日常生活でのしがらみがない一期一会の集まり。参加者は30代から50代の「責任世代」が多い。お互いに人見知りをしながらも美味しい料理とお酒の力を借りて少しずつ打ち解けて、しみじみと語り合えている。そこには現代の市井に生きる人の本音がにじみ出ることがある。
その会話のすべてを再現することはできない。参加者と日を改めて対話をした内容をお届けする。一緒におしゃべりする気持ちで読んでもらえたら幸いだ。
***ヨリコさん(仮名。バツイチ女性、37歳)との対話***
バツイチは婚活に不利? いろんな人の話を聞いてみたいと食事会に参加しました
――スナック大宮in神戸・岡本に参加しようと思ったきっかけから教えてください。
離婚したのが1年半前なので、そろそろ寂しくなってきて大宮さんの婚活記事をときどき読んでいました。結婚相談所のブログなどでは「バツイチは婚活に不利」なんて書かれていることもありますが、大宮さんはどう思いますか?
――結婚相談所に登録している男性の一部はかなり保守的で、親主導で婚活をしている人もいます。そういう人にとっては離婚歴のある女性は範囲外なのかもしれません。でも、個人的には30代半ば以降は男女ともに一度ぐらいの離婚歴があったほうが自然というか、「こなれ感」が出てくると思っています。一度失敗している分だけ、異性に求めるものが少なくて済みますよね。
はい。一緒になってみないとわからないことは多いと思いますが、私自身は経験を生かしていろいろ気をつけるつもりです。
でも、自営業なので普段の生活では独身男性との出会いはありません。再婚するためにはアクションを起こさなくてはいけないのですが、心の準備が整っていない気がして、大宮さんを含めたいろんな方の話を聞いてみたいと思ってスナック大宮に参加しました。
偏食の前夫に野菜をすりつぶして食べさせて……。彼のお母さんみたいになっていました
――実際に参加してみてどうでしたか?
人生の先輩方の話が聞けて勉強になりました。離婚歴があると飲み会などで気を遣われてしまうことが多いのですが、スナック大宮では初対面の人ばかりなのに婚活の話などをフラットにできたのがありがたかったです。婚活の本気度がめちゃ高い人もいて、「私もがんばらなくちゃ」と思えました。自分のことを客観的に見られたし、婚活仲間ができたのも心強いです。
――どんな風に客観的に見ることができたんですか?
4年間の結婚生活が終わってしまった理由はいろいろありますが、私の許容範囲が狭かったのかもしれないと反省しています。年に1回ぐらいはうちの両親とも顔を合わせてほしいとか、たまには部屋の掃除をしてほしい、といった要望を伝えていましたが、もっと粘り強く歩み寄る必要があったのかもしれません。
――実際の結婚生活を見たわけではないのでよくわかりませんが、どちらの要望も社会人のパートナーに求める最低限のものだと僕は思います。相手はかなり年下だったんですか?
3歳年下です。野菜が苦手な人で、私が作った料理の野菜だけよけられたのもショックでした。すりつぶしてハンバーグに入れたりして、お母さんみたいなことをしていた記憶があります。健康診断の数値は改善した、と喜んでくれました。
カレーライスや天丼が大好きな「子ども舌」の相手男性。一緒に暮らすのは不安です
――次の結婚はもう少し対等な関係を結べるといいですね……。スナック大宮では良い出会いはありましたか?
常連の女性がきさくに話しかけてくれたのが嬉しかったです。あと、ご夫婦でチーママ(お店の予約と会計係)をしていたお二人のラブラブパワーはあやかりたいと思いました! 私にも気をかけてくれて、独身男性を紹介してくれるかもしれません。
――それはいいですね! 新婚の彼らは「私たちの幸せを分けてあげなくちゃ」モードなので、今のうちに利用したほうがいいですよ(笑)。ちなみに、ヨリコさんはデートをしている男性は一人もいないんですか?
実はアプリで知り合った男性と連絡を取り合っていて、今まで3回会っています。向こうもバツイチで、「先々まで一人は寂しい」という気持ちも同じです。「今から子どもを作る気はない」という点でも一致しています。
でも、不安点があります。その男性が「子ども舌」だと自覚していることです。カレーライスや天丼が大好きと聞いて、前の旦那さんと似ていると感じています。私はお酒はそれほど飲みませんが、野菜中心のヘルシーな和食が好きなので食習慣が合わないと大変だなと思っているところです。
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頭でいろいろ考えることよりも、心身を健康に保って自分の感覚に従うことが肝要です
以上がヨリコさんとの会話だ。スナック大宮は婚活パーティーではないので既婚者や結婚願望のない独身者も参加する。それでも婚活中の人に役立つ場なのだと実感した。普段は関係のない人たちとの宴会であり、相手を見つける場でもないので、何でも忌憚なく話せるのだ。なお、婚活中の女性が集まると「こんな変な男性と会った」的なエピソードで盛り上がることがあるが、あまり良い笑いとは思えない。幹事である筆者が程よいところでストップをかけている。率直だけど、悪口大会にはならない雰囲気を保てていると思う。
ヨリコさんがアプリで会ったという男性について。条件面では似た部分があり、彼女はご縁を感じているようだ。食の好みの違いはかなり気になるところだけど、最終的には「この人と長く一緒にいたい」と思えるかどうかだろう。相手も同じように思ってくれるならば、B級グルメとヘルシー和食を日替わりで食べることぐらいは受け入れてくれるはずだ。
前の離婚経験があるだけに慎重になっている、とヨリコさん。しかし、経験があるからこそ「頭で考える必要はあまりない」と筆者は思う。心身を健康に保っていれば、前回と同じような失敗は体が自然と避けてくれるからだ。ヨリコさんのケースで言えば、「子ども舌の人」ではなく「子どもっぽくて思いやりもない人」を忌避できる。そして、静かに支え合えるような人を見つけることができるだろう。次回にスナック大宮に参加するときは、さらにリラックスして過ごしてほしい。