『君が心をくれたから』で山田裕貴の妹役の出口夏希 「素は落ち着いてきたので朝からテンションを上げて」
ヒロインが五感を失っていく過酷な展開から、佳境に入る月9ドラマ『君が心をくれたから』。永野芽郁と山田裕貴によるファンタジーラブストーリーで、山田の妹を演じているのが出口夏希だ。劇中で唯一の陽気なキャラクターで、ストレートな言葉で兄の背中を押し、家族の幸せを願う想いが溢れる。「non-no」モデルとして活躍の一方、次期クールではGP帯で初のヒロインなど大役が相次ぐ注目の的。躍進の真っただ中での心境と取り組みを聞いた。
台詞の量が増えて気合いで覚えています
――最近の出演作への反響は感じていますか?
出口 インスタのフォロワー数が増えてきたり、私の名前を覚えてくれる方が多くなっているのは感じます。『いちばん好きな花』のときにはLINEニュースで自分の記事を見掛けて、ありがたいなと思いました。
――田中麗奈さんが演じた美鳥の大学時代の役で登場して、「あの美少女は?」とネットをザワつかせていました。主演する『アオハライド』など出演作も相次いで、女優としてキテますよね。
出口 お芝居の量が増えて、いっぱいいっぱいです(笑)。地元の友だちと遊ぶのが癒される時間ですけど、最近はなかなか会えなくて。
――ずっと忙しそうですもんね。
出口 台詞を覚えるのが苦手で、すごく時間が掛かってしまうので、夜遅くまで台本を読んでいたりします。
――自分流の覚え方があったり?
出口 気合いで覚えます(笑)! 昔はずっと読んで書いていても、なかなか覚えられなくて。最近は台詞を口に出すことで、ちょっと早くなりました。
お芝居に自信を付けなければいけないなと
――出口さんはもともと、「Seventeen」でモデルデビューしたときから、“とてつもない美少女現る”と注目されていました。今は演技を磨いてきたことが、開花している状況かと。
出口 最初はお芝居に苦手意識が強くて、「できない」と思っていたんです。でも、作品に出させていただくうちに、自信を付けなければいけないなと。自信がないと、台詞を言うのも恥ずかしいので。
――今は自信を持って演じていると?
出口 これからもっといろいろな作品に参加させていただいて、自信を付けていきたいです。
――以前、『沈黙のパレード』や『舞妓さんちのまかないさん』で、お芝居が楽しくなったという話がありました。その後も大きい役が続いて、楽しさはより増しました?
出口 できないことはまだいっぱいありますけど、やり甲斐を感じます。
撮影前から意味もなくしゃべるようにして
――『君が心をくれたから』の春陽役も、楽しんで演じていますか?
出口 そうですね。現場で皆さんがやさしく接してくれます。クランクインした頃は人見知りをしていましたけど、撮影が始まる前にマネージャーさんといっぱい話して、自分のテンションを上げていくところから始めました。
――春陽が明るい女の子だから?
出口 そこですごく苦戦しました。「テンション高く、テンポを速く」と言われています。陽気な性格という役柄的に「人一倍、声を張って大きく」と。最初は「どうすればいいのか、わからない!」となっていました(笑)。
――現場に入った時点でテンションを上げてないと、役に入れないわけですね。
出口 はい。それが最初はできなかったんです。だから、意味もなくしゃべってテンションを上げて(笑)、イヤなことがあっても考えないようにしています。
たくさん話し掛けてもらって緊張がほぐれました
――今は自然にテンションが上がるように?
出口 “おにい”と“おとう”とのシーンが多くて、いっぱい話し掛けてくださるので。
――お兄さん役の山田裕貴さんとお父さん役の遠藤憲一さんが。
出口 最初は緊張しちゃって、現場であまりお話しできなかったんです。山田さんたちが「何人きょうだい?」とか話し掛けてくださったのに、うまく返せず、一問一答みたいになってしまって。でも、ずっと話しているうちに緊張がほぐれていきました。今はカットが掛かったあとも、しゃべり続けています(笑)。
――劇中では、春陽が兄の太陽の背中を押していますが。
出口 裏では本当に皆さんに助けていただいています。
普段の自分がどうなのかわからなくなってます
――友だちと遊んでいるときの素の出口さんは、1話の合コンシーンみたいな陽キャなノリではないんですか?
出口 昔はテンションが高くて、それが素だと思っていたんですけど、性格がどんどん変わってきている気がしています。
――10代の頃と比べて?
出口 もっと最近になってです。1年くらい前までは、友だちといたら、ずっとキャーキャー盛り上がっていたのが、今は友だちと会っても、落ち着いている気がします(笑)。
――大人になったということでは?
出口 どうなんですかね。どれが自分なのか、わからなくなってきました。「普段はどうですか?」と聞かれたら、前は「テンション高いです」と言ってましたけど、今は悩んでしまいますね。
――1話での、兄の太陽とピザを食べながら「彼女作りなよ」とかたたみ込むシーンも、頑張って演じたんですか?
出口 あそこは最初のほうの撮影だったので、監督からいろいろご指導いただいて、直していきました。「テンションを下げない」「声を張って」と言われて、トーンを上げました。
――普段はあんなふうに「食べすぎだろ」と言われるくらい、ガッツいたりもしないと?
出口 いえ、ガッツきます(笑)。いつもの空き時間はずーっと差し入れを食べています。
モノマネのためにずっと動画を観てました
――春陽はいい妹ですよね。ちゃっかり奢らせたりしながら、すごく兄思いで。
出口 こんなに家族思い、お兄ちゃん思いで、行動もできる子って、なかなかいないと思います。ちゃっかりもわざとな感じで、家族を明るくしていて。
――キャラクター的に好きなところというと?
出口 おとうの花火店の「朝野煙火」の愛されキャラで、“お嬢”と呼ばれていて、かわいいなと思います。何でもズバズバ言ってますけど、職人のおじさんたちの中で育ってきたから、昔のツッコミやギャグを言うんですよね。私は初めて知ることばかりで、暗記する感じでした(笑)。
――太陽に告白をけし掛けながら、「時は来た。それだけだ」とか。
出口 台本を見て、普通に台詞だと思っていたら「by 橋本真也」と書いてあったので、動画を観ました。
――あのプロレスの試合前のインタビューを。
出口 そうです。ちゃんとモノマネしなきゃと思って、前日にずーっと動画を観ながら「時は来た。それだけだ」と言い続けていました(笑)。
――そういう春陽のシーンが、シリアスなドラマの中でホッとさせてくれます。
出口 みんながいろいろ抱えているものがある中で、少しでもそう思ってもらえたら嬉しいです。
もうダメでも想いを少しでも残してあげたくて
――3話で、太陽に「コクっておいでよ」「ウジウジしないで」と言いながら、肩をぶつけたり腕を叩いたりしていたのは、演出が入ったんですか?
出口 1話でおにいの頭をバインダーでバーンとやるのは、台本に書いてありましたけど、「コクっておいでよ」のところは書いてなかったです。段取りをやっていて、あのようになりました(笑)。歩きながらあれをやって、「時は来た」のモノマネに行くので、あのシーンは特に頑張って、テンションをすごく高くするように心掛けました。
――一方で、4話で永野芽郁さんが演じる雨に「おにいにチャンスをあげてほしいの」と頼みに行ったときは、真剣な眼差しを見せていました。
出口 自分が何をしたいのか、ちゃんとわかってないといけないと、監督に一番言われました。おにいのために、そして朝野煙火を私が守る、という。
――太陽はフラれたあと、雨が高校を卒業するときに渡しそびれた指輪を草むらに捨てて。それを春陽が探して、雨に渡しに行ったのは感動的でした。
出口 春陽はお兄ちゃんが本当に大好きなんでしょうね。指輪を探すシーンはなかったんですけど、体じゅうに葉っぱをたくさん付けて、指を汚して、雨ちゃんのところに現れました。
――「お兄の青春を成仏させてあげて」と言ってましたが、太陽自身が諦めていた中で、春陽はどんな心境だったんでしょう?
出口 もうダメだろうけど、おにいがこんなに雨ちゃんのことを想っているんだから、何かしてあげたい。その気持ちをちょっとでも残してあげたくて、行動したんだと思います。
お父さんへのプレゼントは難しいです
――出口さんはお姉さんが3人いるんですよね。ああいう接し方はしていますか?
出口 私もお姉ちゃんとすごく仲良いので、春陽がおにいのために必死になるのはわかります。お互い「こんなことがあった」と報告し合ったりもしています。
――春陽は「おにいの恋はいつも3ヵ月で終わる」と言ってましたが、そんなことまで知っているのは、相当仲良いなと思いました。
出口 私は自分が大きくなる前に、お姉ちゃんたちが結婚していたので、そういう話はあまりしたことがありません。お兄ちゃんの恋愛に乗っていける妹は、すごいなと思います。
――お父さんに27万円のバッグをねだって、「毎度ありぃ!」などと言うシーンもありましたが、出口さんはそんな高いものを買ってもらったりは?
出口 ないです。うちのお父さんはもう誕プレもくれません(笑)。逆に、私は誕生日にプレゼントを贈りますけど、難しいんですよね。お母さんに何をあげたらいいかはわかりますけど、お父さんにはどうしたらいいのか。毎回調べても、靴下くらいしか出てこなくて。もうネタが尽きて、去年はあげませんでした(笑)。
エネルギーを付けたくて朝ごはんを食べるように
――他に出口さん的に印象深かったシーンはありますか?
出口 シーンというか、1、2、3、4話と春陽を作り上げていくまでが、すごく大変でした。いまだにできてないんじゃないかと思うくらい、全部のシーンが難しいです。
――それは最初に出たテンションというところで?
出口 急にテンションを上げるのが、何かしっくりこなくて。なので朝から気持ちを上げたくて、メイク中もお話ししますし、朝ごはんをしっかり食べています。エネルギーを付けて撮影に臨もうと。
――普段の朝はどうなんですか?
出口 得意ではないです。ギリギリまで寝たいので、前日に服を必ずベッドに出しておいて、起きた瞬間、寒いから布団の中で着替えて、そのまま飛び出します(笑)。
――朝ごはんは寝ぼけたまま食べているような?
出口 お仕事がない日は、朝はごはんを食べないことが多いです。でも、この月9の撮影に入ってからは、ちゃんと食べるようにしています。
――それで勢いを付けて、春陽のキャラクターができるわけですね。
出口 そうですね。それと、先輩の役者さんたちのお芝居を見て、「こんな表情があるんだ」と勉強しています。私は台本を見て、思ったままにやることしかできないので。
――誰のどんな演技が参考になりました?
出口 全員の方の全部です。永野芽郁さんもすごくやさしくて、人柄も含めて学んでいます。
休みの前日に火鍋を食べて寝るのが楽しみです(笑)
――長崎ロケでの思い出もありますか?
出口 『アオハライド』で行ったときは、撮影以外で街をゆっくり散策できなかったんですけど、今回はお休みもあって、お店を回って、おいしいものを食べました。マネージャーさんと佐賀にも行ったんです。生のイカと伊勢エビを食べて、自分の体に合うお茶も作ったりして、楽しめました。
――クライマックスの台本は上がっているんですか?
出口 台本はまだないのですが、どうなるのか、お話を聞いて感動しました。お楽しみに(笑)。
――次のクールの『ブルーモーメント』でのヒロインも決まっていますが、この冬はプライベートでもいいことはありました?
出口 何もしてないですね(笑)。雪が降った日に雪だるまを作りたかったんですけど、雪が硬くなっていて、できませんでした。最近の唯一の楽しみが、お休みの前日に食べまくることです。私は顔がむくみやすいんですけど、次の日が休みなら気にせず、火鍋とか辛いものを食べに行って、すぐ寝る。そんな冬を過ごしました(笑)。
――夏の取材でも、そういう話が出てましたけど(笑)。
出口 あとはお仕事を頑張るだけです!
Profile
出口夏希(でぐち・なつき)
2001年10月4日生まれ、中国出身。「ミスセブンティーン2018」に選ばれて「Seventeen」モデルになり、2022年より「non-no」専属モデル。2019年に女優デビュー。主な出演作はドラマ『ばかやろうのキス』、『クレッシェンドで進め』、『舞妓さんちのまかないさん』、『18/40~ふたりなら夢も恋も~』、『アオハライド』シリーズ、映画『沈黙のパレード』、『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』など。ドラマ『君が心をくれたから』(フジテレビ系)に出演中。4月スタートのドラマ『ブルーモーメント』(フジテレビ系)、2024年配信のNetflix映画『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』でヒロイン。
『君が心をくれたから』
フジテレビ系/月曜21:00~