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正遊撃手がいるのに「遊撃以外は守ったことのないベテラン」を迎え入れた理由は!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
エルビス・アンドゥルース(シカゴ・ホワイトソックス)Sep 28, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 シカゴ・ホワイトソックスからFAになったエルビス・アンドゥルースは、そこから数ヵ月を経て、ホワイトソックスへ戻る。ESPNのジェフ・パッサンらが、契約の合意を報じている。USAトゥディのボブ・ナイテンゲールによると、契約は1年300万ドルだという。

 昨年の8月半ば、オークランド・アスレティックスに解雇されたアンドゥルースは、ほとんど間をおかず、ホワイトソックスに迎えられた。当時、ホワイトソックスは遊撃手を必要としていた。遊撃を守っていたティム・アンダーソンが、8月上旬に左手の中指を痛めて離脱。結局、そのまま復帰できずにシーズンを終えた。

 ただ、ホワイトソックスは、年俸1250万ドルの球団オプションを行使し、アンダーソンを残留させた。アンダーソンは、開幕からプレーすることができる。それだけでなく、USAチームのメンバーとして、来月のWBCに出場する予定だ。

 2009年のメジャーデビュー以降、アンドゥルースは、3チームでプレーしてきた。ホワイトソックスだけでなく、その前のテキサス・レンジャーズとアスレティックスでも、遊撃以外の守備についたことはない。

 にもかかわらず、ホワイトソックスがアンドゥルースを呼び戻したのは、パッサンやナイテンゲールがツイートで触れているように、二塁を守らせるためだ。

 昨年、ホワイトソックスは、二塁手を固定することができなかった。オフに入っても、レギュラーを決めかねる状況は続いていた。ジ・アスレティックのケン・ローゼンタールやNBCスポーツ・シカゴのライアン・テイラーによると、ホワイトソックスはニッキー・ロペス(カンザスシティ・ロイヤルズ)に興味を示していたという。彼らがそう報じたのは、先月下旬のことだ。

 アンドゥルースは、ロペスに次ぐ「プランB」だった可能性もある。

 ウィンター・リーグなどは不明だが、アンドゥルースが二塁を守るのは、プロ1年目の2005年以来かもしれない。アトランタ・ブレーブス傘下のルーキー・クラスで、2イニングだけ、二塁の守備についている。今回の契約交渉に際しては、当然ながら、ポジションについても話し合ったと思われる。

 なお、昨年、アンドゥルースは、ホワイトソックスで43試合に出場し、出塁率こそ.309ながら、9本のホームランを打った。もっとも、二塁の守備は問題なくこなせたとしても、パワーの継続には疑問が残る。アンドゥルースのシーズン本塁打は、2017年の20本が最多だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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