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7月1日は「氷室饅頭」を!秘伝の酒種をあわせた「越山甘清堂」さんの酒饅頭は地元でも大人気の老舗の味

柳谷ナオ和菓子ソムリエ・ライター

6月30日と7月1日は、和菓子の世界とって非常に慌ただしい時期。6月30日には一年の半分の締めくくりとして京都発祥の和菓子、水無月をいただき、そして7月1日には石川県金沢市の名物でもある氷室饅頭をいただくのですから。

一般的なお饅頭のイメージよりも円平です
一般的なお饅頭のイメージよりも円平です

氷室饅頭と申しますのは、旧暦の6月1日に氷室と呼ばれる貯蔵庫にて冬に貯蔵しておいて天然の氷を幕府へ納めていたことが発端。つまり、江戸時代から続く文化なのです。加賀百万石が誇る和菓子文化の中で、とあるお饅頭屋さんがあんこと旅路の安全への願いを包んで蒸かし、渡したお饅頭といわれています。

お饅頭にも上用饅頭や薯蕷饅頭、黒糖饅頭などさまざまな種類がありますが、氷室饅頭の主流といっても過言ではないのが酒種(パンにも使用されていますね)を使用した酒饅頭。

氷室饅頭
氷室饅頭

その中でも高い人気を誇る老舗「越山甘清堂」さんの「氷室饅頭」をご紹介。

優しいきつね色の銘菓、焼きまんにも使用されている秘伝の酒種を使用したお饅頭生地。酒種のもとはお米なので、翌日どころかその日の夜になると固くなってしまうことも。それも魅力のひとつでもあります。

厚みは約3cm弱
厚みは約3cm弱

毎年艶々の肌とご対面できて幸せです
毎年艶々の肌とご対面できて幸せです

大き目でやや円平の形のお饅頭はボリューム満点…と、いいたいところですが、ひとつずつラップに包み軽く温めるとあっという間に食べられてしまうから不思議。ほかほかのお饅頭からはほんのりと糀らしいスンと軽やかに鼻腔をつつくような華やかなそっと香りが立ち上り、それは半分に割るとわずかに濃厚に。お酒の匂いが好き!という方は思い切り深呼吸していただきたいところ。

500wで15秒ほど温めるとふわふわに
500wで15秒ほど温めるとふわふわに

仄かな弾力を備えながら、さらりとしたこし餡との水分量のバランスが取れたお饅頭は、一見こしあんが少ないような気もしますが、皮の甘味や薫香との均衡がとれた納得の割合。美味しい皮がありきの氷室饅頭は、受け継がれてきた酒種と越山甘清堂さんの職人さんだからこその作品だと実感致しました。

中はほんのり赤みをおびたこし餡
中はほんのり赤みをおびたこし餡

そのままだとやや目が詰まったような生地感です
そのままだとやや目が詰まったような生地感です

そのままでも美味しく召し上がれますが、むちっと手でちぎるような芯を感じるので、個人的には軽く温めた方が好みです。

また、色にも意味がありまして、邪気を祓う「赤(桃色)」、清浄を司る「白」、健康や長寿を願う「緑」といわれております。江戸までの長い旅路では事故や犯罪、自然災害等予期せぬ出来事に見舞われることもあったのでしょう。

その中で、甘いあんことふわりと包み込んでくれるような柔らかな皮のお饅頭は、責務を負った方々の癒しになったのでしょうね。

ちょっと青みを帯びた緑も越山甘清堂さんの特徴かと
ちょっと青みを帯びた緑も越山甘清堂さんの特徴かと

尚、越山甘清堂さんの氷室饅頭は金沢市内店舗のほかお取り寄せ、事前予約が可能です。2024年分はすでに締め切られておりますが、初めて氷室饅頭と出会ったという方はぜひ、来年のご参考までに。

(私は高島屋さんの氷室饅頭の特集にて購入致しました。朝早くからお作りになってくださった職人さんやお運びくださった方々、ありがとうございました。)

最後までご覧いただきありがとうございました。

柳谷ナオ

<越山甘清堂・本店>
公式サイト(外部リンク)
石川県金沢尾張町2-11-28
076-255-6610
9時30分~17時30分
定休日 水曜(祝日の場合は営業)

和菓子ソムリエ・ライター

■年間400種を優に超える和菓子を頂く和菓子ソムリエ&ライター。美味しさだけではなく、職人さんやお店、その土地の魅力をいかに伝えるかに重きを置いて執筆中! ■製菓衛生士免許所持・製造・販売・百貨店勤務経験有 ■和菓子・お取り寄せ・お土産・アンテナショップ・都内物産展&催事・和菓子とお酒&珈琲&ノンアルコールとのペアリングなどの執筆や取材、監修を得意としています。

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