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雑誌にも登場する都内の人気京菓子司「岬屋」さんの水無月は、小豆ではなくささげ豆を散らした縁起物

柳谷ナオ和菓子ソムリエ・ライター

東京都渋谷区、イマドキカルチャーが集うきらびやかな街…ではなく、その喧騒から離れたアカデミックなエリアが今回の舞台。

東京大学に駒場公園の中に佇む旧前田家本邸の洋館、日本近代文学館といった歴史的建造物が集う一角に佇むのが、創業1934年の「京菓子 岬屋」さん。軒先に揺れる瓢箪が描かれた暖簾を目指して遠方から通う方や、都内百貨店での定期販売を心待ちにする方も多く、雑誌でも連載が組まれるほど信頼と人気の高い和菓子屋さん。

日本橋高島屋さんの限定入荷で購入することができました
日本橋高島屋さんの限定入荷で購入することができました

創業は都内ですが、初代の方より京都の流れを汲む和菓子も多くお作りになるため、京菓子とついているのでしょうね。確かにお茶席にも相応しい上生菓子が店頭に並びます。

そしてその京都ではこの季節欠かすことのできない和菓子、水無月。毎年一年の半分が終わる6月30日に夏越の祓の際に邪気を祓い、無病息災を願い頂く伝統の和菓子。

今回は岬屋さんの「水無月」を白と黒二種類をご紹介。

水無月
水無月

ぴしっと整った切り口
ぴしっと整った切り口

なんとも穏やかな芳しさ
なんとも穏やかな芳しさ

ふわりと漂う上新粉の甘い香りと、先端までしっかり尖った三角形のコントラストは見た目と香りだけで惹きつけられます。

混ぜ合わせた生地を一度に加熱するのではなく、一部を加熱してから未加熱の生地と混ぜ合わせてから木枠に流して蒸かすという手法。糊化した生地とあわせる腕の力技が頭の中をよぎります。

黒糖だけとはまた異なる色味です
黒糖だけとはまた異なる色味です

米粉や葛粉などそれぞれのお店の配合がありますが、岬屋さんは上新粉に小麦粉を少しあわせたもの。そのため、ねっとりとした食感だけではなくむちんと歯切れがよく、ふくよかながらも複雑な心地よい後味が。

また、黒糖の一部を赤ざらめ糖にかえているため、ガツンと華やかな黒糖ではなく、ほわりと心穏やかになるような。それでいてミネラル分を含んだコクがじんわりと口内を満たしていきます。

艶々でふっくらとしたささげ豆たち
艶々でふっくらとしたささげ豆たち

さらに特徴的なのが、小豆ではなくささげ豆を使用していること。ささげ豆は小豆と似ていますが、腹割れしづらくおめでたい席には欠かせないお赤飯などにもゲン担ぎの一部として用いられることもあり、和食には欠かせない豆。

ささげ豆も生地と一緒に蒸かしているため、上にのっているのではなくしっかり内側に入り込んでいます
ささげ豆も生地と一緒に蒸かしているため、上にのっているのではなくしっかり内側に入り込んでいます

小麦粉がほのかな弾力と独特な食感を演出
小麦粉がほのかな弾力と独特な食感を演出

生地に散らしてから一緒に蒸かすため、ささげ豆のほくほくとした食感や咀嚼するたびに立ち上る素朴な香り立ちが鼻腔へ立ち上り、これもまた岬屋さんならでは。

今回は日本橋高島屋さんの水無月特集の際に購入致しました。実はここ数年毎年いただいている岬屋さんの水無月、非常に人気が高いので来年もまたいただけるように願いをこめてぺろりと平らげました。

最後までご覧いただきありがとうございました。

柳谷ナオ

<岬屋>
公式Instagram(外部リンク
東京都渋谷区富ケ谷2-17-7
03-3467-8468
火曜~土曜 10時~16時(土曜は予約のみ)
定休日 日曜・月曜

和菓子ソムリエ・ライター

■年間400種を優に超える和菓子を頂く和菓子ソムリエ&ライター。美味しさだけではなく、職人さんやお店、その土地の魅力をいかに伝えるかに重きを置いて執筆中! ■製菓衛生士免許所持・製造・販売・百貨店勤務経験有 ■和菓子・お取り寄せ・お土産・アンテナショップ・都内物産展&催事・和菓子とお酒&珈琲&ノンアルコールとのペアリングなどの執筆や取材、監修を得意としています。

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