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ルヴァンの活躍からJリーグの救世主へ!必見のヤングタレント9

河治良幸スポーツジャーナリスト
撮影:河治良幸

ルヴァン杯は5月18日(水)にグループステージの最終節を迎えます。”若手Jリーガーの登竜門”とも呼ばれるルヴァン杯でここまで存在感や輝きを示し、3分の1を経過したリーグ戦での飛躍、そして救世主となるポテンシャルを秘める必見のヤングタレント9人を筆者の視点で選びました。

※ルヴァン杯の出場選手が対象となるため、ACLに出場しているクラブは対象外とします。

中島大嘉(北海道コンサドーレ札幌)

過去にも取り上げているので正直、今回は殿堂入りで見送りでも良かったが、U−21代表合宿での「(松木)玖生に負けないぐらい有名になりたいです!」という言葉に負けて選出した。迫力ある仕掛け、飛び出し、跳躍力を生かしたヘッド。そして何より、同大会4得点という結果に説得力がある。「世界のどんぐり」へ。リーグ戦でも結果を出し始めている大型ストライカーのさらなる飛躍に期待したい。

中村亮太朗(鹿島アントラーズ)

ボールを動かす能力と広い視野、そして相手を見ながらサッカーができるクリエイティブなタレント。ルヴァンでは十分すぎるほど才能を示しているが、リーグ戦でチャンスを得るには樋口雄太や和泉竜司、しばらく出場停止だったディエゴ・ピトゥカ、さらにセンターバックと兼任の三竿健斗とJリーグ屈指の選手層を誇る鹿島の中盤で、競争を勝ち抜か他ないと行けない。圧倒的な存在感とゴールに導くプレーを見せられるか。

森岡陸(ジュビロ磐田)

昨シーズンはJ2で継続的に出場チャンスを得て、高い身体能力を生かしたディフェンスで注目を集め出したところで長期の怪我に泣かされた。今シーズンは新外国人のリカルド・グラッサが本格合流してからリーグ戦に絡めていないが、ルヴァンではバックラインの中心的な存在だ。「点を取られなければ負けない」が口癖の森岡。マンツーマンの強さは特筆レベルで、A代表のFW上田綺世(鹿島)も印象的な相手にあげるほど。課題だったビルドアップにも改善が見られ、左右のセンターバックで遜色ないプレーができる強みもある。グループステージ突破をかけた湘南戦でチームを勝利に導けるか。

住吉ジェラニレショーン(サンフレッチェ広島)

広島のバックラインと言えば佐々木、荒木、野上、さらにボランチと兼任の塩谷という主力のメンバーが固定的だが、長いシーズンを戦う上で、フレッシュな選手の台頭は求められる。ディフェンスで期待されるのが住吉だ。強みは身体能力を生かすデュエルだが、守備のハードワークを絶対基準とする水戸で2年間鍛えられただけあり、運動量も豊富で、タイミングを見た攻撃参加も備えている。守備的なポジションの選手としては得点力もあり、ここから若き日の塩谷のように成長していけるか注目したい。

升掛友護(柏レイソル)

”神出鬼没”という表現がピッタリかもしれない。筆者はアンダー代表などで観てはいたが、ルヴァンを含むトップリーグの舞台で、全くお構いなしに特長を発揮できるタレントというのはそうはいない。本格派のストライカーではないが、すでにルヴァン杯で札幌の中島と同じ4得点を記録しているように、ディフェンスの合間に潜って仕留めるセンスは抜群。来年のU−20W杯を目指す代表チームでも主力になっていくべきアタッカーだが、ルヴァンの先のステージはもちろん、リーグ戦でも救世主的な活躍を見せるかもしれない。

池田昌生(湘南ベルマーレ)

筆者の見立てリーグ戦でもっと起用して欲しい選手だ。ボールを持った時の怖さは湘南でも飛び抜けたものがある。周囲との連携面にまだまだ課題を抱えているようだが、縦志向の強い仕掛けやミドルシュートなど、武器はスペシャルだ。ルヴァンでここまで3得点を上げており、湘南がプレーオフステージ、ノックアウトステージと進んでいくほど楽しみだが、リーグ戦でも徐々に出番を得始めている。言い換えると、こういう選手のさらなる活躍がなければ残留以上の結果は難しいのではないか。

岡澤昂星(セレッソ大阪)

4ー4ー2のボランチが本職になるが、セントラルMFという表現の方が合っているかもしれない。プレースタイルは「運動量で中盤を支配すること」と語る岡澤。中盤でボールを捌くだけでなく、ルヴァンの大分戦で決めたゴールのように、前めに出て決定的な仕事もできる。また小柄ではあるが、ボールを奪うセンスもあり、フランス代表のエンゴロ・カンテを目標に成長を目指しているという。リーグ戦では奥埜博亮や原川力の壁は暑いが、夏場の過密日程になってくるところでは必ずリーグ戦の戦力になっていくである一人で、それだけに今から注目してほしい選手だ。

中村桐耶(北海道コンサドーレ札幌)

札幌のバックラインに新たなパワーと推進力をもたらす左利きの大型センターバックだ。利き足とポジションからどうしても福森晃斗と比較されやすい。本人も最初はそこを意識していたようだが、良い意味で吹っ切れた今シーズンは対人戦で存在感を示しながら、積極的な持ち上がりから起点の縦パスを繰り出すなど、持ち味の違ったビルドアップでチャンスの起点になっている。札幌のアカデミーから昇格した中村だが、JFLのHonda FCで社会人選手と接しながら、オンオフで貴重な経験をした。謙虚に前向きな姿勢を打ち出して、ルヴァンからリーグ戦での飛躍につなげるか。

北島祐二(アビスパ福岡)

4ー4ー2のトップとサイドの両ポジションをこなせる万能型のアタッカーで、ルヴァン第4節の磐田戦ではアシストと起点のパスで2得点を演出し、勝利に大きく貢献した。長谷部茂利監督の戦術的な要求に応えながら、スペシャリティであるドリブルなど、攻撃センスを随所に発揮している北島の課題は何と言ってもフィニッシュ。これまで印象的なパフォーマンスを見せ続けているが、ゴールという目に見える結果をサイドでもトップでも出して、リーグ戦の飛躍につなげてもらいたい。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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