淡路決戦その2・秋山が快投、中谷&陽川はマルチ安打!淡路ビーフや玉ねぎは誰の手に?《阪神ファーム》
兵庫県の淡路佐野運動公園第1野球場(ボールパークあわじ)でのウエスタン・阪神-ソフトバンク戦は、21日が1対0でソフトバンクの勝ち、22日は4対3で阪神の勝利、1勝1敗で終了しました。このカードは3連戦で、20日に行われた第1戦(鳴尾浜)は1対0で阪神が勝っており、すべて1点差の接戦だったわけです。特に22日は4対1とリードを広げて迎えた9回に追い上げられたもの。詳細はのちほどご紹介します。
さて、年に一度の淡路開催で選手も楽しみにしている淡路特産の“賞品”。ことしはこんな感じになりました。すべてJA淡路日の出さんの提供です。
◆『猛打賞』淡路島たまねぎ20kg
21日は該当なし。22日は阪神・中谷選手
◆『ホームラン賞』淡路ビーフ
21日は該当なし。22日は阪神・中谷選手
◆『三塁打賞』淡路島産米キヌヒカリ10kg
21日、22日とも該当なし。
◆『二塁打賞』淡路島いちじくカレーとオニオンドレッシングのセット
21日は阪神・中谷選手、江越選手。22日は阪神・清水選手、陽川選手×2、森越選手、ソフトバンク・釜元選手。
◆『ヒーロー賞』(上と同じ、カレーとドレッシングのセット)
1試合に1人選ばれるMVPのようなもので、21日はソフトバンクの塚田選手、22日は阪神の中谷選手が受賞しています。
以下は阪神が勝った場合の賞品なので22日のみ。
◆『勝利監督賞』淡路ビーフ、神戸プレジールお食事券・掛布監督
◆『勝利投手賞』淡路島たまねぎ20kg・秋山投手
◆『セーブ賞』淡路島産米キヌヒカリ10kg・山本投手
昨年の受賞内容はこちらからご覧ください。その中で2014年、中日時代に森越選手が獲得した『たまねぎ計40kg』の話が出てきます。ことしは『カレー&ドレッシングセット』をもらって「よかったです~!何か賞品を持って帰ってきてと言われていたんで」と満面の笑みだった森越選手。新婚の奥さんにいい贈り物ができましたね。<2015 淡路島でのこぼれ話 賞品と野球教室>
最後はハラハラも逃げ切り
《ウエスタン公式戦》5月22日
阪神-ソフトバンク 12回戦 (淡路)
ソフ 000 100 002 = 3
阪神 100 101 01X = 4
◆バッテリー
【阪神】○秋山(4勝)-筒井-福原-S山本(1勝1S) / 清水-小宮山(9回表)
【ソフ】●大隣(3敗)(5回2/3)-巽(1回1/3)-島袋(1回) / 斐紹
◆本塁打 猪本4号ソロ(秋山)、中谷4号ソロ(大隣)
◆二塁打 清水、陽川2、森越
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率
1]左:緒方 (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .242
2]遊:森越 (2-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .197
3]中:江越 (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .239
4]右:横田 (4-1-1 / 1-0 / 0 / 0) .243
5]三:陽川 (3-2-0 / 1-1 / 0 / 0) .359
6]一:中谷 (4-3-2 / 0-0 / 0 / 0) .247
7]指:梅野 (4-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .216
8]二:坂 (4-0-0 / 3-0 / 0 / 0) .180
9]捕:清水 (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .379
〃捕:小宮山 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .257
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ
秋山 7回102球(4-5-2 / 1-1 / 2.41) 143
筒井 1回 17球 (0-1-0 / 0-0 / 3.06) 136
福原 0.1回 19球 (4-1-0 / 2-2 / 9.95) 139
山本 0.2回 7球 (0-2-0 / 0-0 / 3.27) 134
試合経過
先取点は阪神。1回に先頭の緒方が右前打し、森越の犠打などで2死二塁となったところで4番の横田が右前タイムリー!続く陽川はストレートの四球、中谷が中前打したものの、ここは1点で終了です。2回は清水が左翼線への二塁打を放ちますが追加点なし。3回は三者凡退でした。しかし4回、先頭の中谷が左中間へ第4号のソロホームラン!
4回は森越の四球のみで、5回に先頭の陽川が右中間二塁打して1死後に暴投で三塁へ進み、梅野の中前タイムリーで生還します。送球の間に梅野は二塁へ、2死後に清水がファーストのエラーで一、三塁として大隣が降板するも、代わった巽に緒方が打ち取られて1点止まり。7回は先頭・森越が左中間二塁打を放ったのですが、併殺などで0点でした。
8回は、ソフトバンク3人目・島袋から先頭の陽川がライトフェンス直撃の二塁打、続く中谷の左前打で生還して4点目!後続は併殺打もあって1点のみと、ずっと1得点ずつだった打線ですが、4対1とリードを広げて最終回を迎えます。
一方の投手陣は、先発の秋山が1回は1番・上林と2番・金子圭から連続三振を奪い三者凡退の立ち上がり。2回は2四球があったものの無失点、3回はまた三者凡退です。4回も簡単に2死を取った秋山でしたが、4番の猪本にカウント1-2からの4球目、真っすぐをライトへ…。この試合で始めて許したヒットがホームランとなり、1点を返されました。
次のカニザレスにも中前打されますが後続を断ち、5回は曽根の内野安打、6回は塚田の左前打と1本ずつヒットがあったものの危なげないピッチングの秋山。7回は9球で三者凡退に斬って取り、4安打1失点で交代しました。8回は筒井が三者凡退、これで5試合連続無失点と安定した救援ぶりです。
そして9回は福原が登板。塚田、猪本に連続の右前打を浴びて無死一、二塁となりカニザレスの左前タイムリーで2点差。なおも無死一、三塁で釜元に右翼線へタイムリー二塁打。代打・拓也から空振り三振を奪ったところで交代します。
1点差の1死二、三塁という場面でマウンドに上がった山本は、まず代打・細川を3球で空振り三振!次の曽根はカウント1-2からの4球目で空振り三振!素晴らしい火消しを見せ、4対3で試合終了です。ソフトバンクとの対戦成績は6勝6敗のタイとなりました。
「たまねぎでカレーを作ろう!」
まず秋山投手のコメントからご紹介しましょう。前回の中日戦(14日・上富田)で7回を投げ5安打無失点、今回は7回4安打1失点で連勝。これで4勝目です。ナイスピッチングでした。「ありがとうございます!きょうは、いい入りができたと思います」。フォームが縦振りになっていたような?「特に意識はしていないけど、マウンドが高かったからそう見えたのかも」
4回のホームランは「配球通りだったけど、おっつけて合ってしまったという感じ」という秋山投手。つまり甘く入った失投ではない?「そうですね」。なるほど。いい状態が続いているのでは?「調子がいいというか、腕が振れるようになっているので。このレベルでずっといたいです」。勝利投手賞は玉ねぎ20キロですよ。「ほんとっすか?カレー作ろ!」
最後は笑顔で、淡路は相性がいいと言っていました。ルーキーイヤーの2010年にウエスタン公式戦でプロ初勝利を挙げたのが、この球場だったんですもんね。そのあと3シーズンはなくて、2014年からまた3年連続で投げています。でも勝利投手賞は6年ぶりでした。そういえば試合前のサイン会も3年連続だったような。来年は1軍にいて参戦できないことが一番ですね。
秋山、筒井を高評価
次に久保投手コーチの談話です。まず秋山投手について「見事ですね!」という第一声。ホームランに関しては、秋山投手の言葉通りで「あれは、つり球が風に乗っただけ。振らせ球がね。意図して投げているから、偶然高めに浮いたわけじゃない」とのことでした。
真っすぐでも変化球でも取れていた三振に「腕の振りとボールのかかりが、うまく合致していた。トップとリリースがね。そうなるとコントロールも意のままになって、そんなに狂ってこない」と久保コーチ。好投が続いていますね。「状態的にはこの数試合、良いのが続いている。なかなか良い状態。チャンスがあれば、いや、あるようにしたいね。先発でも中継ぎでも」
好投が続くといえば筒井投手もです。3月の2試合で失点があり、2ケタの防御率となっていましたが、4月以降に投げた15試合のうち、5月8日の中日戦(ナゴヤ)で1点を失っただけで他はすべて無失点!ここ5試合では計1安打5三振、しかも無四球で無失点と素晴らしい安定感です。
久保コーチも「筒井、いいでしょう?秋山と同じくトップから叩く位置が前方に、バッターに近いところになってきた。そうなるとボールが意外と前へ進むんですよ。4月下旬のソフトバンク戦(タマスタ筑後)から取り組んで、つかんでから続いていますね」と満足げな表情でした。
「あそこは山本に賭けた」
1点差に迫られ、しかも1死二、三塁という状況で登板した山本投手。連続奪三振で後続を断ち、今季初セーブがついています。「セーブのつくところだったし、1点差というのもあって1点もやらない気持ちでいきました。自分に試練というか、マイナスではなくプラスにとらえて」
左バッターをしっかり抑えていますね。「いえいえ、中日戦(13日、14日)はよくなかったので。でもシュート回転をなくす練習などをやってきて、外中心に投げられているかなとは思います」。かなり緊迫したところでの登板でしたが「社会人時代も厳しい場面で投げさせてもらっていたので、きょうもここを抑えきれば次につながるという思いで」投げたと言います。間違いなく評価はグッと上がったでしょう。
久保コーチは「左バッターに対してずっといい仕事をしている。だから、あそこは山本に賭けた。シチュエーションに関係なく、びびらずに良いピッチングをした」と絶賛の言葉。前日の話でも「ちょっと休んで、左バッターのインコースの使い方に取り組んだりした。簡単にレフト前へ持っていかれないよう、そういう技術をね」とのことでした。
将来の1軍クリーンアップに!
試合後の掛布監督は、最後に追い上げられた場面を振り返り「ただ福原が拓也から三振を取ったのが大きかった。抑えるべきところで三振を取ったのがね」と話しました。交代は「(斐紹の代打)細川のところで迷ったけど、久保コーチも『勝負しましょう』というので山本に」という経緯だったそうで「山本もよく投げ切ったよ。秋山も状態がいいから最少失点で抑えられた」と監督。
打者には、まず3安打の中谷選手について「いい形になってバランスがよくなってきてる。前に突っ込まなくなっている。ある程度の形ができれば、いい状態が続くと思います。ナゴヤでどういうバッティングをするか、3連戦も注目したい。中日も強いしね」とのこと。陽川選手は二塁打2本で「陽川は結果を出さないといけないから、2本出て非常によかった」と評価しました。
そして「3番・江越、4番・横田、5番・陽川は、このまましばらく固定する。右、左、右でバランスもいいし、後ろに中谷もいてね。おもしろい。固定していきます。将来、1軍のクリーンアップになるんだよ、これが。楽しみだねえ」との“構想”も。確かにワクワクされてくれる並びですね。ナゴヤ球場へ行かれる皆さんはぜひ、ご注目ください。
このクリーンアップが、ファームにいる間にすべきことは?「陽川は結果を出さないといけない。横田は練習でやっている形を試合で出せるように。練習の形はいい。江越も一緒。上体で打ちにいくことがあるし。あとはバランス。下半身主導でね」と掛布監督。「互いに刺激?そんな余裕はないでしょう。自分のことを精一杯やらないといけない。3人とも1軍に行っているから、もう一度“上”を見てやると思いますよ」
「きょうから改めて」と陽川
21日に岩崎投手と入れ替わりでファームにやってきた陽川選手は、この22日が初出場。6回は先頭で右中間二塁打、8回も先頭でライトフェンス直撃の二塁打を放ち、どちらも得点を記録しています。またサードの守備でも、目をひく動きが何度かありました。
「気持ちを切っても仕方がないので、もう一回しっかりバッティングとか考えながら、きょうから改めてやりました」と話す陽川選手。でもやはりファームでは格の違いを感じますね。この期間に見直したいことはありますか?「バッティング内容とか。きょうみたいに低めのチェンジアップを空振りしていたらダメなので。そういうところから考えていきます」
掛布監督から、この3人が将来の1軍クリーンアップと期待の言葉があったと伝えたものの「5番という打順は特に気にしていません」と陽川選手。最短で1軍に戻るため、1試合、1打席、1球に集中していきます。取り組むのは「フォームとかじゃなく、打席での考え方」だそうです。
中谷は、お米以外の賞品を獲得
最後に、賞品いっぱいの中谷選手のコメントをご紹介します。何々もらった?と聞いたら「ドレッシングとカレー、肉、たまねぎ…かな?お米がほしかった~(笑)」と言います。そうか~三塁打があればお米もゲットできましたね。しかし、秋山投手の「カレーを作ろう」にしても、中谷選手の「お米が欲しかった」にしても、反応が寮生の頃とは違います。ちゃんと自炊している証拠ですね。
試合の話で、3安打に「きょうはホントよかったです!」と晴れやかな笑顔でした。4月には遠征に行かず、残留練習でフォームを固めたりもした中谷選手。振り返って「そこでかなり振れたのもありますし、いい時間になったと思う」と話しています。そして今、左ひざの使い方も含め「これでいこう、っていう打ち方でやれています。打席の中で考えず、しっかりいけている」
掛布監督が、次の中日戦が大事だと言っていますよ。「いい時と悪い時の差が激しいので、そこはしっかりコンスタントに結果を出したい」。もしかすると、いい状態にすることよりも、それを維持していく方がさらに大変なのかもしれません。一度つかんだら離さないよう、ナゴヤ球場の3連戦で固めてきてくださいね。
結果を出せば1軍に上がれる。
ことしは多くの選手がそれを証明してくれました。昨年のような中谷選手を、みんなが待っています。