食品の販売禁止後、再び揺れる米CBD業界 リスクあり? FDAが研究不足と発表
今年の米美容・健康分野のトレンド、CBD。
筆者が最近の記事でも現地取材・掲載した通り、CBD商品はそこら中で購入でき、グーグルの検索ワードでもトレンド入りになっているくらいだ。
そんな中、アメリカ食品医薬品局(FDA)による11月25日付けの最新の報告書が、今年のウェルネス・トレンドに水を差すものとなり、再び業界が混乱している。
大麻草(カンナビス、キャナビス)、特にCBDを使った治療について「FDAは、CBDの安全性について限られたデータしか確認しておらず、無害を裏付ける確証がまだない。リスクを伴うこともあり、使用の場合は細心の注意を」と発表した。
今回の新たな発表によりニュース番組のCNBC局は、「CBDはクリーム、オイル、食品、飲料などに添加されているが、CBD添加飲食物の販売や、FDAが認証していない健康補強表示のあるCBD製品の販売は違法」と報じている。
また、ABC局の朝の情報番組『Good Morning America』でも同日、「FDA concerned people mistakenly believe CBD 'can't hurt' them」(CBDを「害なし」と誤信している人々にFDAが懸念)という見出しで、次のように取り上げた。
CBDに健康的な効果がないということではない。しかし・・・
報道の趣旨はこちら。
FDAはCBD製品によるリスクの「可能性」として、以下の点を挙げている。
- 肝障害
- ハーブやサプリメントとの相互作用
- 男性の生殖機能に関する健康上の懸念
CBD使用のガイドライン
- 自然療法だからリスクフリーとは限らないことを理解する
- 摂取において、ヘルスケアのプロバイダー(主治医など、認証された医療提供者)に相談する
- 使用において心身の変化に注視すること
番組のコメンテーターは、「CBD製品は現在そこらじゅうにあふれているものだが、まだこれから解明していかなければならないものでもある」と結論づけた。
また先の報告書では、FDAがCBDの違法販売を行う15社に警告レターを送付したことも伝えられた。
15の社名:
- Koi CBD LLC, of Norwalk, California
- Pink Collections Inc., of Beverly Hills, California
- Noli Oil, of Southlake, Texas
- Natural Native LLC, of Norman, Oklahoma
- Whole Leaf Organics LLC, of Sherman Oaks, California
- Infinite Product Company LLLP, doing business as Infinite CBD, of Lakewood, Colorado
- Apex Hemp Oil LLC, of Redmond, Oregon
- Bella Rose Labs, of Brooklyn, New York
- Sunflora Inc., of Tampa, Florida/Your CBD Store, of Bradenton, Florida
- Healthy Hemp Strategies LLC, doing business as Curapure, of Concord, California
- Private I Salon LLC, of Charlotte, North Carolina
- Organix Industries Inc., doing business as Plant Organix, of San Bernardino, California
- Red Pill Medical Inc., of Phoenix, Arizona
- Sabai Ventures Ltd., of Los Angeles, California
- Daddy Burt LLC, doing business as Daddy Burt Hemp Co., of Lexington, Kentucky
今回の新たな発表に対して、CBD使用者からは「(CBDにより)大手薬局で薬の売り上げが減少するのを懸念してのことだろう」「ADHDの医療を受けながら育ち、ハーブ系によって救われた者だが・・・」「タバコががんの、アルコール飲料が肝障害の起因になることは周知の事実だが、それについてのコメントは?」など、2000以上のコメントがツイッターなどに寄せられ、人々の注目度が浮き彫りになった。
CBDというものがこれまでに存在しなかったまったく新しい分野ゆえ、開拓派と慎重派の攻防となるのは致し方ないことだろう。薬やサプリと同じように、その成分について知り、摂取する責任はいつも自分にある。
(Text by Kasumi Abe) 無断転載禁止