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飲食業界で大ブームの大麻草成分「CBD入り」 NYで販売禁止に

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
5月30日、NY市で開催された食の大展示会でも紹介されたCBD食品だが...。(写真:ロイター/アフロ)

最近の米食品業界の大ブームで、日本でも健康志向の人やトレンド好きに、これから火が付くか!?と期待されていたCBD。しかし、アメリカ食品医薬品局(FDA)が昨年12月飲食物へのCBD添加を違法と発表したことを受け、ニューヨーク市も、CBDが含まれる飲食物の提供や販売を7月1日から禁ずると発表した。

ニューヨーク市保健局の発表
ニューヨーク市保健局の発表

実は市では昨年12月にCBDを含む飲食物の販売を認め、CBDビジネスが増えていたところだったが、その1ヵ月後には、販売の取り締まりを始めていたようだ。

このニュースは、地元各メディアでも大きく報じられている。

CBDとは?

CBDはカンナビジオールという大麻草特有の成分の一つで、自然療法としてよく利用されている。CBD添加の飲食物をとると、頭が冴え、集中力が増し、落ち着きや癒し効果、またうつ防止の効果などがあり、慢性的な痛みに効くともされている。もちろん、大麻を吸引したようにハイにならず依存性もないとあり、人気が爆発した。

全米レストラン協会による650人のシェフを対象にした調査では、4人に3人のシェフが2019年の食トレンドにCBDが入ると予想していた。また2022年までに220億ドル(約2兆4,000億円)産業に成長するものとして期待されていたわけだから、商機を狙う世界中の飲食業界や健康食品業界、フードコンシャスな消費者に大注目されていたのは言うまでもない。(2019年5月30日放送のCBSニュース

CBDオイルとして、飲食物、薬、美容製品などに簡単に添加できるため、実際のところ「CBDコーヒー」や「CBDハンバーガー」「CBDキャンディー」など、「CBD」の冠がついたものを一気にあちこちで見かけるようになっていた。

CBDコーヒーをとあるカフェで1度飲んだことがある知り合い曰く「味はまったく普通のコーヒーと同じ」だそうだ。「健康的な利点や大きな変化は特に感じられなかった」と感想を語った。

こんなにもある(あった)、CBD含有のフードやドリンク一例:

ニューヨークでは、CBDドリンクにさまざまなチョイスがあった。参照1参照2

サラダバー「フレッシュ&Co」でも、期間限定でCBD入りフードがメニューに加わった。

デンバーにあるバーガーチェーン「カールスジュニア」で今年の春、1日限りで試験販売されたCBD注入バーガー

アイスクリームメーカー「ベン&ジェリーズ」も、CBD注入アイスクリームの製造、販売に意欲を見せていた。

ニューヨーク市内24店舗を含む全米30店舗を展開する、当地発の人気コーヒー&ロースタリー「グレゴリーズコーヒー」では、CBD入りコーヒーを販売し、客からの評判もよかったそうだ。しかし創業者、グレゴリー・ザムフォティス氏によると、ある日検査員が訪れ、CBD飲料をメニューから除外するよう指導されたと肩を落とした。

CBD注入ペイストリーで注目を集めていた、マンハッタンのベーカリー「ファットキャット」も現在、関連商品の販売中止と苦渋の決断をしたばかり。「CBD商品は、売り上げの30%を占めていたのに」と、Eaterマガジンの取材で不満をもらした。

販売禁止は「安全性が100%確認されるまで」。消費者にとっては歓迎すべきことだが、ビジネチャンスを狙っていたオーナーたちの間では投資を開始していたところも多かったようで、短期間で起こった食トレンドのジェットコースター現象に、米食品業界は混乱を極めている。

(Text by Kasumi Abe) 無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

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