イースタンの高卒スラッガートリオ、現状では清宮が一歩リードで安田はまだ時間がかかる?
期待のスラッガー達が好スタート
今季のフレッシュオールスターでイースタンリーグのスタメンでは
3番 清宮(日本ハム)
4番 村上(ヤクルト)
5番 安田(ロッテ)
という高卒ルーキーによるクリーンアップが組まれた。将来性抜群のスラッガー達は3人とも1軍の舞台でプロ初本塁打を記録。2軍成績でも
清宮
45試合 .244 17本塁打 42打点 OPS.930
村上
98試合 .288 17本塁打 70打点 OPS.879
安田
106試合 .271 12本塁打 67打点 OPS.742
と好結果を残し、これは侍ジャパンで主軸を打つ強打者のプロ1年目と比べても遜色ない。
中田(日本ハム)
56試合 .255 11本塁打 31打点 OPS.803
筒香(DeNA)
102試合 .289 26本塁打 88打点 OPS.835
特に清宮は1軍でも7本塁打を放つ活躍ぶりで同世代の選手達を一歩リードしている印象が強い。プロ初打席初本塁打の離れ業をやってのけた村上は強打だけでなくイースタンリーグ3位となる16盗塁も決めている。安田も.270を超える打率と2桁本塁打を放った打棒で大器の片鱗を見せつけたが、実は最大の長所がまだ存分には発揮出来ていない。
長打と四球で安田は苦戦
長打力を測る際には長打率が用いられることが多いが、これは1打数でいくつの塁を獲得したかを示したもの。4打数4安打の打者と4打数1本塁打3三振の打者はどちらも1.000と全く同じ数値になってしまう。純粋な長打力を比べるなら長打率−打率で計算されるIsoPでの比較の方が適している。IsoPは遠くに飛ばせる力を数値化したもので、スラッガーと呼ばれるためには.200以上、甘めに見ても.180はほしいところ。
清宮 .362
村上 .202
安田 .149
中田 .209
筒香 .213
安田と他の4人とではやや開きがある。今季の1軍で安田のIsoPに近いのはセリーグだと青木(ヤクルト)の.148、パリーグだと中村(ソフトバンク)の.143だ。強打者というよりも好打者という表現がしっくりくる。そしてもう1つ、安田の苦労がうかがえるのが四球の少なさだ。
投手のレベルが桁違いのプロの世界で三振が増えるのは仕方ない。ホームランバッターなら尚更だ。しかし三振を1つ喫する間にいくつの四球を選んだかを示すBB/Kで
清宮 0.404
村上 0.690
安田 0.288
安田の数値は高くない。高校時代は毎試合と言っても過言ではないほどに四球を選んでいた。超高校級のスラッガーに対し相手バッテリーがボール球を振らせようとしても、その誘いに乗らない。際どいコースもきっちり見極めて3年夏の大阪府予選では7試合で10度歩き、12安打と相まって出塁率は.759、OPSは2.000を超えたがやはりプロの壁は厚かった。
筒香も1年目のBB/Kは0.235と高くなく、本格的にブレイクしたのはプロ5年目。中田は1年目の6月に左手首を骨折する怪我を負ったがそれでもIsoPは.209、BB/Kは0.481とどちらも優秀。2年目には82試合で.326 30本塁打 95打点 OPS1.041と2軍では別格の存在となり、3年目からレギュラーに定着した。
先輩達の姿と重ね合わせると早くから1軍で活躍するのは清宮で続いて村上。安田が主力としてバリバリ働くのは少し時間がかかるか。仮に5年かかったとしても年齢はまだ20代前半。次の次のWBCでは侍ジャパン史上でも屈指の強力打線が見られるかもしれない。