会計しなくていい? 新しい飲食店の支払いサービスが開始

TableCheck Pay(テーブルチェックペイ)をリリース
プレスリリースに記載されているように、TableCheck(テーブルチェック)が三井住友カード株式会社と提携し、飲食店におけるスマホ支払いサービスであるTableCheck Pay(テーブルチェックペイ)を2018年12月10日に開始しました。
TableCheck(テーブルチェック)は<業界初となる「キャンセルプロテクション」は飲食店を疲弊させるノーショーやドタキャンを根絶できるか?>でも紹介した予約台帳サービスで、追加費用も月額利用料も発生しない「キャンセルプロテクション」をリリースしたり、予約台帳サービスで初めてクレジットカード決済とデポジット機能を開発したりと、飲食店にとっても価値のあるサービスを先駆けて提供しています。
そのTableCheckが、今度は新しい飲食店の支払いサービスを始めたのです。
これはどういったサービスなのでしょうか。
仕組み
TableCheck Payは、客がレストラン予約時にクレジットカード情報を登録することで、飲食店で現金やクレジットカードを用意することなく、サインレスで支払いすることを可能とするサービスです。
最近普及してきている「QRコード決済」だけではなく、SMSやEメールで通知を受け取り、本文に記載されたリンク先のページから決済を実行する「メール決済」も採用しています。
専用アプリをダウンロードしなくても、SMSやEメールがあれば決済ができるようになっているのが特徴です。
また、飲食店の立場に立つと、クレジットカードの加盟店手数料が3.19%へと引き下げられる利点もあります。
会計の流れ
では、どのような流れで利用するのでしょうか。既存との流れの違いもみていきましょう。
TableCheck Payを利用した場合と、利用せずにクレジットカードを利用した場合とを比べてみます。
TableCheck Payを利用する流れ
- 食事終了
- 会計依頼
- 決済承認
- 退店
クレジットカードを利用する流れ
- 食事終了
- 会計依頼
- 待機
- 料金提示、クレジットカード預け
- 待機
- 決済サイン、明細受け取り
- 退店
クレジットカードを利用する流れであれば、飲食店がクレジットカードの受け渡しで何度か往復したり、客がサインしたり、待っていたりする必要があります。他の客と会計のタイミングが重なれば、当然のことながらさらに待ち時間は増えることでしょう。
しかし、TableCheck Payであれば、食事が終わって会計をお願いし、値段を確認するだけで終了します。
客と飲食店
次はTableCheck Payを使用する場合を詳しくみてみましょう。客と飲食店はそれぞれ次のような作業を行います。
客
- ネット予約・クレジットカード情報の登録(予約時にTableCheck Payの利用を申し込む) ※TableCheckマイアカウントを持っていない場合は登録
- 食事
- サインレスで決済完了、退店
飲食店
- ネット予約で予約を受付、TableCheck Pay決済であることを確認
- 食事提供
- TableSolutionから会計金額を入力し、お客様へ送信(SMS、Eメール)
- 決済完了を確認、お見送り
先程も言及したように、客はクレジットカードを用意したり、サインしたりする必要がないので、非常に流れはシンプルです。
飲食店は会計金額を入力して客に送り、確認してもらう作業が必要となります。
注目点
TableCheck Payについて説明してきましたが、このサービスでは特に以下の3点が注目するべきところです。
- 客の会計待ち時間を短縮
- 飲食店の業務負担を軽減
- クレジットカードの加盟店手数料を引き下げ
それぞれ詳しくみていきましょう。
客の会計待ち時間を短縮
ほとんどの客は、飲食店での会計時間を短くしたいと思っています。
例えば、会計を支払う立場であれば、相手が化粧室に行っている間に何事もなかったかのように支払いを済ませたいでしょう。支払いをする立場でなかったとしても、会計をするに頃は、既にお腹が一杯になっていたり、食べ物や飲み物がなくなっていたりするので、会計を早く済ませたいと思います。
現金での支払いであれば、お金を用意したり、釣り銭を用意して返したりと時間がかかってしまうのは当然です。クレジットカードの支払いであったとしても、クレジットカードをサービススタッフと受け渡したり、サインを行ったりするので時間を要してしまいます。
しかし、TableCheck Payであれば、クレジットカードの受け渡しがなく、サインもする必要がないので、会計時間がだいぶ短縮されるでしょう。客に心地よく退店してもらって、おいしかったり、楽しかったりした気持ちに水を差さず、素晴らしい食体験を持ち帰ってもらうことは重要です。
飲食店の業務負担を軽減
飲食店のサービススタッフは非常に業務が多いです。
オーダーを取りに行ったり、オーダーをキッチンに伝えたり、料理をサーブしたり、皿を下げたり、ワインを注いだり、グラスを交換したりといったメインの業務があります。
これに加えて、テーブルのセッティングを変更したり、ダイニングやトイレを清掃したり、電話やメール、来客の問い合わせに答えたりなど業務はいくらでもあるのです。
そいういった状況を鑑みると、少しでも業務の負担が軽くなることは大いに喜ばしいことでしょう。
客は、料理が早くサーブされない時も大きな不満を感じますが、退店したい時に早く会計できない時にも大きな不満を感じるものです。そのため、顧客満足度を高めたければ、会計を優先する必要があります。
ただ、オーダーを集計したり、お金やクレジットカードを携えて往復したりと、会計はそれなりに手間を取られてしまうものです。
優先度が高いながらも、手間の掛かる会計業務の負担を軽減できるのは非常に素晴らしいソリューションであるといえるでしょう。
クレジットカードの加盟店手数料引き下げ
予約台帳に加盟している飲食店のクレジットカード加盟店手数料が下がるという話を、私は聞いたことがありません。海外では「OpenTable(オープンテーブル)」が実施していますが、国内では初めての試みでしょう。
ノーショー(No Show=無断キャンセル)やドタキャン(直前キャンセル)を防いだり、10%以下の利益率に留まる飲食店の利益を確保したりするためには、4%から6%にもなるクレジットカードの加盟店手数料を引き下げる必要があると感じています。
ただ、どちらかといえば予約台帳サービスは、個店の多い零細の飲食店よりも、世界的に巨大なクレジットカード会社に寄り添った施策の方が多いのではないでしょうか。
そういった状況で、クレジットカードの加盟店手数料が引き下がられるという施策は、飲食店に対する大きなインセンティブになると考えています。
<クレカ手数料引き下げ「増税対策後も」 経産省が要求>にもあるように、国もクレジットカードの加盟店手数料に対して言及している流れの中で、TableCheck Payは大きな役割を果たすのではないでしょうか。
気になるところ
TableCheck Payは既存の枠組みには囚われない画期的なサービスですが、少し気になることもあります。
それは、TableCheck Payは客にも飲食店にも意義あるサービスであるにも関わらず、対象となるクレジットカードが三井住友カードのプラチナ・ゴールド会員だけとなっていることです。
広報の仁木有花氏に尋ねると「今後も順次拡大を予定している」という回答であったので、今後の拡大を期待しています。
TableCheck Payの対象となるクレジットカードが増えていけば、より多くの客が支払いを簡略化したり、より多くの飲食店が業務の負担を軽減したり、クレジットカード加盟店手数料を削減したりできるのです。
TableCheckとは
予約台帳サービスは、客にだけ価値を提供できるのでも、飲食店にだけ価値を提供できるのでもいけません。客と飲食店のどちらにも価値を提供できてこそ、支持されて生き残っていくのではないでしょうか。
TableCheckのCEOを務める谷口優氏は「TableCheck(テーブルチェック)は席を調べることだけではなく、会計することも表している。したがって、会計を進化させることも我々の大きなミッション」と、法人名の由来を話します。
こういった信念から、TableCheck Payという客と飲食店にとって価値あるサービスを生み出したTableCheckに、これからも飲食店の会計の革新を期待したいです。