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「学生時代に結婚と子育てしよう!」学生パパからのメッセージ。

明智カイト『NPO法人 市民アドボカシー連盟』代表理事
(写真:アフロ)

今回は大学生でパパになったYくんから結婚と子育てについて語って貰いました。

Yくんは大学4年生の22歳でこの3月に卒業して就職します。2015年5月に学生同士で結婚し、1歳になる娘さんがいます。

そんなYくんから学生時代に育児をすることの大切さと、学生の立場で子どもを育てることの大変さについてお聞きしました。

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日本の多くの男性が経験しない密度での育児ができて良かった3つの理由

1.育児って何かわかった。

もしも、就職してから娘が産まれていたら、これほど育児をしていなかったと思います。今となっては懐かしい、新生児時代の三時間おきのミルク。「二時間寝て、一時間起きる」を繰り返すことは辛いことであり、冬休みの時期だったので僕がしばらく昼夜逆転させて夜の授乳をしていました。そして夫婦二人協力しながらの沐浴。

新生児と呼ばれるそんな時期はすぐに終わり、目が合うようになって、首がすわって、毎日のように外に連れ回すようになって、笑うようになって、手足が活発になって、寝返りをして・・・。

新生児のときには手足が出なかった巨大な長袖長ズボンが、今ではピッチピチの半袖半ズボンに。日々何か変化がある、そんなとても早い成長を間近で見れてとても嬉しく感じています。また、世の母たちは皆こういった経験をしているとわかりました。これは新しい視野であり、子育てをしているという情報だけで、尊敬に値するということがわかり、さらにその人に対するいろいろなイメージも湧くようになりました。

電車などで赤ちゃんを連れている親御さんを見ると、かつては気にとめることもありませんでしたが子どもの月齢や、親御さんの気持ちが気になるようになりました。泣いている子どもを叱る親を見て、子育ては大変なんだなぁと自分事として考えるようになっていました。

2.父親という自覚

これに関してはいまだに考えさせられます。多くの男性が、自分が父親であるという自覚を持つまでには、時間がかかるのではないかと思ったのは数ヶ月前。

男性の育休取得率が2%だと言われていることを考慮すると、ほとんどの男性は子どもが産まれても、日々の活動に変化はほとんどないわけです。

僕は娘が生まれてからは就活や学校やバイトこそあったものの、半育休状態でした。時間があった分、世の社会人たちより家庭について考える時間は多くあったし、娘と接する時間も多くありました。それでようやく娘が家族である、自分の子であるという表現が腑に落ちるようになっていきました。

自分が父親であるという認識は、出産時ですらまだふわふわとしていたのが日を重ねるごとに強くなっていき、いつからか全く違和感がないまでになっていました。親であることを感じるのは、何よりも子どもと接しているときだと思います。長い時間、娘と一緒にいることは自分の父親という自覚を育ててくれたと感じています。

しかし、就職活動で会う社会人の方々に子どもがいて、同じ父親と言われると何か違う気がします。経済的に自立できておらず、親に娘を預けて活動をすることもある自分たちは、やはり学生パパママであり半人前と感じるシーンは日常でも多々あります。それが悪いとも思っていませんが、早く仕事のできる人になりたいと強く感じます。

経済的な自立ができているかは、親としての自覚に影響を与えていることは間違いないけれど、それが全てではないと考えています。金銭的に家庭を支えるだけで親としての意識が真にある人はおらず、親としての意識には経済的なものに加えて育児への参画が非常に大きく影響していると思うのです。

そこで思ったことは、男性も一ヶ月くらいは育休を取得したほうがいいということです。それは貴重な育児の経験はもちろんのこと、父親としての自覚も与えてくれる時間になると考えたからです。

3.癒し

娘といる時の時間の流れはとてもゆっくりです。これは子どもが1人しかいないからかもしれませんが、心にゆとりができてきます。寝顔を見ていると平和を感じる。赤ちゃんの笑顔も匂いも、落ち着きを与えてくれます。授乳の絵は、幸せの絵そのもの。何をしようとしているのか、何を考えているのか、わからない。そんなものを見ていると良くも悪くも気楽になってしまうのです。

そんな素晴らしい育児ですが、いつの瞬間も最高というわけではありませんでした。育児は心にゆとりがある時には、癒し、喜び、幸せですが、ゆとりがない時には苛立ち、面倒くさい、非効率といった言葉と結びついてしまうことがよくありました。

やらなきゃいけない事が多いのに、娘は寝てくれない。目を合わせていれば笑顔なのに、前で本を読んでいると泣いてしまう。立って抱いているととても楽しそうだが、座っていると泣いてしまう。

一日中、娘とともに留守番をしている日。娘を見て話をしていれば、一日中笑顔で、幸せで、ゆっくりとした一日を過ごす事ができます。家事をするにしても、全然負担ではないけれど、僕はいつもそんな日を過ごしていたわけではありませんでした。娘がいい子ならば今のうちに、本を読もう、課題をやろう、書くものを書いてしまおう・・・と、そう考えてしまうのです。

すると娘は泣き出し、作業は進まず、中断されたことに苛立ちを感じてしまう。一日が終わったとき、就活の真っ只中だというのにただ留守番をしていただけで、その日の成果物がないことに苛立ちや不安を感じてしまったりと。

娘に話しかけていた時間こそ貴重とわかっていても、すぐに娘が話せるようになるわけでもなく成果が見えないために、無駄な時間を過ごしたと心のどこかで感じてしまう。心にゆとりがない、焦っている、時間がない。そんな時ほど、絵本を読んであげる。今日は娘とゆっくりしていい休日なんですと割り切ってしまった方が、きっと良い結果につながると考えています。

学生の立場で子どもを育てることの大変さ

学生時代は講義とアルバイトと子育てを両立させなくてはいけません。そして、金銭的には学費と生活費、そして子どもを育てるのに養育費が必要になります。とにかく経済的に余裕がありませんでした。

最近では婚活に税金が使われていると聞きます。しかし、婚活に税金を使うよりは学生同士で結婚して子育てしている家庭の支援をしてくれたほうがよほど良いと思います。もしくは奨学金みたいにお金が借りれたり、貰える制度みたいなものが必要です。また、学校の中には学内保育も必要になってきます。

日本で結婚や出産を意識し始めるのはやはり就職後に経済的に安定してからだと思います。でも、そうするとスタートが遅くなるので必然的に全体が晩婚化、高齢出産になり少子化も進んでいくと思います。

若い世代や学生でも結婚したり、子育てしたいと思っている人たちはけっこういると感じていますが、そこはやはり経済的な理由から躊躇ってしまうのです。なので、そういった若い世代や学生に対して子育て支援していくことが大切だと考えています。

『NPO法人 市民アドボカシー連盟』代表理事

定期的な勉強会の開催などを通して市民セクターのロビイングへの参加促進、ロビイストの認知拡大と地位向上、アドボカシーの体系化を目指して活動している。「いのち リスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」を立ち上げて、「いじめ対策」「自殺対策」などのロビー活動を行ってきた。著書に『誰でもできるロビイング入門 社会を変える技術』(光文社新書)。日本政策学校の講師、NPO法人「ストップいじめ!ナビ」メンバー、などを務めている。

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