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主な新興国/米国経済ニュース(3月12日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

ハンガリー政府、貯蓄銀行の合併促進目指しタカレク銀行の持ち株売却へ

国営ハンガリー開発銀行(MFB)と郵便公社のマジャール・ポシュタは10日、全国の貯蓄銀行の“中央銀行”としての役割を果たしているタカレク銀行の持ち株54.8%を90億フォリント(約40億円)余りで、ハンガリー貯蓄投資・資産管理会社(HSIAM)に売却することで合意したことを明らかにした。ブタペスト・ビジネス・ジャーナル(電子版)などが伝えた。

この持ち株売却は今年上期(1-6月)中に完了する見通し。完了後はHSIAMの持ち株比率は既存分を含めておよそ85%に達するとしている。HSIAMの大株主は国内の貯蓄銀行となっており、今回の持ち株の売却はタカレク銀行とHSIAMの合併を意味する。それによって、ハンガリーの貯蓄銀行の経営安定化と貯蓄銀行同士の合併を促進し、将来のEU(欧州連合)の自己資本比率の引き上げにも耐えうる経営基盤の強化を目指している。

こうした目的を達成するため、政府は昨年、一時的にタカレク銀行を国営化し、貯蓄銀行の合併を促進するために必要なリスク管理や経営戦略などの基準を決定する権限を与えていた。

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インドネシア当局、国際石油開発帝石の操業延長で需要家獲得を要請

インドネシアの石油・天然ガス上流部門の監督機関SKKミガスは、国際石油開発帝石(インペックス)に対し、マルク州のマセラ鉱区にある同社のアバディ・ガス田の操業期限を延長するためには、あらかじめ天然ガスの購入に関する売買契約、または、LOI(基本合意書)を需要家と締結するよう要請していることが10日までに分かった。ジャカルタ・ポスト(電子版)が11日に伝えた。

これはSKKミガスの幹部のウィディヤワン・プラウィアトマジャ氏が明らかにしたもので、同氏によると、インペックスは現在の操業期限が2028年に到来するため、2048年まで20年間延長したい意向だが、インドネシアでは期限延長は期限がくる10年前に申請しなければならず、また、天然ガスの購入先を確保することが許可条件となっているという。

このため、インペックスは外国、または国内の需要家との間で天然ガスの売買契約、または基本合意書を結んだあと、2018年に申請することが可能になる。インペックスの計画では2018年から天然ガスの供給を開始する。そのために海上に浮体式LNG(液化天然ガス)生産施設(生産量は年間250万トン)を建設する。開発費は50億ドル(約5200億円)で、アバディ・ガス田の埋蔵量は6兆0500億立方フィートとなっている。

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ベトナム国家主席、16日から日本を公式訪問

ベトナム外務省は9日、チュオン・タン・サン国家主席が16日から4日間の日程で日本を公式訪問することを明らかにした。ベトナム紙トイチェー(電子版)が10日に伝えた。

これは天皇陛下の招待で訪日するもの。日本とベトナムは1973年9月に国交を樹立し、1992年から日本政府はベトナムに対し、ODA(政府開発援助)を再開し、1992-2013年のODAは210億ドル(約2兆1700億円)に達している。また、2国間の貿易額は2013年で256億ドル(約2兆6400億円)に達し、2020年には2倍に拡大すると見られている。日本からの対ベトナム投資も昨年は、57億ドル(約5900億円)となり、外国からの対ベトナム投資全体の26.6%を占めている。

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米スポーツ用品ディックス、Q4利益は予想と一致―業績予想は予想下回る

米スポーツ用品小売り大手ディックス・スポーティング・グッズ<DKS>が11日に発表した2013年11月-2014年1月期(第4四半期)決算は、純利益が前年比7%増の1億3860万ドル(約140億円)、1株当たり利益(希薄化後)も同8%増の1.11ドルとなり、アナリスト予想と一致した。

一方、売上高は営業日数が前年同期より1週間少なかったものの、同8%増の19億5000万ドル(約2014億円)と、強い伸びとなり、アナリスト予想の19億4000万ドル(約2000億円)を上回った。また、既存店ベースの売上高も同7.3%増となり、純利益の拡大に寄与した。

2-4月期(第1四半期)の業績見通しについては、1株当たり利益は51-53セントと予想し、アナリスト予想の54セントを下回った。通期も3.03-3.08ドルと予想したが、アナリスト予想の3.11ドルを下回った。また、売上高については第1四半期も通期も同3-4%増と予想している。

この四半期決算の結果を受けて、同社の株価は11日、寄り付き前の時間外取引で一時2.5%安となったが、米東部時間午前10時4分時点では0.77%高の54.75ドルと、値を戻している。

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米下院エネルギー・商業委、近く公聴会でGMのリコール問題追及へ

米下院エネルギー・商業委員会は、自動車最大手ゼネラル・モーターズ<GM>が先月、エンジンを始動する点火スイッチの不具合を理由に、2005-2007年に生産された小型セダンの「シボレー・コバルト」や「ポンティアックG5」など6車種、計136万7146台をリコール(無償回収・修理)したが、この不具合が原因で死者数が13人に達したことを重く見て、GMと監督当局の高速道路交通安全局(NHTSA)の責任問題を追及する公聴会を今後数週間以内に開く見通しとなった。米経済専門オンラインメディア、CNNマネーが11日に伝えた。

同委員会のフレッド・アップトン委員長(共和党)は、「GMやNHTSAがいち早く警告を出すべきだった不具合を見過ごしたのかどうかだ。もし、そうならば、なぜ、また、どうしてそのようなことが起きてしまったのか追及する必要がある」と述べており、GMのリコール問題は社会問題に発展する可能性が出てきた。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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