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タイミングはどうあれ、起こるべくして起きたバスケットボール日本代表のコーチ交代

青木崇Basketball Writer
コミュニケーション重視で一体感のあるチームを作り上げた長谷川コーチ(写真:アフロスポーツ)

日程の都合でこの時期になったのだろうが、日本代表の長谷川健志コーチ退任に驚かされることはなかった。

2013年のアジア選手権で香港(2度)とインドに勝っただけの9位という惨敗を喫した後、長谷川コーチは日本代表の指揮官に就任。選手たちとのコミュニケーションを重視し、チームが一体となって戦うということでは、まちがいなく進歩していた。就任から間もない仁川アジア大会で銅メダルを獲得し、昨年のアジア選手権では4位に終わったといえ、2014年のワールドカップを経験しているフィリピンとイラン相手にも戦えることを証明。リオ五輪の最終予選で世界レベルを体感する機会を得たことは、長谷川コーチがもたらした成果であり、称賛に値する。

しかし、五輪最終予選でのラトビア戦とチェコ戦は、チーム力の差だけでなく、それを埋めるために必要なスカウティング、ゲームプランの構築で明らかに遅れをとっていた。とはいえ、2019年のワールドカップに向け、長谷川コーチが続投する可能性はあの当時残されていたと思う。そんな状況に大きな変化をもたらしたのは、8月に渡邊雄太の凱旋となったジョージ・ワシントン大との対戦で、いいところなく3連敗(http://above-mag.com/?p=33328)を喫したからと推測する。

五輪最終予選と大きくメンバーが変わっていたチームといえ、NCAAでまだプレイしていない1年生が6人いる大学に一度も勝てなかったのは、ホームで戦ったことを考えると屈辱でしかない。退任会見で「もうちょっと練習時間がほしかった。まとまった時間がなかったのが心残り」とコメントした長谷川コーチだが、ジョージ・ワシントン大戦については言い訳のしようがない内容であり、これが任期満了前の退任につながったという気がしてならない。日本バスケットボール協会の東野智弥技術委員長と最終戦が行われた浜松アリーナで顔を合わせたとき、その表情はあまりにも厳しかったからだ。

両者合意のうえといえ、任期途中での退任は長谷川コーチにとって不本意だろう。しかし、代表のヘッドコーチはプロである以上、このような事態に直面する覚悟がなければ務まらない。アメリカでは、”Coaches are hired to be fired.(コーチたちは解任されるために雇われる)"というフレーズがあるくらいだから…。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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