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「〇〇しなさい」で子どもが無責任に!?命令ばかりの育児がハマる2つの落とし穴

ぽん先生保育士

こんにちは!ぽん先生です。

「少しでも楽しく子育てを!」をモットーに、現在子育て世代を集めてオンライン講座を開いたり、育児に関する情報の発信を行ったりしている現役の保育士です。

今回は育児で当たり前に使われる「〇〇しなさい!」がハマる2つの落とし穴についてお話ししていきたいと思います。

子育てはしつけ??

子育てと言えば、「しつけ」という側面があることを多くの方が頭に強く刻みこんでいるかと思います。

そのため、大人は状況に応じて、様々な関わり方が要求されることでしょう。

しかし、時には子どもが話を聞いてくれなかったり、身勝手な行動をしてしまうこともあるかと思います。

そんな時、恐らく多くの方は「ちゃんと〇〇しなさい!」としつけとして子どもを叱り、誤った行動を正してあげなくてはという思いを持っているのかもしれません。

しかし、「〇〇しなさい!」と子どもに命令をすることは、ある2つの落とし穴が待ち受けているのです。

一体なぜ、子どもに命令してはいけないのか。

そして、それがダメならどのように関わっていくべきなのか。

今回は2つの落とし穴と、その対処方法についてお話ししていきたいと思います。

見えない2つの落とし穴

「〇〇しなさい!」と子どもに命令することで、気付かないうちにハマってしまう落とし穴。

それは、
①子どもが無責任になる
②親子の関係が悪くなる

の2つです。

一体どういうことでしょうか。

①子どもが無責任になる

例えば、「明日の準備をしておきなさい」と毎日言っていたとしましょう。

前日に準備を済ませておくことは非常に大切です。

ところが、それを言い忘れた日はどうなってしまうでしょうか。

「ママが言ってくれなかったから準備してないよ!」
「間に合わなかったらママのせいだからね!?」

次の朝は大慌てになることでしょう。

しかし、それはおかしな話です。

本来は自分の準備は自分のために行うものですから、人に言われてやるものではありません。

とは言え、大人に言われたからやるという行動のパターンを作ってしまうと、その行動の理由は「言われたから」です。

つまり、前日の準備は自分のために行っているということにすら気付けません。

そういう状況に陥ってしまうことで、自分の責任を周りに転嫁するようになるのです。

②親子の関係が悪くなる

「〇〇しなさい!」という命令に子どもが従っていれば、①で取り上げたようになるでしょう。

しかし、子どもが反抗した場合はどうでしょうか。

すると、今度は親子の関係が悪くなってしまいます。

子どもたちは、大人の言っていることが正しいと認識していても、「イヤだ」「やらない」と答えることがよくあります。

なぜなら、命令に従うということは、相手に支配された状態であるからです。

つまり、大人に操られているロボットのようなものですね。

しかし、自我をしっかりと持っている子は、

「自分にも意思がある」
「自分の考えで行動したい」

ということを伝えるために、あえて相手の命令に背きます。

そうなると、反抗されたことにイラッとした大人は、より強く命令しますよね。

すると、子どもたちもますます強く反抗します。

そうなってしまうとケンカと同じで、先に折れた方が負けになりますね。

だからこそ、「相手の言っていることが正しい」と分かっていても、延々と大人の言うことにただただ反抗し続けるのです。

多くの場合、最後は大人が力づくで子どもに言うことを聞かせますよね。

すると、負けた子どもは大泣きです。

そして、次に何か言われた時にも、迷わず反抗を繰り返すようになります。

どうしたら良い?

子どもに命令するのが良くないことは分かっていただけたかと思います。

それでは、子どもたちとはどのように関わっていけば良いのでしょうか。

①無責任な子にならないために

命令すると無責任になるからと言って、何も言わないということでもありません。

先ほどの「前日に準備を済ませておく」という例で考えてみます。

もし、いつまでもゲームをして遊んでいたとしましょう。

そんな時は、こんなふうに聞いてみてください。

「そうやって明日の準備を後回しにしていて、もしやり忘れたらどうなるか知ってる?」

つまり、やるように伝えるのではなく、そのままでいるとどうなるかという結末を分かっているか聞くだけで良いのです。

そして、「明日の準備をやり忘れたらどうなるか知ってる?」と聞いた時に

「明日の朝、急いで準備しないといけなくなる」
「遅刻しちゃうかもしれない」

と答えてくれたら

「知っているなら大丈夫だね」

と返すだけで終わりです。

よく分かっていなければ、大人の視点で考えられる結末を教えてあげましょう。

後は全て本人に任せます。

もし、「一緒に準備してくれない?」と助けを求めてきたら、その時だけ応じるようにしましょう。

そうすることで、自分の行動や決断に責任を持つことができるのです。

②良い親子の関係を築くために

①のように子どもだけの問題であれば、全てを本人に委ねることが良いでしょう。

しかし、本人だけではなく、周りの人にも関わってくる問題があるかと思います。

例えば、おもちゃの片付け。

リビングルームが散らかったままだと、家族みんなに迷惑がかかってしまいます。

しかし、それでも「片付けなさい!邪魔になるでしょ」と命令してはいけません。

そんな時には、
「散らかっていると困るから、片付けしてくれると嬉しいな」
「踏んでケガするといけないから、片付けてくれない?」

こうやってお願いしてみてください。

すると、もし大人のお願いに賛同してくれた時は、快く引き受けてくれることでしょう。

子どものことを支配しようとしていませんから、無駄に反抗する理由はありません。

とは言え、必ず賛同してくれるとは限りません。

「後でまた遊ぶから」
「めんどくさいからやらない」

などと、嫌がることもあるかと思います。

そんな時には、無理やり片付けさせる必要はありません。

おもちゃは大人も片付けずに、そのまま置いておきましょう。

しかし、もしも床におもちゃが落ちていたら、誤って蹴ってしまい、ソファーやテレビ台の下に入って取れなくなってしまうかもしれません。

誤ってですよ?わざとではないですよ?

そうなると、遊べなくなるのは子ども本人で、これも自分の行動によって起こってしまった不利益なので、自分の責任です。

とにかく、拒否されてしまった時は命令してやらせようとするのではなく、自分から「やらないと」と思えるような環境を作っていくことが必要です。

まとめ

今回は育児で当たり前に使われる「〇〇しなさい!」がハマる2つの落とし穴についてお話ししました。

子どもに命令することによる2つの落とし穴は、以下の通りです。

①子どもが無責任になる
②親子の関係が悪くなる

こういった事態に陥らないためには、

①そのままでいるとどうなるかという結末を伝える
②命令ではなくお願いする。拒否されてしまった時は自分から「やらないと」と思える環境作りを行う。

という2つのポイントを意識して、子どもたちと関わると良いでしょう。

最後に。

自己責任という考え方は、子どもが主体的に判断することで育まれていくものです。

つまり、大人がやるべき事は、判断の材料を差し出していくことだと考えて良いでしょう。

とは言え、つい「困るようなことになっては可哀想だ」と1つの判断を強制させてしまいたくなるものです。

しかし、命に関わるようなものでなければ、大人が手を出すことは「結局は助けてくれるのか!」と逆効果となってしまいます。

そのため、助けたい気持ちは子どものためにぐっとこらえ、子どもの決断を見守る勇気を持ってもらえたらと思います。

保育士

東京都で働く保育士。「少しでも楽しい子育てを!」をモットーに活動中。

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