おはぎとぼたもちはどう違う? お盆に食べる料理の秘密
おはぎとぼたもちを漢字で書くと?
8月15日はお盆の中日。お盆に食べるものといえば「おはぎ」が一般的だが、言うまでもなくそもそもはご先祖様へのお供え物で、お供えした後にいただくもの。なぜおはぎをお供えするのかと言えば、おはぎの餡子に使われている小豆の赤色に「魔除」の意味合いがあるのと、餅米に「五穀豊穣」の祈りが込められているから。
餅米などをついて餡子で包むお菓子といえば「ぼたもち」もあるが、おはぎとぼたもちは本来別の食べ物。漢字で書けば「御萩」と「牡丹餅」。萩の花の咲く秋の彼岸に食べるものが「御萩」で、牡丹の花の咲く春の彼岸に食べるものが「牡丹餅」と呼ぶという説があるが、四季のある日本らしい表現だ。
他にも形状が丸いか細長いか、餡子がこしあんかつぶあんか、米が餅米かうるち米か、包むものが餡子かきな粉かなど、おはぎとぼたもちの違いについては諸説あるが、現代ではほぼ違いはないものと考えて良いだろう。
おはぎの代わりに食べるものとは?
地域によってはおはぎを食べずに他のものを供える風習がある。北海道や東北地方では「赤飯」を炊いてお供えしたり、近親者に振る舞うことが多い。これはおはぎ同様に、赤飯に使われる小豆やササゲの赤色に邪気を払う意味合いがあることから。また、北海道では小豆などの代わりに甘納豆を入れることもある。
お盆にお供えする精進料理は「霊供膳(りょうぐぜん)」と呼ばれ、一汁三菜のご飯、汁物、香物、煮物、和え物が一般的だ。「がんもどき」は漢字で書けば「雁擬」で、肉を食べない精進料理では肉の代替品として良く使われる食材。お盆の時期にがんもどきを食べる家庭もあるだろう。
宮城県の名物「ずんだ餅」は、元々お盆の時期である夏に採れる枝豆を使って、お盆で集まった人たちに振る舞う精進料理の一つだったことから、今も宮城ではお盆の時期にお供えしたり食したりする。また、鹿児島では粗挽きした大豆と夏野菜を味噌汁に仕立てた「かいのこ(粥の子)汁」が、お盆の精進料理に欠かせないものとなっている。
お盆はご先祖様や亡くなった人たちがあの世から現世へ戻って来る時期。ご先祖様や故人を大切に思い供養する、日本の夏ならではの風習だ。お盆は美味しいおはぎや精進料理でお迎えして、日々の生活をご先祖様に感謝してあの世へしっかりお送りしよう。