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裁判官も結果を気にする国民審査 誰を辞めさせたらいいか分からなかったら? #専門家のまとめ

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:イメージマート)

日曜に迫った衆院選の投開票ですが、併せて最高裁の裁判官に対する国民審査も実施され、審査の対象である裁判官6人の不信任率がそれぞれ明らかになります。司法の頂点に民意を反映させる貴重な機会であり、少しでも有意義なものとするために、参考となる記事をまとめました。

ココがポイント

「現実には70歳の定年まで再審査はない」「6人の裁判官にとって最初で最後の機会となる今回の国民審査は極めて重要」
出典:Yahoo!ニュース エキスパート 前田恒彦 2024/10/17(木)

「罷免されないまでも各裁判官は×印が自分にどれぐらいあるかということをめちゃくちゃ気にしている」
出典:MRO北陸放送 2024/10/20(日)

「『一票の格差』『投票価値の平等』の問題について、国民審査の結果がその後の裁判官の判断に影響を示したと考えられる実例がある」
出典:弁護士JPニュース 2024/10/24(木)

「裁判官たちがフェアでなければ、社会がゆがみます」「審査対象の裁判官たちは主な裁判でどのような判断や意見を示したか」

出典:NHK 2024/10/14(月)

エキスパートの補足・見解

辞めさせたい裁判官だけに「×」を付ける一方、空欄は「信任した」とみなされ、「○」や「△」「?」などを書くと投票用紙全体が無効票となります。有権者にとって最大の問題は、判断材料が不足しているにもかかわらず、各裁判官ごとに辞めさせるべきか否かの判断を迫られるという点です。

全てを空欄とする場合はもちろん、一部を空欄とした場合でも、実際には積極的な信任ではなく、よく分からず判断できなかったとか、興味がないといった「事実上の棄権票」も多く含まれているとみられます。

常に全員に「×」を付けるという人もいますが、どうしても判断できない場合には、衆院選については投票し、国民審査だけ正式に棄権するということも可能です。受付で選挙管理委員会の担当者に棄権すると告げ、国民審査用の投票用紙だけを受け取らないとか、いったん受け取っても投票箱に入れず、担当者に返すといったものです。

全裁判官に関して一括して棄権できるだけで、A裁判官は不信任、B裁判官は棄権といったやり方はできませんが、それでも全体の棄権率が上がることで相対的に有効票数は減るので、各裁判官に対する不信任率が上がることでしょう。(了)

元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

元特捜部主任検事の被疑者ノート

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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