主な新興国/米国経済ニュース(10日)
米AMD、リードCEOが辞任―後任にスーCOOが昇格
米半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイシズ<AMD>は8日、ローリー・リード社長兼CEO(最高経営責任者)が同日付で辞任したことを明らかにした。後任にはリサ・スーCOO(最高執行責任者)が就任する。
同社は1980年代の創設以降、PC用半導体分野では業界トップの米インテル<INTC>の後塵を浴び続け2位の座に甘んじていることや、2006年に54億ドル(約5840億円)で米コンピューターグラフィック用半導体大手ATIテクノロジーズを買収したものの、買収費用が経営を圧迫してしばしば赤字経営を余儀なくされていることから、トップ交代を機に業績回復を目指したい考えだ。
米市場調査会社マーキュリー・リサーチのアナリスト、ディーン・マクキャロン氏は、AMDの主力のPC向け半導体「x86」の市場シェアは前年の16.1%から現在は9.6%に落ち込み、同社の株価も8月中旬以降、20%以上も下落した、と指摘している。
リード氏は2014年末まで相談役として社内に残り、新CEOの業務の引き継ぎを手伝う。
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米ギャップ、来年2月にマーフィーCEOが辞任へ―後任はペック氏
米衣料品小売りチェーン最大手ギャップ<GPS>は8日、グレン・マーフィー会長兼CEO(最高経営責任者)が来年2月1日付でCEOを辞任することを明らかにした。後任には同社のイーコマース(電子商取引)などデジタル事業部門のトップであるアート・ペック氏(59)が就任する。
ペックの前職は米経営コンサルティング大手ボストン・コンサルティング・グループのシニアパートナーで、20年間にわたって、主にハイテクや消費財、小売業界を担当していた。
また、ギャップが8日に発表した9月の売上高は前年比1%増の14億8000万ドル(約1600億円)となったが、既存店ベースでは横ばいだった。主力のギャップ・グローバル部門の既存店舗の売り上げが同3%減となり、全体の利益率を抑える要因となっている。対照的に、ペック氏が率いるイーコマース部門の売り上げは、昨年だけで同21.5%増の22億6000万ドル(約2440億円)と好調となっている。また、今後の業績見通しについては、2014年8-10月期(第3四半期)の粗利益率はギャップ部門の売り上げ低迷で前年同期を下回るとしている。
同社の株価はトップ交代や業績見通しの悪化を受けて、8日、1.7%高の41.9ドルで引けたあとの時間外取引で、8.11%安の38.5ドル(米東部時間午後7時59分時点)と、大幅に下落した。
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ロシアのロスネフチ、インド国営石油ガス公社と東シベリア油田開発で提携か
ロシア石油・天然ガス大手ロスネフチはインド国営石油ガス公社(ONGC)に対し、極東・東シベリアのユルブチェン・トホモムスコエとバンコールの2カ所の油田鉱区のそれぞれの開発権49%と10%を譲渡する見通しだ。モスクワ・タイムズ(電子版)などが関係者の話として8日に伝えた。
これは、ロスネフチが欧米の対露経済制裁の対象となっているため、あえて西側の石油企業を避けて、インドの石油会社との提携の道を模索することによって、シベリアの油田開発に必要な資金や開発技術を獲得しようとする狙いがある。
ユルブチェン・トホモムスコエ油田は2017年から生産を開始する予定で、ロスネフチは東シベリアのイルクーツク州タイシェットと太平洋沿岸のナホトカ近郊コジミノ港を結ぶ「東シベリア‐太平洋石油パイプライン」を通じて、アジア市場に石油を供給する計画。
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国営ベトナム航空、11月14日にIPO実施へ
ホーチミン証券取引所(HOSE)は7日、国営ベトナム航空が11月14日に新規株式公開(IPO)を実施することを明らかにした。地元紙サイゴン・タイムズ(電子版)などが8日に伝えた。
IPOでは発行済み株式の3.475%に相当する約4900万株が入札方式で一般投資家に売却される。最低入札価格は1株当たり2万2300ドン(約114円)となる見通し。また、1.47%に相当する2080万株が従業員、0.05%相当の70万5000株が労組、さらに20%相当の2億8200万株が戦略的パートナーに売却される予定。国の保有比率は75%に低下するが、過半数を維持する。
同航空では2014-2018年に70兆ドン(約3600億円)を投資する計画で、この大半は機材購入として63兆2000億ドン(約3200億円)が使われる。
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トヨタ・タイ法人の棚田社長、工業相に不振極める自動車市場のテコ入れ要請
トヨタ自動車のタイ現地法人であるトヨタ・モーター・タイランドの棚田京一社長は7日、タイのチャクラモン・パースクワニット工業相と会談し、政府に対し、販売不振が続いている国内自動車市場のテコ入れ策を講じるよう要請した。地元紙バンコク・ポスト(電子版)が伝えた。
タイでのトヨタの1-8月期新車販売台数は前年比38.3%減の57万9273台(市場シェアは37%)と、大幅に落ち込む一方で、タイから海外への乗用車輸出も同期間でわずか同3%増と低迷している。このままでは、トヨタの今年のタイ国内新車販売台数は前年比20%減に終わると悲観的な見方を示している。また、タイでの同社の生産台数も今年は198万5000台にとどまり、210万台の目標は達成できない可能性が高いとしている。
これに対し、チャクラモン工業相は、「来年は政治の安定と景気回復で国内販売台数は持ち直す」と述べ、楽観的に見ている。(了)