オープン戦はあてになるか?首位打者からブレイクの浅村と重なる幕張のアジャ
あくまで調整期間の試合とは言え負けが続くと不安になる。反面、勝ち過ぎればそれはそれで不安になる。そんなオープン戦の成績はシーズンの成績と関係があるのだろうか?
過去5年のオープン戦優勝チームのシーズンでの順位は
2009年 ソフトバンク 3位
2010年 日本ハム 4位
2011年 阪神 4位
2012年 ヤクルト 3位
2013年 巨人 1位
オープン戦優勝チームでリーグ制覇を果たしたのは昨季の巨人だけ。主力の調整期間や若手のアピール期間にあたるオープン戦の勝敗はあまり参考にならないようだ。
個人記録ならあてになるか?
昨季のオープン戦首位打者は.393を記録したヤクルト・畠山。パンチ力ある打撃で2試合に1本ペースの長打を放ち、OPS(長打率+出塁率)は1.094。これはシーズンで2冠王に輝いたDeNA・ブランコの1.049を上回る数字。しかし、開幕直後の3、4月を打率.215と苦しむと、その後も2割台前半の低空飛行が続き8月28日に2度目となる1軍登録抹消。再び1軍に上がることなく打率.218のままシーズンを終えた。
その前年、2012年の首位打者は打率.403とヒットを量産した広島・松山。しかしこちらも開幕4カード終了時点で打率.186と波に乗れずにスタメン落ち。レギュラー定着とはならずスタメンと代打起用を繰り返し結局シーズン打率は.204だった。
対照的に2011年、オープン戦の首位打者からブレイクしたのが前年30試合に出場した西武・浅村。震災の影響によりオープン戦の試合数は多くないものの.441と近年では最高打率を残す。同時に、34打席で四死球0と珍しい記録も。積極的に振って行くスタイルで.765という非常に高い長打率を記録しOPSはなんと1.206。シーズン本塁打記録を更新した昨季のヤクルト・バレンティンが1.234、55本の本塁打を放った西武(当時)・カブレラが1.223だから、3年目の若手内野手は球史に名を残す助っ人外国人並みの打棒をふるっていたことになる。この年、開幕スタメンの座をつかむと内外野をこなしながら137試合に出場。主力としての地位を築いた。
幕張のアジャは本物か?
今季のオープン戦首位打者は.435のロッテ・井上。最終戦での本塁打を含む猛打賞で一気に打率を3分上げた。巨漢のルーキーに求められたのは打撃で数字を残すこと。それも外国人を押し退けて、守備や走塁面を度外視してでも使いたくなるなるほどの結果。井上は15試合に出場し打率.435(46打数20安打)、2本塁打、7打点、長打率.674、出塁率.426でOPSは1.100。誰もが納得する数字を残した。打率よりも出塁率が低いのは四死球0で犠飛が1あるため。その積極的な打撃スタイルはオープン戦首位打者からブレイクした浅村と重なる。伊東監督が4番起用を明言した幕張のアジャ、ペナントレースでも信頼を勝ち取れるか。真価が問われるシーズンはいよいよ今週末、3月28日に幕を開ける。