オートバイのあれこれ『これぞプロスペック。PGMシステムを備えたニューNSR!』
全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。
今日は『これぞプロスペック。PGMシステムを備えたニューNSR!』をテーマにお送りします。
スズキ『RG250ガンマ』、ヤマハ『TZR250』など、他社が高性能な2ストロークレプリカモデルを展開するなか、ホンダが負けじと打ち出した『NSR250R』。
WGP(世界グランプリ)参戦マシン『RS250RW』を公道仕様にアレンジするといった手法で開発されたNSRは、スズキやヤマハに押され気味だったホンダの勢力を一気に盛り返しました。
そして、初代MC16型NSRの登場から2年も経たない1988年(昭和63年)1月、ホンダはさらに戦闘力を高めた二代目NSRを作り上げます。
MC18型NSR250Rの誕生です。
「ハチハチ」というニックネームとともに、現在も多くのファンから愛されているモデルですね。
ハチハチNSR最大の見どころは、『PGMシステム』が投入されたこと。
キャブレター、イグニッション(点火)系統に加え、排気タイミングを制御する『RCバルブ』等、吸排気を司るパートをコンピューターで一括制御するものでした。
今でこそ電子制御技術はオートバイの世界でも一般化していますが、NSRが作られていた80年代にはオートバイにコンピューターが使われるなんてことはほとんど無く、PGMのようなハイテク技術が市販量産車へ用いられることはそれまでありませんでした。
そしてこのPGMの装備により、NSRは弾けるピークパワーを持ちつつ、低回転域から頼りがいのあるトルクを発揮。
当時のレプリカ戦争の下、「NSRが最速!」なんてこともよく言われていたようですが、その秘訣はこのPGMシステムにあったといっていいでしょう。
フレームはMC16の目の字断面から、上側の角を削った五角断面へと形状を変え、剛性を最適化。
また足まわりも、ホイールをワイドリム化し、リヤタイヤにはラジアルタイプを標準装備、そしてフロントブレーキには異形4ポットの対向ピストンキャリパーを採用するなど、MC18はMC16からあらゆる部分が大幅に進化していました。
当時の熾烈なスペック競争のなか、開発陣が目をサンカクにして生み出したハチハチNSRは圧倒的なパフォーマンスを備え、これが燃え盛るレプリカブームの火をさらに激しくしたといえるでしょう。
ハチハチNSRが登場してから約2ヶ月後の88年3月には、上位機種となるSP仕様(『NSR250R SP』)も追加でラインナップ。
SPには、市販量産車では初となるマグネシウム製ホイールが投入され、また車体色も当時のWGPでお馴染みだった『ロスマンズ』カラーが採用されました。
「ハチハチといえばSP!」というNSRファンも多いのではないでしょうか。