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国内初、犬2匹が新型コロナのPCR検査に陽性...飼い主がするべきことは?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
(写真:ロイター/アフロ)

日本初、犬2匹が、新型コロナウイルスのPCR検査の陽性が確認されました。犬の飼い主は、さぞ、びっくりされたことでしょう。世界初は、2月の末に香港で犬に新型コロナウイルスが感染したというニュースが流れていました。しかし、日本では、感染者数が少ないので、大丈夫だと思っていた人もいたかもしれませんね。今日は犬の飼い主は、どうすればいいか? を考えましょう。

新型コロナウイルスに感染した飼い主から預かった犬2匹がPCR検査の結果、陽性だったと3日、ペット保険「アニコムホールディングス」が公表した。国内でペットの陽性が確認されるのは初めて。

 同社は新型コロナウイルスに感染した2世帯から7月下旬、それぞれ1匹ずつを預かった。2匹は今月3日まで複数回実施したPCR検査で陽性となった。2匹とも健康状態に異常はなく、1匹は既に陰性と変わっている。他のペットや従業員も検査したがいずれも陰性で、体調不良もみられない。同社は2匹を隔離し、世話を続けている。

出典:国内初、犬2匹が新型コロナ陽性 感染した飼い主から預かり検査

なぜ、日本で犬のPCR検査ができたか?

人のPCR検査もなかなかしてもらえないのに、なぜ、この犬はしてもらえたのでしょうか?

ペット保険「アニコムホールディングス」は、4月から無償で、新型コロナウイルスの感染者のペットを預かっています。そのときに、ペットのPCR検査をしていたのでしょう。しかし、自分の愛犬や愛猫が心配なので、一般の動物病院に連れて行っても、PCR検査をしてもらえません。

注意:ペット保険「アニコムホールディングス」では新型コロナウイルスに感染した人のペットを預かってくれます。詳細は、以下をご覧ください。

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新型コロナウイルスに感染した犬の症状は?

この2匹の犬の症状はないそうです。それに1匹は、何回めかのPCR検査で陰性になっています(PCR検査が陽性でも新型コロナウイルスに感染しているとはいえません。2週間後に抗体検査が陽性でないと新型コロナウイルスに感染したとはいえません)。

人も同じですが、基礎疾患を持っている場合は、新型コロナウイルスの症状が悪化します。アメリカでは、リンパ腫を持っていた犬が、新型コロナウイルスに感染して亡くなったケースがあります。その犬の死因は、リンパ腫なのか新型コロナウイルスかは、不明です。犬も基礎疾患を持ってる場合は、新型コロナウイルスに感染すると、悪化しやすいのかもしれません。今後、このようなことも解明されるでしょう。

イタリアの新型コロナウイルスの犬や猫の抗体検査の結果

 【ロンドン時事】新型コロナウイルスの感染が拡大したイタリアで感染歴を調べる抗体検査をペットに実施したところ、犬の陽性率が約3%、猫が約4%に上ったことが明らかになった。

 査読前の科学論文を扱うウェブサイト「バイオアーカイブ」に28日までに論文が掲載された。

 これまで犬や猫が飼い主から感染したケースが報告されているほか、実験で特定の動物が感染しやすいことも明らかになっているが、ペットの感染の実態は不明な点も多い。今回は「世界的にも初の大規模調査」だといい、コロナ時代の飼育の在り方に一石を投じそうだ。

 調査は感染流行地となったイタリア北部を中心に、ペットの犬540匹と猫277匹を対象に3~5月に実施した。PCR検査で犬猫ともに陽性はゼロだったが、抗体検査では犬の3.4%、猫の3.9%が陽性だった。

出典:抗体陽性率、犬3%、猫4% 新型コロナで大規模調査 伊

 

ざっくりまとめると、新型コロナウイルスの感染者が多かったイタリアで犬や猫の新型コロナウイルス抗体検査を実施したところ、犬の陽性率が約3%、猫が約4%になっていました。つまり犬や猫が、新型コロナウイルスに感染していた、ということです。新型コロナウイルスに感染した飼い主の犬や猫の方が、抗体検査の陽性率は高かったそうです。

20年前の日本だと、犬は庭で飼われていることが多く、いまのように室内飼いは少なかったです。いまや、日本もイタリアと同様に犬や猫は、室内飼いが多くなっています。イタリアに旅行に行ったり、イタリア人の友人もいますが、日本もイタリアも犬や猫の接し方は、それほど変わりません。

そんなことから、イタリアの犬や猫だけ、新型コロナウイルス抗体検査が陽性で出て、日本では、陰性ということはないのでしょう。日本では、まだ、犬だけですが、筆者は個人的に、猫にも新型コロナウイルスに陽性の子もいるのではないか、と考えています。

飼い主のできること

もちろん、新型コロナウイルスは気をつけていても感染しますが、なるべく感染しないように注意しましょう。手洗い、3密は避けるなどの基本的なことは、守りましょう。以下のことに気をつけて、ペットに接してくださいね。

・飼い主が熱っぽいときは、ペットとの距離は保ちましょう。

・飼い主は、咳があるときは、マスクをしてペットの世話をしましょう。

・ペットを触れる前後に手洗いをしましょう。

・抱っこする、キスをする、顔などを舐めさせる、口うつしで食べ物を与えるなどは、避けてくださいね。

・ドッグランは、人のいないときに行きましょう。

・人混みには、連れていかないようにしましょう。

・猫を外に出さないようにしましょう。

飼い主さんに知ってほしいこと

新型コロナウイルスは、いまのところ人から犬 人から猫の感染はありますが、反対はありません。つまり、犬や猫から、人に新型コロナウイルスが感染したことがないのです。飼い主が新型コロナウイルスに感染せず、適切な飼い方をしていると、ほとんどペットは感染しないのです。それを冷静に考えてください。そして、いま飼っている犬や猫の飼育放棄をしないでくださいね。命あるものは、丁寧に世話をして新型コロナウイルスに感染しないように守りましょう。新型コロナウイルスの詳細が、時間とともに、判明します。飼い主は、冷静な態度でペットと接してください。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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