【パリ】新型コロナ大統領宣言 第2波のピークを越えて新フェーズへ
制限緩和開始
10月末からの全国規模のコンフィヌモン(外出制限)が継続中のフランスですが、11月24日(火曜)の20時から、今後の規制緩和についてマクロン大統領の声明がテレビ放送されました。
内容の主要なものを挙げると、つぎのようになります。
●感染拡大「第2波」のピークは過ぎた。
一日の新規感染者は当初6万人だったのが、このところは2万人程度になった。
●第1段階/11月28日土曜日の朝から、外出制限を緩和。
○不要不急の移動は依然として控え、可能なかぎりテレワークをするという方針はかわらず、外出時には証明書の携行が必須だが、散歩、運動目的での外出の範囲を緩和。具体的にはこれまで自宅から1時間、1キロ圏内だったが、以後は3時間、20キロ圏内に拡大。
○商業施設の営業再開。
ただし遅くとも21時には閉店すること。また、カフェ、レストランは依然として休業。
○宗教施設では30人までの礼拝が可能。
●第2段階/一日の新規感染者数5000人以下、蘇生医療患者が2500〜3000人という目標が達成できていれば12月15日から日中の外出制限は解除され、21時から翌7時までの夜間外出禁止令に転換される。12月24日と31日は、例外として夜間外出も可能だが、公共の場での集会は禁止。
●第3段階/クリスマス期間をへたうえで、一日の新規感染者数5000人以下が達成できていれば、1月20日からはレストランなどの営業を再開。高校、大学で、全員出席しての授業再開。
●ワクチンの接種が、12月末から1月初旬に可能になる見込み。
というようなものです。
目下、人々の関心事は、クリスマスシーズン。いつものように離れていた家族も集まって一緒に過ごせるのかどうか。プレゼントを用意するために買い物が思うようにできるのか。さらには、帰省などのための切符を予約していいのか。そういったことが個人レベルでかなり気になりだしている時期です。
今回の声明は、そういった国民の問いに答えるかたちのものでした。当初予定されていた12月1日からの緩和が前倒しになり、この週末から買い物は可能になりました。そして、12月15日以降の帰省、旅行計画にもほぼゴーサインが出たと受け取れるでしょう。
ただし、夏のヴァカンス、それに続く新学期の行動のツケが「第2波」になったように、クリスマス期間のツケが「第3波」とならないよう、くれぐれもハメをはずさないでほしいというニュアンスもメッセージにはきちんと添えられていました。
倒れ方が上達したフランス人?
さて、日々新型コロナ関連のニュースに接しているなかで、テレビの女性ジャーナリストが何気なく発した言葉が記憶に残りました。それは「JUDOと同じで、倒れ方をおぼえたのです」というフレーズ。4月と11月の経済活動を前年と比較したレポートで、4月が前年比マイナス30%になったのに対して、11月は前年比マイナス13%にとどまっていることを説明するために使われていました。
今回のコンフィヌモンでは、学校が開かれていて、テレワークがしやすくなっていること 、小売店はCLICK&COLLECT(クリック&コレクト)というシステムをつかって商いを続けていること、工場、工事現場などは通常通り稼働していることなどによって経済的ダメージを少なく抑えられていることがそのフレーズのあとに続きます。つまり、初回よりも今回の2回目のコンフィヌモンでは「倒れ方がうまくなっている」ことを形容するために JUDO(柔道)という言葉を使ったのです。
そのさりげなさに、新型コロナの話題はともかく、JUDOがここまでフランスで普及し、その奥義が比喩的表現として機能するほど理解されていることに感心してしまいました。
さて、パリのシャンゼリゼ通りでは例年通りイルミネーションがスタートし、巷ではクリスマスツリーの販売も始まりました。土曜日からお店が再開されるようになれば、また街に活気がもどってくるはず。引き続き、パリからの話題をお届けしてゆきたいと思います。