ヤクルトが前ソフトバンクのバンデンハークと契約。過去に国内他球団からヤクルトに移籍した外国人は…
東京ヤクルトスワローズは2月24日、昨年まで福岡ソフトバンクホークスでプレーしていたリック・バンデンハーク(35歳)と契約を結んだことを発表した。
登板ゼロのまま消えたアルメンゴ
オランダ生まれのバンデンハークは、フロリダ・マーリンズなどメジャー3球団、そして韓国プロ野球のサムスン・ライオンズを経て、2015年にソフトバンク入り。このシーズンは負けなしの9勝を挙げ、翌年にかけて初登板から14連勝という日本新記録を樹立した。その後は2ケタ勝利を2度マークするなど、昨年までの6年間で通算43勝19敗、防御率3.68の成績を残している。
ヤクルトはほんの数年まで、他球団でプレーしていた外国人は獲らないという方針を打ち出していて、これを翻したのが2017年のオフ。同年まで中日ドラゴンズに在籍して2年間で12勝10敗、防御率3.50を記録していたサウスポーのジョーダン・ノルベルトと契約を結び、登録名をジョーダン・アルメンゴとした(中日時代の登録名はジョーダン)。
ところがこのアルメンゴ、ヤクルトのユニフォームに袖を通したばかりの春季キャンプで上半身のコンディション不良により離脱すると、二軍調整中に今度は下半身を痛め、4月下旬には米国で医師の診断を受けるために離日。その後、日本に戻ることはなく、一軍はおろかイースタン・リーグでも1試合も登板のないまま、6月27日付で自由契約となった。
ヤクルトで日本復帰のシコースキー
それ以前では2008年に、前年まで広島東洋カープのユニフォームを着ていた右ピッチャーのショーン・ダグラスを獲得したことがある。ダグラスは2006年に広島入りして9勝(6敗)を挙げるも、2年目の2007年は故障のため一軍登板のないまま退団。翌年の7月になって、ドーピング違反のダニエル・リオスを解雇したヤクルトが触手を伸ばし、入団テストを経て契約を結んだ。
9月4日の中日戦(神宮)で2シーズンぶりの白星を手にしたダグラスは、先発として6試合の登板で2勝2敗、防御率3.94を記録。だが、10月7日に帰国し、そのまま退団となった。
2007年の途中でヤクルト入りしたブライアン・シコースキーは、千葉ロッテマリーンズ、読売ジャイアンツでプレーしたのち、メジャー2球団を経ての日本球界復帰。投球練習の際に右腕をグルグル回すパフォーマンスは健在で、救援陣の一角を担って29試合に登板し、1勝2敗1セーブ、7ホールド、防御率2.29の好成績も、残留交渉が折り合わずに退団。その後は古巣のロッテ、埼玉西武ライオンズと渡り歩き、西武時代の2010年には33セーブでパ・リーグのセーブ王になっている。
ヤクルトは2006年には、前年まで広島で2年間プレーしていた内野手のグレッグ・ラロッカも獲得している。5月9日の西武戦(神宮)で3打席連続本塁打を放つなど、セ・パ交流戦で.343、8本塁打と打ちまくり、アレックス・ラミレス、アダム・リグスと共に一般公募で「F-Brothers」と名付けられたラロッカも、8月には左ヒザ手術のために離脱。シーズンでは打率.285、18本塁打にとどまり、翌年はオリックス・バファローズへと移籍している。
野手ではオマリー&ミューレンが日本一に貢献
ヤクルトは前出のラミレスやロベルト・ペタジーニ、あるいはセス・グライシンガー、ディッキー・ゴンザレス、古くはチャーリー・マニエルのように、他球団に移籍して好成績を残した外国人も少なくない。逆に他球団からの移籍組で強烈なインパクトを残したのは、なんといっても1995年に入団したトーマス・オマリー(前阪神タイガース)とヘンスリー・ミューレン(前ロッテ)の内野手コンビだろう。
阪神時代には首位打者となった実績を持つ左バッターのオマリーは、狭い神宮で自己最多の31本塁打を放つなど、ヤクルト2年ぶりのセ・リーグ制覇に大きく貢献してリーグMVPを獲得。オリックスとの日本シリーズでも、打率.529、2本塁打でMVPに輝いた。
右バッターのミューレンは、来日1年目の1994年はロッテで23本塁打をマークし、この年はヤクルトで「恐怖の七番」としてオマリーに次ぐ29本塁打、80打点。日本シリーズでも第3戦で土壇場の9回裏に同点本塁打を放つなど、印象に残る活躍を見せた。
さらに時代をさかのぼって1980年代でいえば、レオン・リー(登録名はレオン、前横浜大洋ホエールズ)、ボビー・マルカーノ(前阪急ブレーブス)といった他球団で主力を張った外国人選手の、ヤクルト移籍後の働きも記憶に残る。
ただし、バンデンハークのように他球団で先発として活躍した外国人を獲得したケースは、球団史上でも極めて珍しい。2015年の日本シリーズ第2戦で8回無失点と封じ込められた“強敵”が味方に付くのは、あれから5年以上経つとはいえ、ヤクルトにとっては心強いことだろう。