Yahoo!ニュース

リンデンラボの特許について調べてみた(3)

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授
出典:US8073778特許公報

”元祖メタバース”「セカンドライフ」の開発元リンデンラボ(Linden Rearch, Inc.)の昔の特許の分析記事の3回目です。

「セカンドライフ」が画期的であった点の一つに、仮想世界内で土地や様々なオブジェクトの商取引が可能になった点があるでしょう。リンデンドルという仮想世界内取引内通貨が提供されていました。残念ながら、このアイデアは当時はハイプだけで終わってしまいましたが、現在のメタバースの世界で再度注目を集めています(複数メタバース間で暗号通貨が自由に流通してアイテムや土地の取引が行われ、経済圏が作られるという一部のメタバース推進者の人々が期待する世界が訪れるかどうかはまだ何とも言えませんが)。

今回の特許は、このような仮想世界内の商取引に関する特許です。特許番号は、US8073778B2 、発明の名称は”Scalable distributed transaction manager for multi-host transactions”(マルチホストのトランザクションのためのスケーラブルな分散トランザクション)、出願日は2008年9月11日、権利満了は2029年9月13日です。米国のみの権利化です。

クレーム1の内容は補正の繰り返しにより、複雑になっており、如何にも限定が多く、権利範囲が狭いように見えますが、詳細に検討してみると、一般的な方法で、仮想世界内の商取引を行うと侵害してしまいそうなクレームになっていると思います。リンデンラボが特許のマネタイズに梶を切ったり、トロールがこの特許を取得したりするとちょっとやっかいなことになってしまうのではと思います。

以下、具体的にクレーム1の内容を見ていきましょう。

この記事は有料です。
栗原潔のIT特許分析レポートのバックナンバーをお申し込みください。

栗原潔のIT特許分析レポートのバックナンバー 2022年8月

税込880(記事1本)

※すでに購入済みの方はログインしてください。

購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。
弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

栗原潔の最近の記事