リンデンラボの特許について調べてみた(3)
”元祖メタバース”「セカンドライフ」の開発元リンデンラボ(Linden Rearch, Inc.)の昔の特許の分析記事の3回目です。
「セカンドライフ」が画期的であった点の一つに、仮想世界内で土地や様々なオブジェクトの商取引が可能になった点があるでしょう。リンデンドルという仮想世界内取引内通貨が提供されていました。残念ながら、このアイデアは当時はハイプだけで終わってしまいましたが、現在のメタバースの世界で再度注目を集めています(複数メタバース間で暗号通貨が自由に流通してアイテムや土地の取引が行われ、経済圏が作られるという一部のメタバース推進者の人々が期待する世界が訪れるかどうかはまだ何とも言えませんが)。
今回の特許は、このような仮想世界内の商取引に関する特許です。特許番号は、US8073778B2 、発明の名称は”Scalable distributed transaction manager for multi-host transactions”(マルチホストのトランザクションのためのスケーラブルな分散トランザクション)、出願日は2008年9月11日、権利満了は2029年9月13日です。米国のみの権利化です。
クレーム1の内容は補正の繰り返しにより、複雑になっており、如何にも限定が多く、権利範囲が狭いように見えますが、詳細に検討してみると、一般的な方法で、仮想世界内の商取引を行うと侵害してしまいそうなクレームになっていると思います。リンデンラボが特許のマネタイズに梶を切ったり、トロールがこの特許を取得したりするとちょっとやっかいなことになってしまうのではと思います。
以下、具体的にクレーム1の内容を見ていきましょう。
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