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チューの「50試合連続出塁」はどれくらい珍しい記録なのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
シンス・チュー(テキサス・レンジャーズ) Jul 1, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月14日、シンス・チュー(テキサス・レンジャーズ)が初回に四球を選び、連続出塁を50試合に伸ばした。

 と言っても、このストリーク(連続記録)がどれくらい珍しいのか、ピンとこない人もいるかもしれない。出塁の連続試合は、安打の連続試合ほど注目されない。

 安打はジョー・ディマジオ(1941年)の56試合連続、出塁はテッド・ウィリアムズ(1949年)の84試合連続が最も長い。その価値は別として、ディマジオの記録はウィリアムズの3分の2の長さだ。

 この比率を、チューが記録した50試合連続出塁に当てはめると、33.3試合連続安打となる。そこから「50試合連続出塁は30試合連続安打と同じくらい珍しい」という仮説を立てて、検証してみた。

 ベースボール・リファレンスによると、1908~2017年に50試合以上続けて出塁した選手は延べ50人いる。一方、30試合連続安打は44人だ。2001~17年に限ると、それぞれ8人と10人となる。多少の差はあるものの、どちらも仮説とほぼ一致すると見ていいだろう。

 チューはどこまで、このストリークを伸ばせるだろうか。

 昨年7月から8月にかけて、ジョーイ・ボトー(シンシナティ・レッズ)はマルチ出塁(1試合2度以上の出塁)を20試合続け、ウィリアムズ(1948年)が持つ最長記録にあと1試合と迫った。

 チューとボトーは、2013年にレッズでチームメイトとしてプレーしていて、仲もいい。昨シーズンは8月下旬の「プレーヤーズ・ウィークエンド」に、チューはユニフォームの背ネームを「TOKKI 1」、ボトーは「TOKKI 2」とした。TOKKI(トッキ)は韓国語でウサギを意味する。MLB.comのマイク・シェルドンによると、2013年のシーズン中、好調なチューにどうすれば追いつけるのか、ボトーが訊ねた時、チューは自身をドッグ・レースの先頭を走るウサギになぞらえたという。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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