日本は秋でも南の海はまだ夏 台風19号、20号連続発生か?
令和4年(2022年)の台風
フィリピンの東海上では、インド洋から南シナ海を通ってやってくる西風と、太平洋高気圧の南へりをまわる東風がぶつかり、モンスーントラフと呼ばれる気圧の低い領域ができています。
ここで、熱帯低気圧が発生し、その熱帯低気圧が台風に発達するのですが、ラニーニャ現象がおきると、モンスーントラフの位置が平年より北西にずれます。
このため、ラニーニャ現象のおきている今年、令和4年(2022年)8月から9月の台風の発生場所は、例年より北西、つまり、日本に近い海域にずれています(図1)。
日本に近い海域での発生ですから、日本に影響する可能性は高くなります。事実、令和4年(2022年)9月の台風は日本の近くで発生し、日本に毎週のように影響しました。
9月に発生した7個の台風のうち、6個が接近しています(表1)。
台風18号が10月2日に日本の東で温帯低気圧に変わり、日本付近には寒気が南下し、多くの地方で11月から12月の寒さになったあと、10月らしい気温に戻っていますが、日本の南海上はまだまだ夏です。
日本の南海上
日本の南の海域には、発達した積乱雲が増え、まとまり始めています(タイトル画像参照)。
そして、その積乱雲の中から熱帯低気圧が複数誕生しそうです(図2)。
熱帯低気圧が発達して台風になれば、台風19号、台風20号ということができます。
台風の統計がある昭和26年(1951年)から令和3年(2021年)までに209個の台風が上陸していますが、上陸数が一番多いのは8月で、9月、7月の順に多くなっています。
しかし、平成13年(2001年)以降の台風上陸数をみると、少し様相が違います。
9月に上陸した台風の数が、ほぼ8月に上陸した台風の数に近くなっていますし、10月に上陸した台風の数は、7月並みの上陸数となっています。
とはいえ、10月も半ばに差しかかろうとしています。
これから台風が発生し、上陸するとなると、上陸日時が遅い台風のランキングに入ってきます(表2)。
つまり、秋に上陸する台風が増えているのです。
少し古い資料ですが、図3は、筆者が調査した10月の台風の平均経路です。
これによると、10月に南シナ海やフィリピンのすぐ東海上で発生した台風は、図3の中の二重丸のように、ほとんどが西進を続けるため、日本への影響はまずないと考えられます。
しかし、フィリピンの東海上からマリアナ近海で発生した台風は、図3の中の黒丸のように、北上してくる可能性がでてきます。
令和4年(2022年)の台風シーズンは続いていますので、最新情報の入手に努めてください。
タイトル画像の出典:ウェザーマップ提供。
図1の出典:ウェザーマップ資料をもとに筆者作成。
図2の出典:気象庁ホームページ。
図3の出典:饒村曜(昭和55年(1980年))、台風に関する諸統計(第2報)進行速度、研究時報、気象庁。
表1の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。
表2の出典:気象庁ホームページ。