ホークス開幕投手は近日決定も、じつは超重要な「裏ローテ」。東浜、石川、有原…起用法はいかに?
ソフトバンクの開幕投手が近日中にも決定する見込みだ。藤本博史監督はキャンプ序盤から「キャンプ第3クールの終わりまでには決めたい」と早ければ14日発表の可能性があることを話していた。しかし、ブルペンやシート打撃などを視察するにつれてアピール合戦に頭を悩ませている様子。
14日発表から延期も
各投手の順調ぶりに9日の練習後には「候補が今5、6人おるからですね。ピッチングコーチとも話をしているけど、第3クールで決まりますか?って言われている。第3クールでそこから半分に絞るとか。第3クールで発表しますって言ったけど、発表できないかもわかんないね。みんなそこに照準を絞って調整してくれているし、それくらいレベルの高いところで競争している。出来るだけ早く決めてあげたいですけどね」と“延長戦”を示唆した。
ソフトバンクが3月31日の開幕戦で対するのはロッテだ。藤本監督は「ロッテと相性のいい投手も5人いるんでね」と口にし、対戦相手との相性も注視していることをうかがわせた。
開幕投手候補と思われる投手たちの、昨季の対ロッテの戦績は次のとおりだ。
東浜巨 3試合1勝1敗、防御率1.96
石川柊太 4試合1勝1敗、防御率1.73
和田毅 3試合1勝0敗、防御率2.87
大関友久 5試合(うち先発3)2勝0敗、防御率1.16
藤井皓哉 8試合(すべて救援)2勝0敗1セーブ2ホールド、防御率1.29
板東湧梧 4試合(うち先発2)1勝0敗1ホールド、防御率0.00
※有原航平 4試合4勝0敗、防御率0.96(参考:20年の成績)
上記の中から開幕投手を含め、開幕カードの3人を選ぶのだから贅沢な悩みともいえる。
ただ、当然ながら首脳陣は開幕だけを考えるのではなく、先の日程表ともにらめっこしながら先発ローテーションを決めていく。
「表」「裏」と表現するが・・・
開幕ローテはいわゆる6人。最初の3連戦を「表ローテ」、次の3連戦を「裏ローテ」などと表現されるのが通例で、一見すれば優劣がつく印象も受ける。
しかし、今季のソフトバンクの日程を見れば、その概念は大間違い。むしろ開幕2カード目の方を重要視しなくてはならないかもしれない。
3月31日から本拠地・PayPayドームでロッテ3連戦を終えた後、4月4日からは敵地・京セラドームでのオリックス3連戦が待っている。
昨季、同率ながら優勝をさらっていった最大のライバルと早くも激突するわけだ
上記投手たちの、昨季の対オリックスの戦績は次のとおりだ。
東浜巨 4試合1勝1敗、防御率5.59
石川柊太 5試合1勝2敗、防御率4.18
和田毅 5試合(うち4先発)0勝3敗、防御率5.03
大関友久 2試合(うち1先発)0勝1敗、防御率4.32
藤井皓哉 7試合(すべて救援)1勝0敗3ホールド、防御率2.25
板東湧梧 5試合(うち2先発)0勝2敗1ホールド、防御率4.60
※有原航平 5試合2勝1敗、防御率2.70(参考:20年の成績)
また、開幕2カード目のオリックス戦は、京セラドームで対戦するのがもう一つのポイントだ。ソフトバンクは昨季同球場で3勝10敗と大きく負け越した。もし、1つでも勝っていれば、もしくは引き分けにでも持ち込めていれば……、結果は全く違っていたのだ。
球場のマウンド、景色などによって投手の相性も左右される。
上記投手たちの、昨季の京セラドームでの戦績は次のとおりだ。
東浜巨 3試合0勝1敗、防御率8.03
石川柊太 3試合1勝2敗、防御率4.50
和田毅 2試合(うち1先発)0勝2敗、防御率6.53
大関友久 1試合(うち0先発)0勝0敗、防御率0.00
藤井皓哉 4試合(すべて救援)0勝0敗3ホールド、防御率0.00
板東湧梧 2試合0勝2敗、防御率5.11
※有原航平 2試合0勝0敗、防御率2.08(参考:20年の成績)
オリックス戦、京セラドームの2つのデータを用意してが、何とも悩ましいところ。だが、さらに掘り下げてみると違う見方もできる。
東浜の”天敵”は退団。石川は過去に9連勝も
東浜は昨季、吉田正尚を8打数5安打1本塁打3四球と苦手にしていた。その主砲が抜けたのは好材料になるかもしれない。
石川は昨季こそ京セラドームで2敗を喫したが、17年7月から22年4月まで9連勝を記録しており、じつは相性バッチリの球場なのだ。
藤井は昨季リリーバーのため判断が難しいもののオリックス戦も京セラドームも苦にしていないことが分かる。有原は米球界挑戦前の最後のシーズンだった20年を参考にしたが、不安は見られない成績だ。
3年ぶりのパ・リーグ優勝に向けて京セラドームでのオリックス戦は絶対に乗り越えなければならない壁。ソフトバンク首脳陣は現在の仕上がりや状態はもちろん、様々なデータとにらめっこしながら開幕ローテを決めている最中だ。
(※写真はすべて筆者撮影)