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樺山、ブワニカ、柴山、西尾、横山など。Jリーグ開幕戦で輝いた新鋭たち。

河治良幸スポーツジャーナリスト
(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

Jリーグが週末に開幕。昨シーズンは三笘薫(川崎フロンターレ)などのブレイクで大卒ルーキーに注目が集まりましたが、今シーズンは高卒ルーキーやJリーグのアカデミーから昇格したティーンエージャーも負けていないようです。

”金J”でいきなり注目を集めたのが横浜F・マリノスの樺山諒乃介。3トップの左ウィングで高卒ルーキーながらスタメン起用された樺山は川崎フロンターレの山根視来を相手に果敢なドリブルを見せました。中盤の組み立てが安定しない状況で、数少ないチャンスの起点になっていました。

一方の守備では川崎の多角的なビルドアップに対してポジションが定まらず、オフで山根に裏を取られてしまうシーンが何度もあり、最初の失点シーンも樺山が浮いてしまったところが要因になっていたことも確かです。

「18歳でまだ入ったばっかで仕方ないという人もいるかもしれないけど、プロとして、マリノスの一員として試合に出ているので、そんな甘いことは言っていられない。自分が出るからには守備の部分と戦術理解でもっと学んで、1年目とか関係なくそこは責任を持って成長していかないといけない」

そうした守備の課題もさることながら、攻撃でも一度しか可能性のあるシーンを作り出せなかったと樺山本人は反省しますが、山根が対応を1つ間違えていたら決定的なフィニッシュに結び付いていたかもしれません。

ルヴァン杯に向けても「マリノスの一員として戦っている以上、Jリーグとかルヴァンとか関係ないと思うので、1試合1試合、自分の全てをぶつけてマリノスのために戦いたい」と語ります。

その樺山が刺激を受けたというのが昨年末のU−18日本代表候補の合宿で一緒だった二人のゴール。ジェフユナイテッド市原・千葉のブワニカ啓太が甲府戦の後半スタートから起用されると、左からのクロスにタイミングよく飛び込んでデビュー戦ゴールを決めました。

ブワニカ啓太/著者撮影
ブワニカ啓太/著者撮影

さらに同じくU−18代表合宿のメンバーだった大宮アルディージャの柴山昌也が、水戸戦に1点ビハインドで投入されると、左からの鋭いカットイン&右足ミドルシュートで同点弾を決めて、チームの逆転勝利に大きく貢献しました。

アカデミー育ちの柴山は昨シーズン1試合に出ていますが、樺山と同じ左サイドでスタイルに共通点もあるため、大きな刺激でしょう。樺山は「その二人が開幕戦で、途中出場で点を取ってるのは、自分は開幕戦に出てチヤホヤされてると思いますけど、結果には繋がっていないので、J2とかJ1関係なく結果を残している二人は自分より今はすごい」と認めながら、さらなる活躍にモチベーションを高めています。

もともとの本職はトップ下で、マリノスでもプレシーズンの合宿で左ウィングに指名されたという樺山ですが「前の試合はシュートが0本やったので、次はゴール前でシュートを打つというのと、どんな形でも点を取らないとチームの勝利につながらんと思っている」と前置きしながら「ゴールじゃなくてもアシストとか、アシストが無理でもチャンスメイクとか、チームに貢献できる形を作っていきたい」と語ります。

樺山、ブワニカ、柴山の他にも開幕戦は高卒ルーキーやユース年代のデビュー、活躍が話題となりました。J1の湘南ベルマーレvsサガン鳥栖では昨年のU−19日本代表でチームメートだった田中聡と中野伸哉が3バック左で躍動しました。二人とも昨年から多くの試合に出ていますが、開幕時から主力として躍動が期待されます。

J2の松本山雅では高卒ルーキーの横山歩夢がレノファ山口とのアウェーゲームでデビュー。途中出場からゴールこそ無かったものの、持ち前の飛び出しやスピーディーな仕掛けで今後に期待を抱かせるパフォーマンスを見せました。横山を送り出した柴田峡監督はこう評価します。

横山歩夢/著者撮影
横山歩夢/著者撮影

「開幕戦で途中交代とは言え高卒、17歳ですから、デビュー戦にしては十分に彼の特徴は出してくれたんじゃないかと思います。彼は小さいことに動じない選手なので、ある程度やれるんじゃないかと期待してピッチに送り込みましたが、あわやという場面は2つぐらい作った。あのぐらいはやれるかなと思ってました」

またルーキーではないですが、セレッソ大阪の西尾隆矢が19歳にしてJ1デビュー。瀬古歩夢とセンターバック のコンビを組んで、攻撃力の高い柏レイソルを相手に安定したディフェンスで勝利を支えました。20歳の瀬古も昨年の最優秀若手賞を獲得したばかりですが、すでにディフェンスリーダーとして貫禄のあるプレーを見せており、後輩の相棒を刺激にさらなる成長を見せてくれそうです。

J2の東京ヴェルディでは17歳の阿野真拓がスタメンで2トップの一角を担い、攻守に奮闘して3−0の勝利に貢献しました。また15歳のMF橋本陸斗がJデビューを果たし、短い時間ながら鋭いプレーで片鱗を見せました。なおヴェルディは19歳のDF馬場晴也とMF山本理仁が主力をになっており、Uー20W杯という大舞台が無くなった状況でもクラブで良いパフォーマンスを見せることにうまく切り替えて奮闘している姿が頼もしい限りです。

そのほか、まだまだ楽しみな高卒ルーキーやトップ昇格選手、また二種登録で台頭してきそうなタレントは多くいるので、引き続き注目していきたいと思います。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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