3連勝でノックアウトステージ進出のリトルなでしこ。ワールドカップ出場権をかけた準決勝・韓国戦へ
【中国を4-0で圧倒】
バリ島で行われているU17女子アジアカップに参戦中のリトルなでしこ(U-17日本女子代表)は、16日に準決勝でU-17韓国女子代表と対戦する。
今大会は上位3カ国に入れば、今年10月にドミニカ共和国で行われるU-17女子ワールドカップへの切符を手にできる。日本はこの試合に勝てば、8大会連続のワールドカップ出場が決まる。
グループステージ第3戦で、日本は中国に4-0と快勝。タイ(4-0)、オーストラリア(4-1)に続き、3戦連続で4ゴールを決めて、グループ首位通過を決めた。
前半9分に最終ラインからのロングボールに抜け出した菅原千嘉のダイレクトクロスから、最後は福島望愛のワンタッチシュートというダイナミックな連係で先制。その後は体格の大きい中国の反撃を受ける場面もあったが、守備では太田美月が体を張って相手のシュートをことごとくブロックした。
そして終盤、足が止まってきた中国相手に対し、70分に根津里莉日と古田麻子が入ると流れが一気に日本に傾く。74分に司令塔・眞城美春のパスに抜け出した菊地花奈が2点目を決めると、86分には個人で相手からボールを奪って3点目。
終了間際には、右コーナーキックから、根津が頭で合わせて4-0とした。
初戦は津田愛乃音、第2戦は佐藤ももサロワンウエキと、センターフォワードの2人がそれぞれ2ゴール。中国戦では、菊地が2ゴールでヒロインになった。試合ごとに活躍する選手が変わり、層の厚さを見せつけている。
マイナビ仙台レディースで今年4月にWEリーグデビューを果たした菊地は、「ボールの持ち方や、縦突破などはWEリーグの試合でも自分のプレーを出せましたが、守備の面でポジショニングが課題に残りました。今大会では守備の面で少しずつ改善されてきているのでよかったです」とコメント。プロのWEリーグで得た自信を代表チームに還元しながら、アジアの舞台で新たな伸びしろを見つけている。
【今大会のリトルなでしこの強さとは?】
日本はここまで、フィールドプレーヤー20人全員がピッチに立った。全試合フル出場している選手はゼロ。30度近いコンディションの中で中2日の連戦をこなすため、白井貞義監督は交代枠をフル活用しながら、万全の態勢でノックアウトステージに向かう準備を整えた。
中国戦で菊地が3つのポジション(右SB→左SH→右SH)をこなしたように、全員が複数ポジションでプレーできる柔軟性やスキルの高さは日本の育成年代の“お家芸”。
今回のチームは、ショートパスに加えて、ロングボールやサイドチェンジ一本で打開できる展開力も光る。最終ラインの朝生珠実と太田、アンカーポジションの榊愛花や眞城など、中央を担う選手たちはキックの精度が高く、飛距離も出る。
中盤は機動力とスピードのある選手が多く、前線は佐藤や津田ら、メンタルの強さを感じさせるストライカーがいる。相手の特徴やシステムが変わっても、「自分たちらしいサッカーをしながら、相手の変化に対応していく」(白井監督)ことは、ここまでの3試合はできていたように思う。
だが、アジアの“本当の戦い”はここからだ。グループステージの結果を見てもわかるように、日本と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が、実力的に頭一つ抜けており、韓国、中国がそれに続く。
北朝鮮は、韓国、フィリピン、インドネシア相手に3試合で22得点無失点でグループAを首位突破。チェ・イルソンとジョン・イルチョンがそれぞれ5ゴールで得点ランクトップを走る。その2人に続くのが、インドネシア戦で4ゴールを挙げたウォン・ジュウン。日本は眞城、津田、佐藤、菊地の4人が2ゴールで並ぶ。
ワールドカップ出場権のかかった試合だけに、グループステージとは違った緊張感が出てくるだろう。
韓国戦で注目したい相手選手の一人が、背番号19のセンターフォワード、ケイシー・ペア。韓国系アメリカ人で、昨夏の女子ワールドカップで最年少出場(16歳26日)、大会後にはNWSL(米女子プロサッカーリーグ)のエンジェル・シティと最年少で契約し、パリ五輪アジア2次予選では、男女の韓国代表最年少ハットトリック記録を塗り替えた逸材だ。
178cmの長身でボール保持や前線からの守備にも長けており、韓国のカウンターの起点にならないよう、気をつけたい。
メンバー発表時には、「ワールドカップ出場権」「優勝」の2つの目標に加えて、「観ている人の心を掴み取りたい」とコメントした白井監督。多彩な攻撃で魅了し、韓国戦では内容の伴った勝利に期待している。
韓国戦は日本時間の5月16日16時キックオフ。ダゾーンでライブ配信される。