川の水の事故 連休後半に気を付けることは
静岡県島田市で小学2年生の女の子が川で溺れ死亡しました。この時期の川のレジャーはとても楽しいものです。楽しかった思い出をもって家に帰るために、連休後半に気を付けることは何でしょうか。
事故の概要
この事故の観点は次の通りです。静岡放送の報道内容によれば、
1. 家族6人で遊びに来た
2. 大人の腰ぐらいの深さがあった
の2点、さらに静岡新聞の報道によれば、
3. 鉄橋のたもとにはブロックがあった
を挙げることができます。
連休後半の川遊び ー 何に気を付けるか
連休後半は全国的に気温が高くなる予報です。地域によっては夏のような気候を楽しむことができるでしょう。こういう時には川に入って泳ぐつもりはないのに、ついつい足を水に浸けて涼みたくなるものです。つまり「泳ぐ気はない」のが連休後半の特徴です。
では気を付けることを次に列挙します。
1. 子供に寄り添って一緒に遊ぶ
2. ブロックなどの河川構造体の近くでは遊ばない
3. 足を浸けるなら膝下まで
4. 救命胴衣をつけていても、泳いではいけない
子供に寄り添って一緒に遊ぶ
家族・親戚など大勢で水辺に遊びにいくと、必ずと言っていいほど起こるのが「誰かが見ていてくれる」という勘違いです。
例えば、数人で川の中に足を浸けていて遊んでいて、「ちょっとトイレに行ってくる」と言い残して、大人がそこを離れ、子供だけを残した例。大きいお兄ちゃんが小さい子を見ていてくれていると思っていたら、お兄ちゃんは小さな子を見ていなかった。結果として小さい子が行方不明となった事故がありました。
「子供から目を離さない。」これではダメです。子供に寄り添って、一緒に遊んでください。トイレに行く時には必ず子供を連れて行ってください。大事なお子さんのことをたとえ友人でも水辺では頼ってはいけません、自分のお子さんなら、自分で連れて一緒に行動してください。
ブロックなどの河川構造体の近くでは遊ばない
図1にブロックの一例を示します。川の流れを調整するために作られた床固(とこがため)などの堰堤やその下流にあるブロックは泳がずに水辺を楽しむことのできる格好の場所です。ところが、ここに溺水の危険が潜んでいます。
ブロックの上を飛びながら、対岸に渡ることのできる川もあります。こういうブロックの隙間には水が溜まっていたり、流れていたりしますが、比較的深くて垂直に落ちると自力で上がれなくなります。人が這い上がるためには水面よりの高さがせいぜい10 cmまで。加えて、這い上がるためには水面に一定の広さがないとダメです。ブロックの隙間は狭く、そのような広さがありません。
堰堤の近くではたいてい河原が広くてバーベキューできるようなところが多いのですが、どうか命を守るために堰堤とその下流のブロックには近づかないようにしてください。
足をつけるなら膝下まで
せっかく河原まで来たのですから、水に少しは浸かりたいもの。そういう時には遊ぶ深さはぜひ膝下までにしましょう。これは子供も大人も同じです。膝下までであれば、間違って流されても腰を水底につければ(座れば)流されることはありません。川底で滑っても安心です。
川は急に深くなっています。動画1では急に深くなる川で溺れるメカニズムを示しています。ここでは河原から川の中央に行くにしたがって砂嘴(さし)があり、浅くなっています。こういう所を使って川の中を歩いてしまいます。さらに進むと急に腰くらいの深さになり、さらに進むと胸の深さを超えます。「深い」と思って戻ろうと反転しても、水底の坂が滑って身体がさらに深い方に落ち込み、溺れます。だからこそ、遊ぶのは膝下の深さまでなのです。
動画1 事故が繰り返される白石川での溺水原因(筆者撮影)
救命胴衣をつけていても、泳いではいけない
特に連休後半では、救命胴衣をつけて川で絶対に泳いではいけません。救命胴衣(ライフジャケット)は、あくまでも緊急浮力です。陸上や船上で活動している時に誤って落水した時に、緊急的に浮いて呼吸を確保するためのものです。つまり、救命胴衣を着装して水に浮いていたら、それは救助対象を意味します。
救命胴衣を着けた子供が川の流れに流され始めれば、陸にいる大人が川に飛び込んで救助しようと試みてしまいます。この時期の川の水温はまだ冷たく、さらに着衣の影響もあって、飛び込んだ大人は流されている子供に思うように近づくことができません。そうやって、最終的に子供は救助隊に救助されて、追いかけた親が溺れて死亡する事故が過去の連休には多発しています。
周辺の関係のない人をも不幸に巻き込みんでしまいます。連休後半では、救命胴衣をつけて川で絶対に泳いではいけません。
さいごに
緊急事態宣言、蔓延防止、いずれも発出されていないひざびさの連休です。この連休後半は水に入ることなく、ぜひ水辺で思いっきり遊びを楽しみ、たくさんの思い出をもって帰路についてください。